宇宙作家クラブ
トップページ 活動報告ニュース掲示板会員ニュース メンバーリスト 推薦図書
●宇宙作家クラブ ニュース掲示板
 - SPACE SERVER Next Generation -

宇宙作家クラブのメンバーによる取材活動の様子をリアルタイムでお届けします。
<画像付き>  <テキストのみ>  <過去ログ>

No.1961 :金星探査機「あかつき」が定常観測入り
投稿日 2016年4月28日(木)21時05分 投稿者 柴田孔明

 本日2016年4月28日、金星探査機「あかつき」が定常観測に移行したとJAXAから発表されています。2010年5月21日の打ち上げ後、想定外の寄り道をしてきましたが、ここまで来ることができました。
 
以下、JAXA発表文です。

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、金星探査機「あかつき」(PLANET-C)に搭載している各観測機器について、定常観測への移行を判断しましたので、お知らせします。
 観測機器の動作確認や試験観測での最適化といった調整作業の結果、打ち上げ前に想定した各フィルターを通した感度、画像の分解能などの観測性能を満たしていると確認できたことから、定常観測への移行を判断しました。

各観測機器の定常観測への移行状況は次のとおりです。
 ・観測機器名(略称)  定常観測移行状況
  1μmカメラ(IR1) 定常観測に移行
  2μmカメラ(IR2) 定常観測に移行
  中間赤外カメラ(LIR) 定常観測に移行
  紫外イメージャ(UVI) 定常観測に移行
  超高安定発振器(USO) 定常観測に移行
  雷・大気光カメラ(LAC) 調整中

 雷・大気光カメラ(LAC)につきましては、高圧電源をオンにして少しずつ電圧を上げながら慎重に調整を行っています。LACは「あかつき」が金星の陰に入る時に運用する観測機器ですので、約10日に1回、1時間程度の運用となっており、調整に時間を要しています。
 LACが定常観測に移行しましたら、改めてお知らせします。

・中村プロジェクトマネージャからのメッセージ
「みなさまのお蔭をもちまして4つのカメラと超高安定発振器の観測を定常状態に移行することが出来ました。ありがとうございます。これからは世界最先端の金星研究のためにデータを継続的に取得してまいります。また、LACも早い時期の定常観測移行を目指して行きます。今後とも日本の金星探査機「あかつき」にご期待ください。」

No.1960 :X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の今後の運用についての記者説明会
投稿日 2016年4月28日(木)19時36分 投稿者 柴田孔明

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の今後の運用について、2016年4月28日午後より記者説明会が行われました。発表によると、残念ながら運用を断念することになっています。
 なお、記者説明会と発表資料の中から抜粋して掲載します。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力

・前回の記者説明会以降に判明した件
 ・解析の結果、太陽電池パドルは両翼とも取付部周辺から破損し分離した可能性が高い。
 ・通信異常が発生した後、受信できたとしていた3回の微弱な電波は、国際電気通信連合(ITU)に登録されていない別の衛星のものであった。
 ・慣性基準装置(IRU)の動作をスタートラッカ(STT)のモード遷移を入力してシミュレートした結果、今回の事象が発生することを確認した。
 ・IRUの異常や搭載コンピュータのハードウェア異常など、他の要因の可能性は低い。
 ・姿勢異常時のリアクションホイールへの角運動蓄積をシミュレーションした結果、実際の値とほぼ同じ角運動量が蓄積されることを確認した。
 ・不適切なパラメータでスラスタの噴射をシミュレーションした結果、太陽電池パドルが分離する回転速度に到達するケースがあり得ることを確認した。
 ・観測されたASTRO−Hの回転速度と、太陽電池パドルが破断すると推定される回転速度は同じオーダー(桁)である。
 ・分離した物体のうち、ID:41443は4月20日に大気圏に再突入し、ID:41438は本日4月28日に大気圏に突入する。いずれも大気圏中で燃え尽きると推定されている。

・JAXA発表文より

 X線天文衛星ASTRO-H「ひとみ」については、異常事態発生後、理事長を長とする対策本部を設置し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)をあげて不具合の全容解明を行うとともに、衛星状態の把握に努め、衛星の機能回復に向け全力を尽くしてまいりました。
 しかしながら、JAXAとして技術的に検討した結果、以下2つの結論に至りました。

1.物体の分離に至る推定メカニズムについてシミュレーションを含めた解析の結果がほぼ確定し、構造的に弱い部位である太陽電池パドルが両翼とも根元から分離した可能性が高いこと。

2.物体が分離した後も電波を受信できていたことを根拠とし、通信の復旧の可能性があると考えていたが、得られた電波の周波数が技術的に説明できないこと等から、受信した電波はASTRO-Hのものではなかったと判断されること。

 また、複数の海外機関からも太陽電池パドルの両翼分離を示唆する情報を得たことから、これらの情報に基づき、今後衛星が機能回復することは期待できない状態にあるとの判断に至りました。

 以上の判断を踏まえ、衛星の復旧に向けた活動は取りやめ、今後、今回の異常に至った原因究明に専念することとし、ASTRO-Hとしての設計/製造/検証/運用の各段階において今回の事態に至った要因を調査し、背後要因も含めた原因を徹底的に究明いたします。

 この衛星の観測成果に期待し、応援いただいてきた多くの国民の皆さま、NASAをはじめ国内外の協力関係機関の皆さま、観測を進めようと計画されていた国内外の天文学の研究者の皆様に対しまして、ASTRO-Hの運用を断念せざるを得ないことについて、深くお詫び申し上げます。

 これまで衛星状態の把握のために、地上からの観測等のご協力をいただいた国内外の関係機関の皆様には厚く御礼申し上げます。

以上です。

No.1959 :X線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会(2016年4月15日開催分)
投稿日 2016年4月16日(土)22時51分 投稿者 柴田孔明

 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について、2016年4月15日午後より記者説明会が行われました。その中から抜粋して掲載します。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力

・異常が発生した推定メカニズムなど(資料及び説明より抜粋)
(※注意点:推定を含みますので、今後の調査で変わる可能性があります)

 ・2月28日、スラスタの制御パラメータを更新。(以後、スラスタ使用予定は無し)
 ・3月26日、予定されていた姿勢変更運用を終了。
 ・姿勢変更後、実際には衛星は回転していないのに、姿勢制御系が「衛星は回転している」と判断した。
 ・この回転を止めようとリアクションホイールを制御。
 ・実際には静止していたところに、この回転を止めるための力が加わり、逆にゆっくりと回転が始まる。17時間弱で一回転。
 ・姿勢制御系は太陽センサを姿勢異常判断に使用してないなため、姿勢異常が検知できずに回転が継続している。
 ・地球の重力の影響で衛星が傾くため、それを補正する動作のためリアクションホイールに角運動量が蓄積。(通常運用でも同様)
 ・蓄積された角運動量は磁気トルカを使ってアンローディングする。(通常運用でも同様)
 ・アンローディングが姿勢異常のためうまく働かない。
 ・リアクションホイールに蓄積された角運動量が上限値(120[Nms])に達する。
 ・上限値に達したことで姿勢制御系はリアクションホイールに異常が発生したと判断し、スラスタセーフホールドモードに移行する。
 ・太陽電池が太陽を向くようにスラスタを噴射して姿勢制御を行った。
 ・しかしこの噴射に使われた2月28日のパラメータが不適切で、衛星の回転が加速した。
 ・回転により衛星の一部が分離。
 ・4月15日現在で通信は回復していない。
 ・分離した物体のうち、2つが4月29日と5月10日にそれぞれ大気圏に突入する。減速が大きいことから軽い物体で、大気圏中で燃え尽きると推定されている。

 ※衛星が回転していないのに回転を検出した件について、慣性基準装置とスタートラッカの、ある動作の組み合わせで発生すると推定されている。
 ※スラスタの制御パラメータについては、打ち上げ後に衛星が伸展ベンチや太陽電池パドルが展開し質量特性が変化したことを踏まえ、2月28日にそれらに対応したものに変更した。この新しい設定値が不適切であったことが、今回の事象の調査で確認されている。
 ※軟X線分光検出器(SXS)冷却システムの液体ヘリウムは、現時点では減少はしているが枯渇には至っていないと推定されている。
 ※3月26日〜3月28日にかけて受信した電波は、キャリア周波数として200[kHz]程度のずれがあり、周波数スペクトルが地上試験データと異なっている。

以上です。

No.1958 :X線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会(2016年4月8日開催分)
投稿日 2016年4月9日(土)16時00分 投稿者 柴田孔明

 4月8日15時半より、X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H) の状況についての記者説明会が行われました。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力
・説明補助
JAXA 研究総主幹 満田 和久

※現状報告の資料と質疑応答より抜粋。
・今日時点(4月8日)において「ひとみ」との通信は回復していない。
・予定通り観測を行うのは難しい状況になっている。
・JSpOCの観測した物体ID=41337が「ひとみ」本体と推定している。これは安定して軌道追跡ができている。(※JSpOCが4月1日まで41337としていた物体は識別ID=41442となった)
・このID=41337が3回の電波を受信した物体で、一番大きい物体と推定されている。また、すばる望遠鏡での撮像により、数m程度の大きさのある物体であると推定している。
・前回発表した電波受信のうち、最後のサンチアゴ局(3月29日)のものは、解析の結果「ひとみ」ではなく同じ方向にあった太陽光の雑音であった。
・3回目の電波受信を解析し、ID=41337が電波の発信源と考えている。
・光学観測から衛星の回転周期は5.22秒(あるいは整数倍)とかなり速い。
・この速い回転速度を発生させる原因候補として姿勢制御系の異常が考えられている。
・現在は5.22秒の回転周期だが、この周期では衛星からの分離が起こることは考えにくい。
・仮に3秒以上の回転周期になると、太陽電池パドルや伸展ベンチが衛星から分離する可能性がある。そのため当初は速い回転周期だったものが、物体の分離で5.22秒まで減速したことも考えられる。
・当初、姿勢異常が発生したときは約17時間で1回転というゆっくりとした周期だった。
・太陽電池パドルに破損があった場合でも、3枚が残存していれば制約はあるが観測は可能。

以上です。

No.1957 :X線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会(2016年4月1日開催分) ●添付画像ファイル
投稿日 2016年4月7日(木)22時46分 投稿者 柴田孔明

 通信が不通となっているX線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会が、2016年4月1日15時よりJAXA東京事務所で行われました。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力
・説明補助
JAXA 研究総主幹 満田 和久

