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宇宙作家クラブのメンバーによる取材活動の様子をリアルタイムでお届けします。
<画像付き>  <テキストのみ>  <過去ログ>

No.1973 :ミッションマーク
投稿日 2016年7月26日(火)23時41分 投稿者 柴田孔明

段間部の「こうのとり」6号機のミッションマーク。


No.1972 :H-IIBロケット6号機2段目
投稿日 2016年7月26日(火)23時38分 投稿者 柴田孔明

同じく2段目。エンジンはLE-5B-2。


No.1971 :H-IIBロケット6号機1段目
投稿日 2016年7月26日(火)23時36分 投稿者 柴田孔明

公開されたH-IIBロケット6号機1段目。


No.1970 :H-IIBロケット6号機のコア機体公開
投稿日 2016年7月26日(火)23時34分 投稿者 柴田孔明

 2016年7月26日午後より、三菱重工業株式会社飛島工場にてH-IIBロケット6号機コア機体の報道公開と概要説明が行われました。

・登壇者
三菱重工株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者 二村 幸基
三菱重工株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 徳永 建

・計画概要
 打ち上げ予定日:2016年10月1日午前2時16分頃(JST)
 ※時間は宇宙ステーションの最新の軌道によって調整。
 打ち上げ予備期間:2016年10月2日〜2016年11月30日
 目的:宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV-6)を所定の軌道に投入する。
 ミッション終了後、ロケット第2段を南太平洋上に制御落下を行う。
 ※飛行経路やシーケンス、制御落下は2号機から同じ。

・特記事項
 MHIの打ち上げ輸送サービスで3機目のH-IIB。
 H-IIAロケットに適用済みのコストダウン項目をH-IIBにも適用。
 (※例:照明装置への電源を他電源と共用させることで専用電池を削除)

・機体の製造状況及び今後の予定
 コア機体は工場での機能試験を終了し、出荷準備中。現在のところ7月30日に飛島工場から出荷し8月1日未明に宇宙センターに搬入予定。
 固体ロケットブースタ(SRB-A)は工場での作業を完了のうえ射場へ搬入済み。コア機体起立後に結合予定。
 衛星フェアリングは射場へ搬入済み。


・質疑応答

時事通信社・フェアリングと「こうのとり」は種子島にあるのか。また「こうのとり」のフェアリングへの格納はいつになるか。またドッキングはいつ頃になるか。
二村・フェアリングは種子島に搬入済み。「こうのとり」も種子島で打ち上げに向けた準備が進められている。「こうのとり」のフェアリングへの収納は、打ち上げの二週間くらい前。余談だが「こうのとり」はレイトアクセスがあり、ロケット本体に組み上げた後にフェアリングの搬入用の穴から物資をのせることができる。それが打ち上げの数日前。ドッキングについてはJAXAに聞いていただくことになるが、 概ね5日くらいと記憶している。

フリー大塚・コストダウンを適用したのはH-IIAの何号機からか。コストと軽量化のどちらもあると思うが具体的にどのくらい。
二村・H-IIAの29号機から適用している。金額については回答を差し控えさせていただく。大きくコストダウンをしている訳ではなく、塵も積もればの世界で、たとえ100万円単位でも我々としては必ずトライしてゆくと思っている。機器を減らすことで数十キロ単位、という事になる。

日本経済新聞・H-IIAは信頼度の高さが強みとの話があったが、H-IIBの強みは何か。
二村・ロケットの不適合や、設備の不都合が原因による延期が今やほとんど無い。天候以外の要因で延期が無い点でH-IIAもH-IIBも同じ。

鳥嶋・5月に公開したH-IIAロケット31号機の打ち上げはいつか。H-IIBが先に上がる場合はH-IIAはどのような対応になるのか。
二村・H-IIA31号機(ペイロードは「ひまわり9号」)は、年内の打ち上げとして調整中で確定には至っていない。参考までに打ち上げ日は、ほぼ2ヶ月前に公表できる。31号機は機能点検前まできている。H-IIBが先に上がる場合、H-IIAは最終準備の手前で止めて、H-IIBの作業に切り替えを行い、この打ち上げ後にH-IIAの作業に切り替える。種子島宇宙センターは(VABに)H-IIAとH-IIBを各1機起立させて作業できるポテンシャルはあるが、共通設備があり同時に点検できない設備もある。その設備のモード切り替えが必要。


No.1968 :燃焼試験の様子
投稿日 2016年7月13日(水)22時33分 投稿者 柴田孔明

燃焼時間は50秒。見学地からテストスタンドまでは約400mの距離で、たいへん大きな音でした。ただ左奥のエンジンは直接は見えず、噴射だけが見えています。


No.1967 :LE-7A燃焼試験 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年7月13日(水)22時30分 投稿者 柴田孔明