・X線天文衛星「ひとみ」の現状について(資料及び説明より抜粋)
 1.運用の状況
 ・「ひとみ」衛星は、通信不通が判明した3月26日時点では、「初期機能確認フェーズ」で全観測機器の立ち上げを一通り完了しており、4月中旬に「較正観測フェーズ」へ移行予定だった。
 ・異常判明後の3月25日及び3月26日にかけては、次フェーズ移行に向けた準備として、複数のX線天文体ら望遠鏡指向し、全観測機器で試験観測中だった。

 2.テレメトリデータ受信状況
 ・JAXA内之浦局(USC)可視群では、コマンド・テレメトリ運用(衛星データレコーダ再生を含む)を行い、その他JAXAマスパロマス局(MSP:スペイン)/JAXAミンゲニュー局(MGN:オーストラリア)可視群では軌道決定のための運用(レンジング運用)のみを行う計画であった。
 ・USC可視群最終可視(3/26未明)以前の、非可視時間帯含む連続した全ての衛星テレメトリデータは、衛星データレコーダから再生・取得済みである。
 ・一方で、不通直前のMSP/MGNの全3可視分は、可視時間帯のみに一部のテレメトリだけが取得できている。

 3.事象発生前後の衛星状態(※資料より抜粋)
 ・3月26日
  3時1分:姿勢変更マヌーバ(約21分)(※観測方向を「かに星雲」→「活動銀河核」に)
  3時2分〜3時13分:USC局運用(正常)
  4時10分頃:姿勢異常発生推定時刻。(※MSP可視テレメトリから逆算)
  5時49分〜6時2分:MSP局運用(姿勢異常と推定される、発生電力低下、一部に温度上昇または低下あり)
  7時31分〜7時44分:MSP局運用(姿勢異常と推定される、一部に温度上昇または低下あり。※日陰のため発電無し)
  9時52分〜10時4分:MGN局運用(姿勢異常と推定される、発生電力低下、一部に温度上昇または低下あり)
  10時31分〜10時53分:ASTRO−H Breakup時刻(JSpOCによるTwitterより。※10時42分±11分と推定)
  16時40分〜16時50分:MGN局運用 通信出来ず。JAXAとして「ひとみ」運用異常を確認。
  23時39分〜23時52分/23時40分〜23時53分:USC局(約3分間)、勝浦宇宙通信所(KTU)局(約3分間)それぞれ電波受信。

 ・3月27日
  1時20分〜1時33分/1時22分〜1時33分:USC局(約4分間)、KTU局(約6分間)それぞれ電波受信。
  13時:X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H)運用異常対策本部設置
  21時58分〜22時11分:USC局電波受信(22時6分頃から約10秒間、22時7分頃から約1秒間)
 ・3月29日
  0時25分〜0時39分:サンチアゴ局(SNT:チリ)電波受信(0時33分頃から約7秒間)

 4.事象発生後の衛星運用状況
 ・衛星の現在の状況を把握するためには、衛星のテレメトリの取得が必要となる。
 ・通信不良発生後、国内外のJAXA追跡局を優先的に割り当て、推定される「ひとみ」の軌道にアンテナを向けてコマンドを送信し続けているとともに衛星からのテレメトリの受信を試みている。
 ・現在までの4回の通信機会において、衛星からの電波を受信しているが、残念ながらテレメトリの取得には至っておらず、衛星の状態は確認できていない。しかし電波が受信できたことから衛星と送信機がONになっていると考えている。
 ・なお、電波を受信した方向・時刻には、JAXAの把握する限り、他の衛星が存在しないことを軌道情報などから確認しており、この電波は「ひとみ」から発信された可能性が高いと今は考えている。
 
 5.レーダー・望遠鏡の観測状況
 ・3月26日の通信異常発生以降、(一般財団法人)日本宇宙フォーラム所有の上斎原スペースガードセンター(KSGC)のレーダー、及び美星スペースガードセンター(BSGC)の光学望遠鏡を使って「ひとみ」の軌道周辺を観測している。JSpOC(アメリカの国防総省戦略軍統合宇宙運用センター:Joint Space Operations Center)は、「ひとみ」周辺に5つの物体があると公表しているが、JAXAは現在までのところ2物体までの軌道を把握している。
 ・両物体の軌道情報を元に時間をさかのぼると、3月26日10時37分頃にこれらの物体は「ひとみ」の当初の軌道上のほぼ同位置にいたことが判明した。これより、両物体のどちらかは「ひとみ」から分離した物体なのではないかと考えている。
 ・なお、上記時刻については、JSpOCが発信している「ひとみ」のbreakup時刻(10時42分±11分とも整合している)

 6.復旧に向けた運用状況及び要因分析
 ・衛星の通信復旧を最優先事項と考え、引き続き国内外のJAXA追跡局を使用した通信機会(1日約20回程度)において、衛星に向けて電波コマンドを送信して通信確立に最善を尽くしている。
 ・平行して、以下の重要事象について作業(取得済みテレメトリ解析、今後の衛星状態を推定するための検討、要因分析等)を進めるとともに、それらを反映した対策の検討を行っている。
 1.姿勢異常事象
 2.衛星から複数物体発生事象
 3.通信異常事象

・質疑応答などより抜粋(4月1日の記者説明会時点までに判明している件)
 ・不通判明後の電波受信では「ひとみ」のテレメトリはとれていない。
 ・計4回の電波受信できたが、微弱で内容までは不明だった。
 ・電波の方向から「ひとみ」だろうという推定である。
 ・受信は最初は数分間だったが、最後は約6秒になっている。
 ・姿勢異常の発生(推定)からBreakupまで約6時間。
 ・軌道上に二つか、それ以上の物体がある。
 ・日本で観測した二つの物体は1m以上の物体と、1m前後の物体。
 (※観測機器の精度の関係で1m以下の物体は検出が難しい)
 ・二つのうち、どちらが本体とはまだ言えない。
 ・軌道上の二つのうち、一方は高度が下がり、一方は高度が上がった。
 ・二つの物体の軌道を逆にたどると、ある時点で1つになるので、「ひとみ」から分離した可能性が高い。
 ・二つの物体は離れつつある。
 ・電波を受信した時、この二つはまだ近かったので、どちらが発信元かは不明。
 ・明るさが変化しているが、回転しているとは必ずしも言えない。
 ・バッテリの状態が不明で、冷えていたり熱かったりすると充電が難しい。
 ・観測されているデブリでは「ひとみ」と近いものは無かった。
 ・姿勢異常直前の姿勢制御はリアクションホイールを使ったもの。
 

・質疑応答より(一部省略しています)
日本テレビ・2つの物体があるが分解したのか、「ひとみ」は生きているのか。
常田・衛星機体が何らかのダメージを受けて破片として観測されていると思っている。本体は残存している。真っ二つに分かれた状態ではない。根拠として複数の物体が観測された後も電波を4回受信している。衛星は電源系や送受信機などが衛星内部に分散して配置されており、大規模な破壊があると電波を発するのは極めて難しいというのが根拠の一つです。もう一つは、衛星からの複数物体の発生現象をFTA(故障の木解析)で分析していますが、現時点で爆発的な現象を起こすものがもともと衛星内部に無いのではないか。ただしこれは分析中で推測です。
あえて候補をあげると軟X線分光検出器(SXS)のタンク。これは圧力の高いヘリウムが充填されたタンクがあります。姿勢の異常が起きたあと、テレメトリが来なくなるまでは正常でした。もう一つはバッテリで潜在的に障害の要因となるが、これもテレメトリが来ている時までは正常です。もう一つは推進系で、軌道上で姿勢変更をするときにガスを噴射して衛星の姿勢を変えるものですが、燃料タンクを持っているが異常はない。温度分布の変化は姿勢の変化に基づくものと予備的に結論している。
一方、これだけの物体の離脱が発生しているので何らかの破損があったと推測するが、電波の件と衛星内部にエネルギーが高いものが無いことから、衛星本体は残存しているものと推測している。

日本テレビ・原因は宇宙ゴミ(デブリ)ではないのか。
常田・現在のところデブリでこの現象が起こった証拠は無い。調査の途中であり確定的ではないが、衛星の中に原因があったという立場をより重くとらえて原因究明に努めている。

日本テレビ・原因究明はどのくらいを目処にしているか。
常田・原因がどこだということが掴めないくらい複雑。単純なことではないのではないかという印象をもっている。候補でないものを消していく。予断を廃してあらゆる面から原因究明をする。日々情報は集まっているが、いつ頃までとは言えない。

NHK・残存している本体の状況はどうなっているか。
常田・姿勢異常の発生後に何回かリアルタイムのテレメトリを受けていて、これが今後の原因究明の重要な証拠となる。
久保田・衛星から複数の物体が発生したことを観測した。何らかの力を受けているので、たぶん回転しているだろう。どのように回転しているかは全くわからない。

NHK・原因の可能性があるものは何か。
久保田・バッテリ、推進系、ヘリウムタンクがあるが、得られているテレメトリデータでは正常であった。非常に大きな衛星なので姿勢異常との関係もチェックしている。そういった項目でどうなるかを調べているところ。

NHK・X線天文学にどういう影響が出るか。
常田・最近の天文学は衛星にしろ地上観測にしろ非常に大規模になっていて、同じ目的のものを世界で張り合って作ることはなくなってきている。国際協力で1つの目的の観測装置を作っている状況。ASTRO−H「ひとみ」についても同様の状況。X線天文学は日本が世界的な成果をあげ続けている。「ひとみ」は日本主導で米欧が加わって国際協力で作り上げた。搭載された観測装置の性能は従来の衛星より上がっている。類似の装置は計画中を含めて無い。それ故に世界中の天文学者の期待は高かった。なんとしてでも復旧させたい。

日刊工業新聞・協力を依頼したのはどの機関か。
久保田・衛星の観測のため美星、上斎原。そのほかの天文台等にも観測をお願いしている。
常田・国立天文台の「すばる」望遠鏡にも依頼。その他、東京大学等の所有する天文台。国内とハワイにある望遠鏡を動員して観測していただいている。
原田・海外については、この分野で進んでいるJSpOCにお願いしている。フランス、ドイツにもお願いしているが、「ひとみ」の軌道傾斜角が31度であり、ヨーロッパやアメリカ北部からでは仰角が低くなる。

朝日新聞・分離した物体はどのくらいの大きさか。
原田・光学望遠鏡では明るさは判るが大きさは判らない。レーダーは600kmの距離では直径1mの物体が観測できる。ひとつは1m以上の物体で安定して観測できている。もう1物体は、二回しか観測できていないので、観測限界に近いもの。ただし電波の反射特性によるので断定はできない。

朝日新聞・JSpOCは5つ観測しているがJAXAはどう考えているか。
原田・5つについてはまだ観測できていない。リソースが限られているのと、能力の限界がある。JSpOCの言う物体があっても能力限界より小さいのではないか。また軌道を把握していない中で捜しているので、軌道の誤差かもしれない。何とも言えない。

朝日新聞・JSpOCは「ひとみ」の他に5個あるとのことだが、JAXAとしては「ひとみ」ともう一個ということか。
原田・断定はできないが、その可能性がある。

読売新聞・4回の電波を受けているが、直近の受信は短くなっているがバッテリが無くなってきているのか。そうなってしまった場合、通信の復旧はどういった手順になるのか。
久保田・正確にはわからないが、回っているなら太陽電池パネルに太陽が当たっている時間に電源がONになる。その時間がどのくらいかによって通信できる時間も決まってくる。短時間なのは、そのときにONになったと推定している。時間が経つと最大慣性主軸で回るので、そのときに太陽が当たる時間が長くなることに期待している。そのときに電波を受信してテレメトリがとれればと思っている。

読売新聞・バッテリが終わると安定するまで何もできないのか。それはどのくらいの期間か。
久保田・衛星が分割したので形状がわからず読めない。バッテリは太陽に当たる時間が短いとなかなか充電できないので、太陽に当たる時間が長くなる時期を待つことが通信を得るチャンスと思っている。バッテリに関しては厳しい状態。

読売新聞・高度が下がっているとのことだったが、どうなっているか。
原田・軌道決定した2物体だが、一つは元々の軌道高度から平均高度で2kmくらい下がった。もう一つは元々の軌道から数百m高くなっている。分離の仕方がわからないが、同じ場所にあったものがそういう動きをするということは、片方が加速し高くなり、片方が減速の方に動いて下がった。

読売新聞・下がっている方が本体とすると、どういうことが考えられるか。
久保田・なかなか難しいが、力を受け減速している。

ニッポン放送・どちらかは「ひとみ」から分離したとあるが、どちらも「ひとみ」由来なのか、それとも片方だけなのか。
原田・どちらも「ひとみ」由来と考えている。本体がどちらかはまだ言えない。観測の状況から推測はできるが絶対とはまだ言えない。可能性としてはどちらもあり得る。

ニッポン放送・回転しているとのことだが、太陽電池にとって最適な軸なら起電力が増えるのか。
久保田・回転していることもある意味推定であります。分離の時、その力がかかったのが衛星の重心でない限りは回転する。回転しているので発電する/しないの繰り返しだろうと推定しています。太陽電池の向きが最大慣性主軸(Y軸:太陽電池に対して垂直)になっているので、いずれそれで回り始めます。地球のまわりを公転しているので、太陽を向く時期が来て発電できる。

ニッポン放送・電力が得られず冷却機能が動かないことで動作不良を起こさないか。
久保田・「ひとみ」は打ち上げ後から姿勢が決まるまで、いろいろな方向から太陽が当たることを考えて作っている。どのくらいの時間になるか、どのくらいの回転数なのか判らないので、衛星の今後の状態を予測しながら解析を進めている。すぐにどうこうとなるとは考えていないが、状態によってどうなるか考えている。

東京新聞・現在のところ原因がデブリではない理由は何か。
原田・判っているデブリは公表されている。JSpOCでは10センチ以上とされているが、それらについては軌道は把握されていて、我々も観測できるものは観測している。それらと「ひとみ」が接近するという情報は事前には無かったし、もしあれば日米の取り決めで通知されることになっているがそれも無かった。現在観測され軌道が明らかになっているデブリについては、まず無い。ただしJSpOCの能力より小さいデブリについては否定できない。

東京新聞・「ひとみ」由来の二つの物体は、徐々に離れているのか。
原田・軌道が上がったものは周期が長くなり、下がったものは周期が速くなり、徐々に離れている。

東京新聞・明滅の周期については7秒間隔という観測もあるがJAXAの解釈は。
原田・明るさは変化している。ただし物体の軌道を決定する目的で、写真を撮って点を繋いで軌道を決定するもの。これは動画ではないので周期はわかっていない。
久保田・明るさが変化するということは、光を受けている面が回っていると考えるのが普通だが、要因については判らないので観測を続けている。

東京新聞・太陽電池に太陽光が当たるまで数ヶ月単位でかかるのか。
久保田・正確には言えないが、そのくらいも視野に入れて解析中です。

・ハウスキーピングデータは「ひとみ」が発信したものか。
久保田・不通後は電波のみを受信しテレメトリは来ていないので衛星の状態はわからない。その前の軌道決定の運用時は電波もテレメトリも来ている。ただしこの時は運用中のデータのみで、その間のデータはとられていない。

・衛星の状態を把握するためにテレメトリを取るのか。
久保田・テレメトリ受信が第一優先。

・復旧の可能性はどのくらいか。
久保田・状態によって何とも言えないが、電波を4回受けているので、テレメトリデータをなんとか受信したい。

日経新聞・今回の「ひとみ」のように人工衛星で通信不能になったケースは。また復旧したか。
久保田・衛星「あかり」が日陰のときバッテリが少なくなって通信できなかったことがあった。復旧には3ヶ月ほどかかった。「ひとみ」が観測可能になるかは衛星の状態がわからないと言えない。

日経新聞・テレメトリが受信できたとして、復旧して観測ができる可能性はどのくらいか。
原田・どのくらいかは、テレメトリデータを受けて、どこがどうなっているか判らないと何とも言えない状態。

日経新聞・今後三ヶ月でデータがなかなかとれないとなった場合、半年とか一年とか、どこまで頑張るのか。
常田・衛星が何らかのダメージを受けているのは事実。太陽電池パドルに太陽光が当たらずバッテリの充電ができない。太陽光が当たったときのみの短時間の電波が来ている状態。ダメージの如何によりますが、姿勢が良くなると衛星も観測も復帰できる。電力が失われたのは重大な事態だが、それだけで衛星が恒久的な障害を起こすものではない場合もある。「あかり」の例のように数ヶ月の単位で復旧の努力をしたい。質問はそれでも復旧しなかった場合との趣旨だと思いますが、原因究明とともにその後の衛星の状態を予測してゆく。今は原因を特定できていないので、数ヶ月先を言うのはまだ早い。

テレビ朝日・光学望遠鏡での観測結果で、これは「ひとみ」本来の見え方と比較するとどうなのか。
原田・大変申し訳ないが、もともとの「ひとみ」観測の実績が殆ど無いため比較ができない。この望遠鏡は静止軌道のデブリ観測のためのもので、低軌道の人工衛星では追尾速度が限界に近い。

テレビ朝日・実績が無いとすると推測ではどうか。
原田・通常は人工衛星は肉眼でも見え、「ひとみ」は大きな衛星のため、通常は恐らく明るく見える。今は光学特性が把握できていない。
久保田・太陽電池やMLI(多層断熱材)など反射率の高いものに太陽光が当たると明るくなる。また衛星が八面体のため、姿勢によって明るさが変わる。

テレビ朝日・電波は何カ所で受信しているか。
久保田・内之浦局、マスパロマス局、ミンゲニュー局、サンチャゴ局、勝浦局の5局で追跡をお願いしている。内之浦局は1日5回のパスがある。コマンドを打って電波を待ち受けている。合計で1日のべ20局ほど。これは通常よりかなり多い。
原田・JAXAは全体で20機程度の衛星を追跡している。他の衛星もきちんと運用する。内之浦局は今は「ひとみ」優先。海外4局を含め、のべ20パスを運用している。

テレビ朝日・二つの物体のうち、「ひとみ」本体は軌道が上がって安定して観測されている方という理解で良いか。
原田・軌道が上がっている方が安定してレーダーで観測されている。光学は回数は少ないが、明るい方が軌道が上がっている。ただ、軌道が下がっている方も微妙な軌道の変化をしていて、必ずしもそちらから電波が来ていないという断定もできない。正確な軌道位置を計算し、アンテナを向ける精度を上げるなどを今後検討したい。
久保田・今現在、どちらが「ひとみ」か判らない。今は軌道が上がっている方も下がっている方も電波が受信できていない。分離当初は二つが近く方角がほぼ同じで、どちらが発信源かわからない。

時事通信・地上からコマンドを出すことがトリガになって衛星から電波が出るのか。搭載コンピュータが作動しているのか。
久保田・衛星には送受信機があって、太陽が当たると電源がONになる。通常はコマンドを送って、それに応じて返すが、どういう事象が起こっているかによって微弱な電波を出す場合もあって、コマンドを受けているかどうかはまだ判らない。コンピュータの状況も確認できていません。

時事通信・電波を受けてもテレメトリが無いのは指向性の問題なのか、それとも出力の問題か。
久保田・ひとつは太陽電池に太陽が当たっている時間が非常に短いことが原因と思いますし、その他にも原因があると思う。まだ調査中。

時事通信・当初の4分間や6分間の長めの受信は継続して受けていたのか、それとも断続的だったのか。
久保田・確認しますが、継続的に受けたと思います。電波の受信レベルが低かった。

時事通信・内部のエネルギーが高いものが漏れたら、今の変化は十分起こりえるものか。
久保田・いろいろなケースを考えて調査している段階です。

・最後の姿勢制御マヌーバはリアクションホイールで行われたのか。またそのときのテレメトリでの姿勢は全て正常か。また、通常は衛星から常時ハウスキーピングデータが常時出ているのか。
久保田・姿勢変更はリアクションホイール。軌道決定の運用時は、そのパス時のハウスキーピングデータは受信しているがリアルタイムでは見ていなかった。後日解析の予定となっていた。衛星の送信機はずっとONの状態。ただ姿勢異常発生後の3回の運用時以外はハウスキーピングデータは下ろしていない。またこの3回の運用は予定通りに行われていた。

産経新聞・今までの話から「ひとみ」の内部の原因を重く見つつ、JSpOCが監視できる大きさ以下のデブリの可能性も排除しないということだが、この「ひとみ」の軌道ではデブリが深刻なのか。
原田・デブリが多い高度帯です。高度千キロ以下に衛星が多い。運用を終えた衛星や、打ち上げたロケットが多い。ものによっては分離するなどして、多くのデブリがあります。公表されている1万7千個のデブリのうち、1万数千個は主に千キロより下の軌道帯にある。この高度はうっすらと大気があるので、制御されていないものは大気抵抗で徐々に落ちている。ある高度のものが下に落ちても、そのまた上の軌道から落ちてくるので常にデブリが存在する。衛星はミッションに適した高度を選ぶ。観測や地上運用がしやすい軌道は多く使われる。そのためデブリを観測して安全な運用をするための活動が重要で、JSpOCも我々も活動している。