2016年7月13日16時頃に三菱重工株式会社田代試験場においてLE-7Aの燃焼試験が行われ、その様子が報道陣に公開されました。

No.1966 :H-IIA 31号機の主衛星ロゴ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年5月31日(火)22時32分 投稿者 柴田孔明

段間部の主衛星ロゴ

No.1965 :H-IIA 31号機2段目エンジン部分 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年5月31日(火)22時30分 投稿者 柴田孔明

2段目エンジン部分
(※段間部のカバーに覆われています)

No.1964 :H-IIA 31号機メインエンジン部分 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年5月31日(火)22時29分 投稿者 柴田孔明

31号機メインエンジン部分
(※カバーがされていてエンジン本体は見えません)

No.1963 :H-IIA 31号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年5月31日(火)22時27分 投稿者 柴田孔明

公開されたH-IIAロケット31号機。
手前・1段目上部
奥・2段目下部

No.1962 :H-IIAロケット31号機のコア機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年5月31日(火)22時25分 投稿者 柴田孔明

 2016年5月31日午後より愛知県の三菱重工株式会社飛島工場にてH-IIAロケット31号機のコア機体公開が行われました。

・登壇者
三菱重工株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者 二村 幸基
三菱重工株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 徳永 建

・概要説明
 目的:静止気象衛星ひまわり9号を所定の軌道に投入する。
 (※ひまわり8号の同型機)
 打上時期:年内で調整中。
 基本コンフィギュレーション:H2A202型、直径4mシングル衛星フェアリング(4S型)
 特記事項:日本宇宙少年団のCSR支援として、公募された絵柄を搭載する。
 (※段間部の主衛星ロゴの隣に貼付。この作業は種子島宇宙センターの射場にて行う)
 
・製造状況及び今後の予定
 コア機体は飛島工場での機能試験を終了し、出荷準備作業中。
 6月3日に飛島工場より出荷し、6月5日に射場へ搬入予定。

 固体ロケットブースタ(SRB−A)は、工場での作業を完了のうえ射場へ搬入済。コア機体起立後に結合予定。
 衛星フェアリングは、工場での艤装作業を実施中。

・今回のコストダウンについて
 段間部の落氷軽減対策で、これまでシリコン系の樹脂を手塗りしていたものを、プラスチックカバーを取り付ける方法に変更した。

・質疑応答より抜粋
Q:H-IIAの強み、優位性は何か。
A:オンタイム打ち上げ。天候は仕方ないが、ロケットや打ち上げ施設を原因とする延期が少ない。
Q:H-IIAの課題は何か。
A:プライス面ではまだまだ。開発している次期主力ロケットH3で達成したい。
Q:2段目の高度化を今回使わないが理由は何か。
A:衛星側からの要請が無い。
Q:今回、段間部に絵を描くが、その理由は何か。他の利用方法は。不具合は出ないか。
A:公益財団の要望に応じたもの。このエリアは広告などの要請があれば(調整が必要ではあるが)可能性が無い訳ではない。絵はデカールを貼り付けるもので、これまでも主衛星などのものを貼っている。不具合はこれまで無い。

No.1961 :金星探査機「あかつき」が定常観測入り
投稿日 2016年4月28日(木)21時05分 投稿者 柴田孔明

 本日2016年4月28日、金星探査機「あかつき」が定常観測に移行したとJAXAから発表されています。2010年5月21日の打ち上げ後、想定外の寄り道をしてきましたが、ここまで来ることができました。
 
以下、JAXA発表文です。

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、金星探査機「あかつき」(PLANET-C)に搭載している各観測機器について、定常観測への移行を判断しましたので、お知らせします。
 観測機器の動作確認や試験観測での最適化といった調整作業の結果、打ち上げ前に想定した各フィルターを通した感度、画像の分解能などの観測性能を満たしていると確認できたことから、定常観測への移行を判断しました。

各観測機器の定常観測への移行状況は次のとおりです。
 ・観測機器名(略称)  定常観測移行状況
  1μmカメラ(IR1) 定常観測に移行
  2μmカメラ(IR2) 定常観測に移行
  中間赤外カメラ(LIR) 定常観測に移行
  紫外イメージャ(UVI) 定常観測に移行
  超高安定発振器(USO) 定常観測に移行
  雷・大気光カメラ(LAC) 調整中

 雷・大気光カメラ(LAC)につきましては、高圧電源をオンにして少しずつ電圧を上げながら慎重に調整を行っています。LACは「あかつき」が金星の陰に入る時に運用する観測機器ですので、約10日に1回、1時間程度の運用となっており、調整に時間を要しています。
 LACが定常観測に移行しましたら、改めてお知らせします。