産経新聞・「ひとみ」のデブリ対策は行われているか。
満田・デブリより自然由来の隕石が非常に多いので、それに対する防御をやっている。

共同通信・デブリではなく、衛星内部が原因とすると可能性が高いものは何か。
久保田・まず姿勢異常があったことと、複数物体が発生したことの関連を調べている。先の3つ(燃料、ヘリウム、バッテリ)で異常があった場合どうなるかを解析している状態で、現状では決め手はない。また制御に異常があったことで、それに関連したものが発生しないか調べている。どれが確率が高いかは今の段階では言えない。

共同通信・姿勢変更マヌーバのあと姿勢異常が発生している。原因はそのあたりにあるのではないか。
久保田・そこも含めて検討中です。

フリー大塚・異常発生後の4回の電波のみ受信というのは、ピーコンのようなものなのか、何かデータが含まれているのか。電波の強さは通常より弱かったのか。
久保田・電波と書いたのは、変調などが含まれているかが微弱でわからないため。電波の強度は通常より弱い。

毎日新聞・姿勢異常発生の推定時刻からBreakupまでに6時間半くらいある。どういったことがあったのか。
久保田・Breakupの推定時刻付近で起こった事はデブリなのかまだ判らない。姿勢異常から起こったことなのかを疑って検討しているところ。姿勢変更マヌーバからの関係も色々な要因を考えて調べているところ。デブリよりも衛星で何が起こったか整理しているところ。

毎日新聞・6時間半の時差は、どういった事が考えられるか。
常田・調査のポイントのひとつ。Breakupが先で、それが不具合を引き起こしていると思ったが、実際は姿勢異常が先に始まった。現時点は不明。

NVS・「ひとみ」の初期観測中だったが、先代の「すざく」と比較してどうだったか。
満田・初期観測から1ヶ月で徐々に観測装置がONになってきて、26日は全ての観測装置が動いている状態。このときの観測対象は観測装置の性能を確認するもの。しかしサイエンス的に意味のあるデータもとれている。ASTRO−Hとしてデザインされた性能が出ており、「すざく」よりも優れている。

NVS・X線天文学者や「ひとみ」を作った人達に何かステートメントは出しているか。
常田・「ひとみ」は最先端の観測機器が積まれている。国内ではなく世界最先端の装置。そのうちの一つは米国と密接な協力で開発したもので、優に10年をこえる開発期間がかかっていて、開発に携わった先生の一部には20年近くこの装置に携わってきた。非常に順調に観測していた時に、突然こういう事が起きて、観測装置を開発された方、その観測データを使いたいと思っていた世界中の研究者にとっては非常に残念でショック。一方、原因解明をしなければならず、また衛星を復帰しなければならない。落胆はあるが、それよりむしろ回復させるという一点で張り詰めた気持ちで事に臨んでいる。

フリー鳥嶋・5時49分ので姿勢と電源と温度に異常があったが、セーフホールドモードには入らなかったのか。
久保田・この段階では入っていなかった。色々な仕掛けがあるが、そこまでは入っていなかった。

フリー鳥嶋・衛星の回転は予想されたものか。またその回転に耐えられるのか。
常田・非常に大きい機体。静止していた重い衛星が、速い回転を起こすのはちょっと考えにくい。しかし地上からの観測で明るさの変化があることから回転している可能性があり、その点も調査のポイントとなる。

朝日新聞・物が分離し重大な事象と考えているのか、また、先の発表時より状況が悪くなっているのか。
常田・衛星の姿勢異常はあってはならないが、どうしても起きる可能性がある。その場合は復旧に全力を尽くすが、今回はそれを超えて離脱した物質が観測されている。姿勢異常でも重大な事態であり、さらにこういう状況に至っているということで、JAXA全体で非常に重く認識している。
状態が悪くなっているかという点は、衛星が悪くなっているかはわからない。一般に回復できない、時間が長くなるほど事態は悪くなっている可能性は否定できない。衛星の回転の軸が変わりつつあり、太陽電池に光が当たるか、地上と通信できるかは確率的なものがある。通信頻度が下がっていることで、努力をあきらめるものではなく、さらに努力を続ける。悪い方に向かっているとは必ずしも思っていない。

朝日新聞・現状で、観測スケジュールに影響はあるか。このまま復旧できなければ影響はあるか。
常田・4月中旬に較正観測フェーズが終わり試験観測フェーズが6ヶ月、そのあと本観測で公募の観測を開始する予定だった。当初の目的に沿った観測ができない。現時点で国際天文台としての活動の時期は遅らさざるを得ない。
 極めて貴重な衛星。現時点で回復に全力をあげる立場。衛星の残存に根拠がある。その先の状況については考えていない。

東京新聞・爆発的な物ではないとすれば、姿勢異常の応力で分離することはあるのか。あるいはガス噴出で物が外れる事はあるのか。
久保田・可能性はあると考えて調べている。いろいろなケースを考えている。先に例として挙げたものは要因の候補であって有力かは判っていない。

以上です。

No.1956 :X線天文衛星「ひとみ」の状況について
投稿日 2016年3月29日(火)19時54分 投稿者 柴田孔明

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況についてJAXAから発表がありました。(3月29日版)
現状では衛星の回復について厳しい内容となっています。

 以下がJAXAの発表内容のコピーです。

 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)につきましては、引き続き国内外の地上局を用いて継続的に通信を試みております。
 3月28日(月)以降、これまでに衛星からの電波を2 回の通信機会で受信いたしました。
 一回目の受信は、内之浦宇宙空間観測所にて、3月28日(月)22時頃、二回目はサンチャゴ局にて3月29日(火)0時半頃です。いずれも極めて短い時間の受信であり、衛星の状態は確認できておりません。
 一方、米国 JSpOC(国防総省戦略軍統合宇宙運用センター;Joint Space Operations Center)から3月26日(土)10時42分頃に衛星が5 つの物体に分かれたものと推定しているとの情報が公表されております。
 これについて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)として事実関係を確認するため、
(一財)日本宇宙フォーラム所有の上齋原スペースガードセンター(KSGC)のレーダおよび美星スペースガードセンター(BSGC)の望遠鏡による観測を行っております。これまでのところ、BSGCにおいて当初の「ひとみ」の軌道近傍に2 つの物体を確認し、KSGCでもそのうちの1 つの物体を確認しております。
 なお、上記サンチャゴ局で受信できた電波は、KSGCで観測した物体の軌道方向からのものであることを確認しています。
 JAXAとしては、JSpOCが公表している情報および今回の通信異常との関係について引き続き確認中です。
 引き続き衛星の通信の復旧及び原因調査について機構をあげて取り組んでまいります。
 新しい情報が確認できましたら、速やかにお知らせいたします。
 (※注:時刻はすべて日本時間です)

No.1955 :X線天文衛星「ひとみ」異常の続報
投稿日 2016年3月28日(月)11時12分 投稿者 柴田孔明

2016年3月28日11時発表のJAXAからの続報からの抜粋です。

 『X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)につきましては、3月27日(日)18時15分の発表以降も、国内外の地上局を用いて継続的に通信を試みておりますが、現在までに衛星からの電波を受信できず、衛星の状態を確認できない状況が続いています。現時点で、通信不良の原因は不明ですが、引き続き衛星の通信の復旧及び原因調査について全社的に取り組んでおります。
 なお、米国 JSpOC(国防総省戦略軍統合宇宙運用センター;Joint Space Operations Center)から、衛星が複数の物体に分かれている可能性があるとの情報が公表されておりますが、複数の物体を確認したとされる時刻以降に短時間ではあるものの衛星からの電波を受信できたことから、機構において衛星の通信異常との因果関係について確認中です』

No.1954 :X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H)に異常が発生
投稿日 2016年3月27日(日)20時09分 投稿者 柴田孔明

 2016年2月17日に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H)に異常が発生し、3月27日夕方に記者説明会が行われました。

 JAXAの発表文は以下の通りです。
『平成28(2016)年2月17日に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)は、3月26日(土)の運用開始時(午後4時40分頃)に衛星からの電波を正常に受信できず、その後も衛星の状態を確認できない状況が続いています。現時点で、通信不良の原因は不明ですが、短時間ではあるものの衛星からの電波を受信できたことから、引き続き衛星の復旧に努めております。
 この衛星状態を受け、復旧及び原因調査に万全を期すため、本日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構内に理事長を長とする対策本部を設置し、第1回会合を開催いたしました。ひとみの通信の復旧及び原因調査について全社的に取り組んでおります。対応状況、調査結果については随時お知らせいたします』

※質疑応答より
・衛星の姿勢が正常ではない。
・軌道も若干下がる方向にずれが見られる(注:解析中)。
・衛星のLGA(低利得アンテナ)はどの方向でも通信ができるが、それができない事から太陽電池パドルが太陽を向かずバッテリが充電できていないことが推測される。
・短時間の電波受信はできたが、衛星の状態を含むテレメトリは受信できていない。
・観測に使う液体ヘリウムは一ヶ月で無くなる可能性がある。ただし液体ヘリウム無しでも観測できるモードがあるが効率は少し悪くなる。
・対策本部の設置は2003年11月(H-IIAロケット6号機の失敗時)以来。

No.1953 :SRB-A分離と月 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月27日(土)12時35分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット30号機のSRB-A分離と月。

No.1952 :打ち上げの様子 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月27日(土)12時34分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット30号機打ち上げ。竹崎展望台より。

No.1951 :記者会見3部 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月27日(土)12時32分 投稿者 柴田孔明

記者会見3部より

No.1950 :ASTRO−Hは「ひとみ」 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月27日(土)12時31分 投稿者 柴田孔明

記者会見第2部より「ひとみ」命名発表

No.1949 :打ち上げ後記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月27日(土)12時29分 投稿者 柴田孔明

 H-IIAロケット30号機は2016年2月17日17時45分に打ち上げられ、X線天文衛星ASTRO−Hを軌道に投入することに成功しました。また、同日19時25分より打ち上げ経過記者会見が開催されました。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
文部科学省 文部科学審議官 
 戸谷 一夫
宇宙航空研究開発機構 理事長 
 奥村 直樹
三菱重工株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部長 
 阿部 直彦
・側面列席者
文部科学省 審議官(研究開発局担当) 
 森 晃憲

・打ち上げ結果報告・阿部
 三菱重工業株式会社及び宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから平成28年2月17日17時45分00秒(JST)に、X線天文衛星(ASTRO-H)を搭載したH-IIAロケット30号機を予定通り打ち上げました。
 ロケットは計画通り飛行し、打ち上げ後約14分15秒にASTRO-Hを正常に分離した事を確認しました。
 ロケット打ち上げ時の天候は晴れ、北西の風(5.1m/s)、気温10.9度Cでした。
 ASTRO−Hが軌道上での初期機能確認を無事終了し、所期の目的を成功裏に完遂されることを心より願っております。
 本日の打ち上げ成功でH-IIAは通算30機中29機の成功、成功率は96.7%になりました。H-IIBとあわせると通算35機中34機の成功、成功率は97.1%です。またH-IIA/B、29機の連続打ち上げ成功になりました。
 今回は当社の打ち上げサービス、ちょうど20機目でした。
 また、天候により1週間ほど打ち上げを延期しましたが、無事打ち上げることが出来、たいへん安堵しています。
 当社はこれからも、皆様に安定的な打ち上げサービスを提供できるよう、さらに心を引き締め、細心の注意と最大限の努力を傾注してまいります。
 今回の打ち上げに際し、多くの方々にご協力ご支援いただきました。あらためて関係者の皆様に心よりお礼を申し上げると共に、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

・打ち上げ結果報告・奥村
 ただ今三菱重工様からH-IIA30号機の打ち上げ成功に関わるご報告がございましたけれども、打ち上げサービス事業者としてロケット打ち上げを予定通り執行していただきました三菱重工様に私の方から御礼を申し上げたいと思います。
 また私どもJAXAの仕事でございます、今回の打ち上げに関わる安全管理業務を、これを達成したことをご報告申し上げます。
 毎回のことですが、打ち上げに際しましては、地元の皆様、あるいは関係機関のご支援ご協力のもとに初めて成し得たものと考えています。あらためてご関係の皆様方に御礼を申し上げたいと考えてございます。
 JAXAはこのASTRO−Hに関しましては今後、衛星の運用者としての役割がございます。現在衛星は無事に飛行しているものと考えていますが、向こう一週間にわたって初期のクリティカルフェーズをむかえることになります。従って衛星担当者は今後とも一週間あまりにわたって各機能が十分保たれていることを確認する作業を行う必要がございます。従って我々にとってはまだまだ緊張の続く日々でございます。
 既にJAXAの方から皆様にご報告しておりますように、今回のASTRO−HはX線天文衛星として、まさに宇宙の構造を探る極めて重要な国際的な共同作業によって作り上げられた天文衛星でございます。今回の打ち上げにあたりまして、NASAをはじめ外国の関係機関の皆様にも参加頂きましたけれども、大変能力の高い機能を有しており、国際的にも新しい宇宙を観測できるものとして、十分その機能に期待が高まっているものであります。当然我々JAXAとしても、そういった国際的な提携を元に、今後クリティカルフェーズを克服し、運用にあたっては新しい科学的な知見を見出してゆくことに努力して参る所存であります。引き続き皆様方にはご理解とご支援のほどをお願いしたいと思います。
 また平成27年度を振り返ってみますと、昨年のH-IIB5号機による「こうのとり5号機」の打ち上げ、11月のH-IIA29号機の民間衛星打ち上げの際に、私共や重工さんをはじめ企業の皆さんと開発致しました高度化技術を実証できた訳であります。そういった意味で平成27年度当初で計画していた通りの作業が出来てきているのではないかと考えています。
 引き続きご理解ご支援をお願いしたいと思います。

・登壇者挨拶・戸谷
 私は文部科学省の中で科学技術全般を担当する文部科学審議官として、本日の打ち上げに立ち会わせていただきまして、この成功を目の当たりにしまして大変喜んでいるところでございます。文部科学省としては既に馳文部科学大臣の談話を皆様方にお配りしている所でございますけども、今回の打ち上げ成功によりまして、先程三菱重工様よりお話がありましたH-IIAロケットの24機連続成功、H-IIBロケットの5機連続成功という事がございますが、さらにそれに加えまして我が国として基幹ロケットとして固体燃料でやっているイプシロンロケットもある訳でございますけども、我が国の宇宙開発における基幹ロケットが30機連続成功ということで、このことにつきましては我が国が有するロケット技術の着実な発展と信頼性の向上を示すものという事で考えております。
 現時点におきまして打ち上げは成功ということで、衛星についてはまだ運用で予定通り行くかどうか、これから更に時間をまだ要するところでございますけども、本日のASTRO−Hの位置づけとしまして、世界のX線天文学の、世界の研究者の期待、あるいは世界の研究者の装置を乗せた非常に重要な国際共同プロジェクトを日本が主導する形で今日まで来ているということになることと、先日の重力波観測の発表もございましたけども、そういった事とあわせて、我が国が主導するX線天文学が、非常に大きな今後の天体観測・宇宙観測の中での重要な位置を占めることになるということでございます。本日ここに至りましたことについて、衛星開発あるいはロケットの打ち上げに様々なご尽力ご支援をいただいた関係者の方々に対して、文部科学省といたしましてもこの場を借りて深く厚く御礼申し上げたい。今後ASTRO−Hの運用が着実に実証されましてブラックホール等の天体観測、あるいは宇宙の構造・成り立ちの理解、そういった事が大きく進むということを私共としても強く期待しています。
 文部科学省といたしましては、このロケットにつきましては、既にご案内のように平成26年度からH-IIA/Bロケットの後継としてのH3ロケットの開発を進めております。そういったことで日本のロケット技術の、輸送技術の更なる向上を目指して参りたいと考えております。
 それから宇宙科学につきましても、少し異なる分野でございますけども、来年度、地球のまわりを取り囲む放射線帯を観測するジオスペース探査衛星をイプシロンで打ち上げになると思いますが、こういったものも予定しておりまして、宇宙科学につきましても私共としても着実に進めて参りたいと思っていますし、今後とも皆様方のご理解とご支援を賜れば幸いと考えております。

・質疑応答
鹿児島テレビ・30号機の打ち上げ成功という節目だが、30の意味合いをどう考えているか。
阿部・30機はH-IIまでは無かった号機になる。世界的に見ても30まで重ねるのはそんなに多くない。アリアン、デルタ、アトラスといったものはあるが、スペースXはそこまで行っていません。そういう意味で我が国の技術力が世界に認められるひとつの指標ではないかと思っています。私共としては確実に打ち上げるという高い信頼性を武器に、世界の市場で戦っていきたい。
奥村・世界で見ても30号機を超える打ち上げロケットはそんなに多くないので、これは大変誇らしいものだと思っています。確か初号機が2001年ですから30号機まで達するのに約15年かかってございます。携わる人や環境が変わる中、確実に技術を伝承し、高い打ち上げ成功率で推移してきている。これはたいへん誇って良いものではないかと。関係した皆様方の尽力というものは大変なものであっただろうという風に考えてございます。加えて30号に至るまで、この種子島から打ち上げさせていただいている訳であり、地元の皆様方、関係自治体の皆様方、多くの方々のご支援ご理解があったからこそと私は思っております。そういう意味で今後とも将来につながるH3にあたっても、皆様方のご協力を得ながら当事者として努力して参りたいと考えてございます。

毎日新聞・今日の成功を受けて、H3ロケットに向けた課題をお聞きしたい。
阿部・なかなか難しい質問。H3は今のH-IIAと同じ様に、高い信頼性を引き継いでいけるようにしなければいけない。そういった意味でH-IIAから引き継ぐもの、またコストなど変えるところをよく見極めていかなければならないと考えている。

南日本放送・今回のH-IIA30号機がH3にどう繋がるか。
奥村・まさに私共のひとつの大きな特徴で、今日もオンタイムで打ち上げることが出来た。そういった意味で様々なところで高い精度で事を成し遂げてゆく。これは総合力を発揮するのが日本の宇宙の強さではないかと思っている。従ってH3と世代が変わっても、この強みを保ち、より強くしてゆくという基本的な考え方で進めることが重要ではないかと考えている。

毎日新聞・H3で本格的に市場に参入だが、前回(H-IIA)29号機で初めて商業衛星の打ち上げに成功したが、その後受注はどうなっているか。
阿部・商談については競合もあり、なかなか申し上げられない。しかし先号機の打ち上げ、今回の違った形での打ち上げというものを経ながら、カスタマーの評価は着実に上がってきていることは確かであります。

ニッポン放送・折しも先週に重力波の観測に成功したとの世界的なニュースが流れたが、これにプラスして打ち上げに成功したことで、X線天文学と重力波天文学がますます広がることに関する期待度をお聞きしたい。
奥村・ご指摘の通りブラックホールの合体を重力波で検出したのはビッグニュースであると同時に、重力波を使う事で新たな宇宙の姿を見ることができると明確に示した。今後は重力波あるいはX線と、センシングする能力の違いをあわせて、相互的な関係で理解がより進むのではないか。まさに今後、さまざまなセンサーが観測する事実を組み合わせて、大きく宇宙への理解が進むと私も期待している。

共同通信・H-IIAがH3に置き置き換わる。H-IIAの今後の運用などをお聞きしたい。
阿部・先日、利用部会で提案させていただいたのは、宇宙基本計画にあるように現行H-IIA/BからH3への移行ということで議論をしていきましょうというもの。それを受けて22年か23年頃の切り替えを考えると、そろそろどのミッションをH-IIA/Bで打ち上げ、どのミッションからH3に切り替えてゆく、ちょうどその移行する期間に対して、どういった事をやっていかなければならないかということの、私共からの議論の提示をさせていただいた。決まっているものではない。あれをベースに政府で議論するもの。

共同通信・それを受けて文部科学省としてはどう議論するか。
森・文部科学省としては宇宙政策委員会で、移行期には衛星の割り当てをどうするか議論して決めてゆく。衛星の開発スケジュール等で若干の変動等があるかもしれないが、これまでの議論をベースにして、宇宙政策委員会に報告をして基本的な方向性を決めてゆくことになると思っている。


打ち上げ経過記者会見・第二部

・登壇者
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 ASTRO−Hプロジェクトマネージャ 
 高橋 忠幸
アメリカ航空宇宙局 米国参加代表者 
 Dr. Richard L. Kelley
宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門鹿児島宇宙センター長 打上安全管理責任者
 藤田 猛
三菱重工株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 打上執行責任者
 二村 幸基

・現在の衛星の状態と名称について・高橋
 さきほどH-IIAロケット30号機で打ち上げられたX線天文衛星ASTRO−Hの電波を同日19時40分に内之浦局で受信し、太陽電池パドルの展開が正常に行われたことを確認致しました。現在、衛星の状態は正常です。
 ASTRO−Hの名称を「ひとみ」と命名しました。
 「ひとみ」という名称の由来は以下のようなものです。
 ポスターにある「熱い宇宙の中を観る」というものが、ASTRO−Hを打ち上げて展開してゆくときに、我々がいちばんやりたいと思っていることを言い表しているキーワードと思ったものです。
 ASTRO−Hは熱い宇宙の中を観る瞳です。それから「ひとみ」という名前をつけました。
 もうひとつ、竜を描いて瞳を点ず画竜点睛という言葉がございます。瞳を描き込んだ瞬間、竜が天に昇ったことから示されますように、瞳は物事の最も肝要なところという意味に使われます。「ひとみ」はX線天文学において物事を知るのに最も肝要なミッションとなって欲しいという願いが込められています。
 また瞳は目の中で光を吸い込む部分でもあります。ブラックホールは宇宙の瞳であると言えます。ですから私達は「ひとみ」で宇宙の瞳を観測しようと考えています。
 なお、東京大学中須賀・船瀬研究室で開発され、現在運用中の超小型衛星PRISMの愛称も実は「ひとみ」です。今回の命名にあたり、同研究室には「ひとみ」を用いることを了解していただきました。ここに深く感謝致します。

・Dr. Kelley
 まず最初に、ここにいることをとても幸せに思っていて、働き者のJAXAエンジニア・サイエンティストと一緒に仕事をできたことをとても嬉しく思います。最新の波長分解装置で宇宙物理学をJAXAの人達とやっていくことを楽しみにしています。

・質疑応答
NVS・延期でASTRO−Hに特別な手当などは行ったか。
高橋・延期を考え練習していたので、それにしたがって粛々と今日の打ち上げの日を迎えた。幸いなことに非常に天候が良く、結果として非常に良いことになった。ただ、沢山の方に来ていただいた中で、戻らなくてはならなかった方がおられたはずで残念ですが、そのぶん一生懸命頑張らせていただきました。

NHK・今朝の機体移動や推進薬の充填などで少し作業の遅れがあったが、何が起きていたのかを聞きしたい。
二村・機体移動では衛星のオペレーションで確認を要するものがあり、少し待った。移動後、設備系の最終的な準備作業の中で、これも確認をしなければならない事項が出た。一部は部品を再セットアップしなければいけない事態があった。そういった処置を行ったために少し時間がずれた。その後、作業としては時間を取り戻し、定刻に打ち上げることができた。

毎日新聞・一週間のクリティカルフェーズの後、最初のミッションは何か。
高橋・様々な検出器があり、伸展ベンチを伸ばすこともあるので慎重に行いたいと思っている。まずは姿勢系を確立して、色々な方向に向けられるようにパラメータを確認する。そのあと検出器を立ち上げるが、ある段階で伸展ベンチを伸ばす。そのあと約一ヶ月をかけて各機器を立ち上げる。そのあとよく観測されている天体を観ることによって、私達の検出器が正しい結果を出すか確認したり、キャリブレーションしたりするフェーズをしばらく続けたあとで、試験観測に入ります。試験観測はASTRO−Hの開発メンバーが最初に観測する天体を決めていおいて、それを観ていくフェーズ。そのあと公募観測が始まる。

日経新聞・部品を再セットアップしたとはどういう事か。
二村・液体水素の貯蔵所にある安全弁に少し圧をかけすぎてしまい吹いたという事象があった。これをいちど外して再度セットアップし、再度取り付けて使える状態に戻した。

日経新聞・圧をかけ過ぎた状態のままだったらどうなっていたか。
二村・過加圧で安全弁が吹いた場合、そのまま使うことができないため、セットアップをし直さないといけない。

日経新聞・衛星の新しい分離機構の試験があるが、今後の期待と、現状をお聞きしたい
二村・低衝撃の分離部で衛星に過大な衝撃を与えない、非常にやさしい状態で分離ができる。各衛星の事業者、衛星メーカーからそういった要請があれば、まだデータが出ておりませんが、期待をした性能が出ることが確認できれば、我々としてはお客様に選択肢のひとつとして提供できると思っている。
藤田・速報で正常に作動したと聞いている。詳細なデータ解析はこれから行う予定になっている。

産経新聞・「ひとみ」の命名で、チームの中でどのような経過があったのか。
高橋・ASTRO−Hは、たくさんの人の力でここまできた。ですので、日本の研究者のメンバー、メーカーの方々、研究者がいる大学の学生や卒業生、メーカーの人や研究者の家族、そして難しいと思ったが世界中のASTRO−Hのメンバーから公募した。海外の人には日本語の名前をつけてくださいと言って公募した。たくさんの名前があって、120くらい得られた。そこから名前を調べたり、由来などを調べたりした。いい意味をもつ名前という事で選んだ。私たちはステアリングコミュニティで最終的に決めた。節目節目を私達はそこで決めていた。
Dr. Kelley・とてもふさわしい名前と思っていて、宇宙を観る瞳、ブラックホールのように光を集める瞳。とてもすばらしい名前。「ひとみ」は成功するミッションだと思う。

日刊工業新聞・クリティカルフェーズとはどういった状態で、何か危険があるのか。
高橋・危険という訳ではなく、衛星は最初に太陽電池パネルを開き、姿勢を確立する作業があるが、これができないと衛星として成り立たない。衛星として機能し、観測機器を立ち上げることができる前段階、立ち上げのフェーズをクリティカルフェーズと呼ぶ。これを越えると、あとはゆっくりやっていけばいいと言う事になる。

ニッポン放送・「ひとみ」と決まった瞬間の心境をお聞きしたい。
高橋・あ、これだ、と思った。(ASTRO−Hの)ポスターにも瞳のようなものがある。(ポスターの)「熱い宇宙の中を観る」というフレーズは、名前を決める前にX線天文衛星のことを皆さんに良くわかってもらうためのものとして作ったのですが、まさにこのフレーズは「ひとみ」という名前のために生まれてきたと思えて、非常に不思議な気持ちがした。

時事通信・マイクロカロリーメータで苦労したことと、軌道上でどんなことを期待しているか。
Dr. Kelley・カロリーメータは非常に低い温度で動作します。絶対零度に近い温度で動作し、かつ打ち上げの振動に耐える検出器を作るのは非常に難しい。従来の検出器に比べて非常に高い波長分解能を持っています。全く新しい手段で天体観測をすることによって、たとえば銀河団の新しい構造などがみつかることが期待される。従来の検出器の約30倍高い波長エネルギー分解能をもつことになるので、高エネルギー天体物理学でブレイクスルーがもたらされると思います。

南日本放送・今回の30号機の節目だが、現場的、技術的にどういった意義をもつか。またH3ロケットにどう繋がるか。
二村・30号機が節目という見方もあるが、我々にとっては通過点だと思っている。ただ30号機まで打ち上げが重ねてきたこと自体が、技術を確実な物に仕立て上げることが出来てきた。それからこの長い運用期間で世代がどんどん変わっている訳で、打ち上げの作業や機体の制作作業、それを支える設計の作業というものが、この長い期間において世代の間でつなぐことができた。これから引き続き運用を続けていく訳だが、それを支えていくための技術がしっかりしたものになってきている。H3は我々が今まで手に入れた技術の延長線の中で信頼性を獲得できる面もあるが、ある意味で大きなチャレンジすべきポイントを発見できるチャンスにも繋がってきている。そういった面で我々はH3について、いろいろ期待している。
藤田・30号機という節目を無事乗り越えられてほっとしているのが正直なところ。30という数字は、やはりそれなりの意味があって、ロケットの技術としてかなり熟してきている証ではないか。ただ、順調に来た訳ではなくいくつか課題があったり失敗もあった。それを乗り越えてここまで成長してきた。今持っている技術、学んできたことを今後のH-IIA/Bの運用にも繋げて、成功を重ねていきますし、さらにその先のH3に繋がると思っています。

南日本新聞・あらためて「はくちょう」から続く6機目の天文衛星。この打ち上げの感想。
高橋・かなり長い年月をかけて作ってきたので、それを打ち上げていただいたことは、それを考えると非常に感慨深いものになります。一方で、衛星はこれからが大変で、しっかり運用をして立ち上げてゆくフェーズになります。今はふたたび気を引き締めて行かなければならない気持ちになります。私達はこちらで打ち上げのオペレーションをしましたが、同じ数以上の部隊が内之浦宇宙空間観測所に展開し、相模原キャンパスにも沢山の人がいて、ほんの少しのトラブルも見逃さない態勢で打ち上げました。このときの態勢がしばらく続きます。それだけ皆の気持ちが成功に向かって集中しているということになる。打ち上げていただいて本当に有難かったけれども、衛星はまだ第一歩。

鹿児島テレビ・これから大変だが、「ひとみ」はX線天文学でどんな存在になってほしいか。
高橋・ASTRO−Hは30倍もエネルギー分解能が高い装置。その他「すざく」に比べて100倍、数十倍というような感度、つまり暗い天体を観る能力、「すざく」のガンマ線検出器に比べて10倍以上の感度、暗い天体を観る装置があります。その意味では10倍以上のものが3つもある。いわば次世代の衛星で観ていくことで、これまでにないような現象が見えてきたり、こう見えたがああも見えたといっていたものが、これしかないと言えるといいなと思っております。その過程で新しい種類の天体とか、そういうものが見えてくると非常に楽しいと思いますし、私達が思ってもみなかった現象が出てくると本当にいいなと考えています。

産経新聞・大切な検出器をあずける日本のロケット印象と感想をお聞きしたい。
Dr. Kelley・日本のロケットの性能はすばらしくて、日本と共同でやることはゴダードの人達もとても支持してくれます。

共同通信・今回の全体の金額はどれくらいか。また、NASAの負担額は。
高橋・それぞれの他の国のものもあり、JAXAとしては把握していない。
Dr. Kelley・1ドル100円換算で70億円をハードウェアにかけている。10年くらい。

日刊工業新聞・ASTRO−Hを使って見たいものは何か。
高橋・宇宙の中で非常にエネルギーの高い現象。ブラックホールの物質がどうやって飛び出てくるのか、光に近いような速度をどうやって持って、銀河にどういう影響を及ぼすか、宇宙の構造がどうやって繋がっているのか、といった事に興味があります。
Dr. Kelley・私としては銀河団の構造。どうやってガスができたか、どうやってガスが中に落ち込むかが判っていない。銀河団の構造でガスの速度分布を調べ、どのようにして構造が出来たか調べたい。

打ち上げ経過記者会見・第三部

・登壇者
名古屋大学 理学研究科 特任准教授 
 山岡 和貴
三菱重工株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 宇宙機器部 宇宙機設計課 
 出原 寿紘
九州工業大学大学院 修士課程 
 福田 大
・登壇者(東京事務所)
宇宙航空研究開発機構 研究開発部門 研究推進部次長 
 井上 弘

状況報告・井上
 小型衛星については、主衛星ASTRO−H「ひとみ」の分離後約7分で、3衛星が5分間隔で分離される計画になっておりました。実際、20時ちょっと過ぎにロケットのテレメータを確認した結果が報告され、ほぼ計画通り分離信号が送出されています。それぞれChubuSat-2が18時7分34秒、ChubuSat-3が18時12分34秒、鳳龍四号が18時17分34秒に分離信号を確認しています。また、画像でも分離したことを確認しております。

状況報告・山岡
 ChubuSat-2はロケットからの分離が確認されています。衛星にアマチュア無線の送信機が搭載されていますが、その後ブラジルや日本の方々が受信を確認しています。データの内容に関してはいま精査中です。今後も引き続き通信及び運用を行っていきたいと思います。
 この衛星は放射線の観測を行います。放射線の中でも中性子、ガンマ線をメインターゲットにしています。ASTRO−Hと同時・同軌道に打ち上げることで、ASTRO−Hにとって邪魔になるような放射線を観測しサポートを行いたい。そのため新規開発した放射線検出器を搭載しております。
 いま大学院のグローバルリーダー養成のためのリーディングプログラム、宇宙開拓リーダー養成プログラムを実施しており、この検出器はその中の学生のグループが提案した、帯状フレアという太陽の爆発現象から出てくる中性子を観測する機能を持たせてあり、このミッションは学生の期待も担っています。

状況報告・出原
 ChubuSat-3の現状ですが、ロケットからのテレメータの動画から正常に分離されたことを確認しました。ChubuSat-2と同様に国内外の一般のアマチュア局から電波を受信しているという報告を受けていて、いまその内容について評価を進めているところです。
 ChubuSat-3のミッションですが、一つ目は可視光線を検出するカメラを搭載しており、そのカメラで高山地帯の氷河の後退状況を継続的に撮影することで、温室効果ガスの地球環境に与える影響についての知見が得られるということを期待しています。二つ目のミッションは、軌道上からスペースデブリの観測ができないかという事の技術実証を行っていきたい。ChubuSat-3の開発にあたっては、名古屋大学、大同大学、三菱重工、そして中部地区の中小企業がChubuSatプロジェクトチームを立ち上げ、その中でChubuSat-3では我々三菱重工がリーダーとなって、各大学、各企業が強みとなっているところで作業を分担して開発を進めて参りました。

状況報告・福田
 7時28分に九工大局(九州工業大学)から電話で連絡を受け、いちばん最初の衛星からの信号受信に成功したと連絡をもらっています。ひとまず衛星としては電波を発信していることを確認できました。これからデータの解析、そしてメインミッションに移っていこうと思います。
 鳳龍四号はメインミッションは、宇宙空間で発生している放電現象の観測です。宇宙空間で発生した放電電流と、放電した瞬間の発光というものを撮影するのがメインミッションです。このミッションにした理由ですが、これまで数多くの衛星・宇宙機が打ち上げられていますが、そのうちいくつかは故障に陥ってしまっています。原因のひとつとして考えられるのが太陽電池上で起こった放電と言われています。しかしながら未だかつて宇宙空間で発生している放電というものを誰一人として観測したことが無くて、どこの部分でどのような放電が発生しているのかというところが未だ謎の状況となっています。ですので、一度でいいので宇宙空間で発生している放電というものをカメラで撮影して、どこで放電が発生しているのかというものを特定し、その放電電流というものを計測することによって、どのような放電が発生しているのかという所を見ていきたい。
 もうひとつの鳳龍4号の特徴といいますと、全部で18カ国から総勢50名くらいのメンバーで開発してきました。超小型衛星の開発メンバーとして、このような多国籍の学生主体で行っているのは世界でも無い、とてもユニークなチームとなっています。


・質疑応答

読売新聞・ChubuSat-2は初号機のリベンジ戦と伺っていたが、あらためて成功した気持ちと今後の観測に向けた抱負をお聞きしたい。
山岡・打ち上げには成功したが、今後衛星を立ち上げてゆく、姿勢を制御する、ミッションを遂行してゆく、そういう所はまだまだ道半ばであります。最初のステップは通過したが、大事なステップがまだまだ残っていますので、気を引き締めて成功するようにやっていきたい。

中日新聞・ChubuSatが今回3号まで来たが、プロジェクトとして成功したらこれからどのようなステップになるのか、商業化を目指したいとのことだが、それに向けたどういうステップととらえられるのか。どの段階で今回の衛星が成功と言えるか。
山岡・今まで1、2、3号と打ち上げてきて、次に4、5号と続けていく。まだ4号機に関しては計画がなされていませんが、今後4、5、6号機と継続的に打ち上げて商業化の道を探っていきたい。
今後衛星の立ち上げを始め、それが一週間くらいで結果が出てくる。そのあとミッション機器の立ち上げに入ります。3月の中旬以降に、安定したフェーズに移行できたか確認できる。そのあと半年、衛星の寿命が尽きるまで観測を行っていく形になります。
出原・ビジネス化といった大事な話もあるが、まず我々としてはChubuSat-3の成功をまず第一に、そちらの作業に注力していきたい。今回得られた成果に基づき、今後のビジネス化といった事については計画を立てていきたい。ChubuSat-3の成功をどういったところで判断するかについては、まずは搭載しているカメラの画像が地上に落とせてきて、継続的に高山地帯の画像を得られることが半年から1年くらい、ミッション寿命を考えています。その期間でミッションのデータをとることが出来ればかなり大成功だと考えています。

読売新聞・さまざまな国の人達と作業されたとのことで、苦労したところや印象に残ったことなど。また今後の抱負などをひと言お聞きしたい。
福田・まずプロジェクトの立ち上げの段階で、唐突に数多くの留学生がどんどん関わるようになってきて、自分としては正直なところ困惑したところが大きかったです。最初の段階からミーティング等は英語で行われていましたので、まずはどのような話し合いがされているか理解するところから始まっていきました。ですので、一番苦労した点はコミュニケーションになってくる。わかりにくいところなどは、一つ一つ絵に描きながら説明するなど、時間をかけることで解決していく方法で、ここまでやって来れました。個人的に、今回一緒に開発を行った留学生のみんなと、将来的にまたもういちど何かプロジェクトをやれたらいいなと考えています。

日刊工業新聞・ASTRO−Hの邪魔になるような中性子やガンマ線を観測するという話だが、山岡先生もASTRO−Hに関わっているということか。
山岡・ASTRO−Hにも参画しております。4つの搭載機器のうち、硬X線撮像機(XHI)と軟ガンマ線検出器(SGD)のバックグラウンドに恐らく大きく寄与するものが中性子とかガンマ線であると思っていまして、宇宙線が地球の大気と相互作用をすると中性子が発生しますし、地球の雷からガンマ線が発生することもありますし、太陽フレアでも中性子やガンマ線といったものが発生します。ASTRO−Hは一点集中で観測しますので、その視野以外のものは観測できない。そういったものをモニターしまして、ASTRO−Hの観測に役立てたい。
 こちらで観測した情報をASTRO−Hで観測したデータにインプットしてモデル化する作業になる。

日刊工業新聞・ChubuSat-2は、ASTRO−Hのどのあたりにいるか。
山岡・最初はアストロと離れず殆ど同じ軌道。そのうち軌道が若干変わってゆく。

毎日新聞・今回の分離成功で既に仲間と喜びを分かち合ったのか。また、意気込みなど。
福田・まだ向こうとはまだ電話一本で、喜びを分かち合ってはいないが、鳳龍四号のFacebookのページを見ますと、向こうで皆が喜んで抱き合っている写真があります。帰ってから皆に抱きついていこうかなと思っています(笑)。感想を話し合っていこうかなと考えています。
ミッションとしてはこれから。打ち上げを喜んだ後は、再度気を引き締めて運用をやっていきたいと考えます。

フリー大塚・ビジネス化を考えているという話だったが、衛星やデータの何を売るのか。また、誰に対して売るのか。ベンチャーのような企業を考えているのか。その辺のプランを教えてください。また三菱重工が衛星を作るのか。
出原・データを売るのか、衛星を売るのか、ベンチャーを立ち上げるのか、ビジネス化にあたっていろいろな方法があるが、実はまだChubuSatを作っている段階なので、その成果を踏まえて今後検討していきたいと考えています。三菱重工が衛星を作ることも視野に入れて検討する。

フリー大塚・デブリの観測の手法はどのようなものか。どれくらいの大きさのデブリが見つかるか。
出原・スペースデブリの一般的な観測方法は地上のレーダーや光学望遠鏡での撮像。今回は実験的なミッションとして軌道上からデブリを撮影できないかを技術実証する。具体的には既に地上からの観測で所在が明らかになっているデブリを、軌道上から衛星がカメラを向けて撮れないかを試す。その過程で地上では捉えられていなかった未知のデブリを観測できる可能性があるのではないかと考えています。現時点ではどういったものが撮れるかわからない。比較的口径の大きいカメラを積んでいるので、いろんな事にチャレンジしたいと考えています。


以上です。

No.1948 :打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月18日(木)09時18分 投稿者 柴田孔明

2016年2月17日17時45分00秒(JST)に、H-IIAロケット30号機が打ち上げられ、X線天文衛星ASTRO-Hを軌道に投入しました。

No.1947 :打ち上げに向け準備中 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月17日(水)12時12分 投稿者 柴田孔明

2016年2月17日12時55分頃(JST)のH-IIAロケット30号機。

No.1946 :第二回判断はGO
投稿日 2016年2月17日(水)08時33分 投稿者 柴田孔明

9時19分頃に発表がありました。
以下、発表内容です。
『「第2回GO/NOGO判断会議」の結果、GO(ターミナルカウントダウン作業開始可)と判断されました。』

No.1945 :射点に着いたH-IIAロケット30号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月17日(水)07時39分 投稿者 柴田孔明

5時39分頃、第1射点に着いたH-IIAロケット30号機。
このあと雨が降り出すなど、天候が良くない状態です。

No.1944 :H-IIA F30機体移動 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月17日(水)07時28分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット30号機は、2016年2月17日午前5時14分(JST)より、VABから第1射点への機体移動を行いました。衛星の関連で当初の5時より遅れての開始でした。

No.1943 :新しい打ち上げ日
投稿日 2016年2月14日(日)13時24分 投稿者 柴田孔明

2月/14日13時00分に、H-IIAロケット30号機の新しい打ち上げ日が発表されました。

打ち上げ日  : 平成28年2月17日(水)
打ち上げ時刻 : 17時45分(JST)
打ち上げ時間帯: 17時45分〜18時30分(JST)

No.1942 :打ち上げ延期
投稿日 2016年2月11日(木)20時29分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット30号機打ち上げ延期の連絡が入りました。
以下、発表文です。

「三菱重工業株式会社および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、X線天文衛星(ASTRO-H)を搭載したH-IIA ロケット30号機(H-IIA・F30)の打上げを平成28年2月12日(金)に予定しておりましたが、射場近辺に規定以上の氷結層を含む雲の発生が予想されること、および打上げ作業に支障のある強風が予想されることから、打上げを延期することといたしました。
新たな打上げ日については、決定し次第お知らせいたします。」

No.1941 :ラッチ機構動作後 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月10日(水)22時40分 投稿者 柴田孔明

ラッチ機構・動作後

No.1940 :ラッチ機構 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月10日(水)22時39分 投稿者 柴田孔明

ラッチ機構について・動作前

No.1939 :H-IIAロケット30号機Y-1プレスブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2016年2月10日(水)22時37分 投稿者 柴田孔明

 2016年2月10日14時より、種子島宇宙センター竹崎展望台にてH-IIAロケット30号機のY−1プレスブリーフィングが行われました。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 ASTRO−Hプロジェクトマネージャ
 高橋 忠幸
 宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 鹿児島宇宙センター射場技術開発ユニット長
 長田 弘幸
 三菱重工株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 MILSET長
 平嶋 秀俊

・準備状況(配付資料より)
 ・H-IIAロケット30号機は飛島工場を12月4日に出荷後、射場作業を開始。
 ・以下の準備作業を良好に実施。
  機能点検(〜1月21日)
  機体の各機器が正常に作動することを確認。
 ・カウントダウンリハーサル(1月26日)
  関係要員に対し打ち上げ当日の対応手順を周知徹底するために、打ち上げ時の作業を模擬。
 ・ASTRO−Hとロケット機体の結合(1月30日)
 ・ロケット機体の最終的な機能点検(2月1日)
 ・発射整備作業を実施中(2月8日〜)

 ・機体移動:2016年2月12日午前5時〜
 ・打ち上げ日:2016年2月12日
 ・打ち上げ時刻:17時45分(JST)
 ・打ち上げ時間帯:17時45分〜18時30分(JST)
 ・打ち上げ予備期間:2016年2月13日〜2016年2月29日

・気象状況
 今日と明日は晴れ。明後日は曇りで、風が強いのが懸念材料である。

・ASTRO−Hについて(配布資料より)
 ASTRO−Hはブラックホール、超新星残骸、銀河団など、X線やガンマ線で観測される高温、高エネルギーの天体の研究を通じて、宇宙の構造とその進化の解明を行う天文衛星です。
 X線やガンマ線は、地球の大気に吸収されてしまうために、地上に到達することができません。そのため宇宙で観測することが必要です。
 ASTRO−Hは、「すざく」の後継として開発され、JAXA、NASAをはじめ、国内外の大学、研究機関の250人を超える研究者が開発に参加する、X線天文学の旗艦ミッションです。大規模な国際協力で開発された4種類の新型観測システムが搭載され、「すざく」にくらべて10倍から100倍も暗い天体の分光観測が可能になります。

・ASTRO−H主要諸元
 全長:約14m(観測時)
 質量:約2,700 kg
 軌道:高度約575 km(円軌道)
 目標寿命:3年

・今後の予定
 初期運用(姿勢確立、バス系確立、観測装置立ち上げ):1.5ヶ月
 試験観測(キャリブレーション天体観測):1.5ヶ月
     (性能確認(PV)天体観測):6ヶ月
 定常運用(公募観測)

・衛星搭載環境の緩和に関するデータ取得計画
 ・衛星の分離にラッチ機構を使用することで、分離時の衛星への衝撃を従来の1/4にする。
 (※従来は爆薬[火工品]を利用して締付ボルトを切断する。歪エネルギーが瞬時に解放されるため衝撃が大きい)
 ・ASTRO−H搭載位置をかさ上げし、内部に実証用の低衝撃型衛星分離部を配置。
 ASTRO−H及び小型副衛星分離後にデータ取得を行う計画。

・打ち上げ天候制約(氷結層を含む雲)の見直しについて。
 ・氷結層高度が低くなる季節におけるロケット飛行中の誘雷リスクについて、従来より精度良く測定できる手段を確立できたため、打ち上げ時の氷結層に係る制約について見直しを行った。
 ・従来は雲の厚さで判断していた。(1.8km以上で中止)
 ・新制約では、雲の厚さが1.8kmを超えた場合、レーダを利用して雲の内部の状態(レーダ反射強度)を測定し、規定値を超えていないかを確認する。
 (※新しい制約を適用すれば、これまでの氷結層による打ち上げ中止の半分くらいは可能になる)

・質疑応答

毎日新聞・今回のラッチ機構はデータ所得のみで、ASTRO−Hは従来型の分離機構か。
長田・そうです。

毎日・ラッチとはどういう動きをするのか。
長田・留め金に電気を流すことでラッチ機構が解放され、留め金が開放される。

NHK・今回は天気が心配されるが、延期せず打ち上げを行う根拠をお聞きしたい。
平嶋・制約条件とデータを比較し、打ち上げ可能と判断。当初より注意報発令(雷等)の予想時間が遅くなっている。風も(現在は)許容値内である。

産経新聞・今の気持ちをお聞きしたい。
高橋・ASTRO−Hはたくさんのメンバーがいます。種子島だけでなく内之浦、相模原でも準備作業をしています。チームメンバーのそれぞれが求められることをきちんと行って今日を迎えています。意気込みというより、打ち上げオペレーションと、その後の運用にとにかく集中しようという気持ちでいっぱいです。ASTRO−Hがもたらす新しいデータを心から待ち望んでいる世界中の科学者の顔を思い浮かべながら、打ち上げとそれから始まる運用に集中したいと考えています。

不明・H-IIAは30号機で節目だが意気込みなどをお聞きしたい。
長田・正直、H-IIAロケットがこれだけ長いとは、個人的には思っていなかった。三菱重工としてもH-IIA/Bの打ち上げサービス20機目の節目となる。成功させようというのはもちろん、常々平常心というのを心にしている。ミッションとしては202型で特段難しい所はないが、油断せずひとつひとつ確実に作業を行って打ち上げに臨んでいきたいと考えております。

時事通信・伸展式光学ベンチの伸展はいつになるか。
高橋・伸展ベンチは姿勢の安定を見ながら。だいたい10日か、それ以降の間。

時事通信・伸展ベンチを使わない搭載機器の確認をやってから、伸展ベンチ関連の確認を行うのか。
高橋・衛星の各部から出てくるガスが抜け、真空度が保たれ、姿勢が安定した後に順次行う。1.5ヶ月の中に伸展ベンチも含め状況を見ながら順次やっていくことになる。

時事通信・クリティカルフェーズ終了の時には終わっているということか。
高橋・伸展ベンチはクリティカルフェーズの中と定義されている。検出機器の立ち上げは1.5ヶ月の中で行います。

NVS・打ち上げが延期の場合、打ち上げ時刻はどうなるか。
平嶋・2月19日までは変更がない。それ以降は2分くらい遅くなる。
(※当初の「2分早くなる」は誤りと訂正があった)

日経新聞・氷結層を含む雲の制約見直しで、レーダーを使うのは一種の緩和のようだが、雲の厚さが1.8km未満の場合でもレーダーの反射が規定値を超えたら打ち上げが見送りになるのか。
長田・雲の厚さが1.8km未満なら問題ないので打ち上げ。1.8km以上の厚さの場合、より正確に判断するためにレーダーを使って最終的に決める。指標が二つになった。

赤旗新聞・搭載環境の緩和で、ダミー衛星とデータの回収について詳しくお聞きしたい。
長田・ダミー衛星は回収しません。分離部にセンサがあり、テレメータを地上で受けて評価する。

ニッポン放送・衛星搭載環境の緩和で、衝撃が減るとのことだか、見た目もそうなのか。
長田・肉眼では難しいが、火工品よりはややゆっくり。見た目ではなかなか判らないと思う。

南日本新聞・今回はX線天文衛星として6機目だが、日本がX線天文衛星に力を入れる理由と位置づけ。
高橋・日本はX線天文衛星「はくちょう」で、X線天文が生まれた早い時期から立ち上げてきた。その時々の衛星は、大きい衛星を作ることができたアメリカやヨーロッパの衛星とは一線を画して、ユニークでかつ大事なものを搭載してきた。そのため日本からの研究成果は世界の中でも高く位置づけられています。「ぎんが」衛星というものもありましたが、ちょうどシャトルの事故の時に世界唯一の(X線天文)衛星として大活躍しました。そのあとの「あすか」「すざく」も、他の衛星が将来使ってくるだろうと思われるセンサを先に積んで新たなサイエンスを開いてきた。日本人らしいと思うが、大事なことを小さくてもいいから先にやっていくことがなされてきた。ASTRO−Hは規模を大きくして、さらに海外の力も入れてより大きくした。

読売新聞・氷結層の反射強度の測定を行うレーダーは今日の天候判断でも使われたのか。また、明日明後日も測定を行っているのか。
長田・気象は日々刻々と変化している。一応見ているが、今の時点で打ち上げを止めるものではない。打ち上げ当日に微妙な状況(1.8km以上)の場合には使うことになる。

読売新聞・このレーダーはどこにあるのか。
長田・気象庁の種子島レーダーを使っている。中種子町の空港の近くにある。

NVS・センサを冷却にするタイミングはいつか。
高橋・冷やしたまま打ち上げるので、現在も冷やしたまま。

以上です。