・中村プロジェクトマネージャからのメッセージ
「みなさまのお蔭をもちまして4つのカメラと超高安定発振器の観測を定常状態に移行することが出来ました。ありがとうございます。これからは世界最先端の金星研究のためにデータを継続的に取得してまいります。また、LACも早い時期の定常観測移行を目指して行きます。今後とも日本の金星探査機「あかつき」にご期待ください。」

No.1960 :X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の今後の運用についての記者説明会
投稿日 2016年4月28日(木)19時36分 投稿者 柴田孔明

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の今後の運用について、2016年4月28日午後より記者説明会が行われました。発表によると、残念ながら運用を断念することになっています。
 なお、記者説明会と発表資料の中から抜粋して掲載します。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力

・前回の記者説明会以降に判明した件
 ・解析の結果、太陽電池パドルは両翼とも取付部周辺から破損し分離した可能性が高い。
 ・通信異常が発生した後、受信できたとしていた3回の微弱な電波は、国際電気通信連合(ITU)に登録されていない別の衛星のものであった。
 ・慣性基準装置(IRU)の動作をスタートラッカ(STT)のモード遷移を入力してシミュレートした結果、今回の事象が発生することを確認した。
 ・IRUの異常や搭載コンピュータのハードウェア異常など、他の要因の可能性は低い。
 ・姿勢異常時のリアクションホイールへの角運動蓄積をシミュレーションした結果、実際の値とほぼ同じ角運動量が蓄積されることを確認した。
 ・不適切なパラメータでスラスタの噴射をシミュレーションした結果、太陽電池パドルが分離する回転速度に到達するケースがあり得ることを確認した。
 ・観測されたASTRO−Hの回転速度と、太陽電池パドルが破断すると推定される回転速度は同じオーダー(桁)である。
 ・分離した物体のうち、ID:41443は4月20日に大気圏に再突入し、ID:41438は本日4月28日に大気圏に突入する。いずれも大気圏中で燃え尽きると推定されている。

・JAXA発表文より

 X線天文衛星ASTRO-H「ひとみ」については、異常事態発生後、理事長を長とする対策本部を設置し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)をあげて不具合の全容解明を行うとともに、衛星状態の把握に努め、衛星の機能回復に向け全力を尽くしてまいりました。
 しかしながら、JAXAとして技術的に検討した結果、以下2つの結論に至りました。

1.物体の分離に至る推定メカニズムについてシミュレーションを含めた解析の結果がほぼ確定し、構造的に弱い部位である太陽電池パドルが両翼とも根元から分離した可能性が高いこと。

2.物体が分離した後も電波を受信できていたことを根拠とし、通信の復旧の可能性があると考えていたが、得られた電波の周波数が技術的に説明できないこと等から、受信した電波はASTRO-Hのものではなかったと判断されること。

 また、複数の海外機関からも太陽電池パドルの両翼分離を示唆する情報を得たことから、これらの情報に基づき、今後衛星が機能回復することは期待できない状態にあるとの判断に至りました。

 以上の判断を踏まえ、衛星の復旧に向けた活動は取りやめ、今後、今回の異常に至った原因究明に専念することとし、ASTRO-Hとしての設計/製造/検証/運用の各段階において今回の事態に至った要因を調査し、背後要因も含めた原因を徹底的に究明いたします。

 この衛星の観測成果に期待し、応援いただいてきた多くの国民の皆さま、NASAをはじめ国内外の協力関係機関の皆さま、観測を進めようと計画されていた国内外の天文学の研究者の皆様に対しまして、ASTRO-Hの運用を断念せざるを得ないことについて、深くお詫び申し上げます。

 これまで衛星状態の把握のために、地上からの観測等のご協力をいただいた国内外の関係機関の皆様には厚く御礼申し上げます。

以上です。

No.1959 :X線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会(2016年4月15日開催分)
投稿日 2016年4月16日(土)22時51分 投稿者 柴田孔明

 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について、2016年4月15日午後より記者説明会が行われました。その中から抜粋して掲載します。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力

・異常が発生した推定メカニズムなど(資料及び説明より抜粋)
(※注意点:推定を含みますので、今後の調査で変わる可能性があります)

 ・2月28日、スラスタの制御パラメータを更新。(以後、スラスタ使用予定は無し)
 ・3月26日、予定されていた姿勢変更運用を終了。
 ・姿勢変更後、実際には衛星は回転していないのに、姿勢制御系が「衛星は回転している」と判断した。
 ・この回転を止めようとリアクションホイールを制御。
 ・実際には静止していたところに、この回転を止めるための力が加わり、逆にゆっくりと回転が始まる。17時間弱で一回転。
 ・姿勢制御系は太陽センサを姿勢異常判断に使用してないなため、姿勢異常が検知できずに回転が継続している。
 ・地球の重力の影響で衛星が傾くため、それを補正する動作のためリアクションホイールに角運動量が蓄積。(通常運用でも同様)
 ・蓄積された角運動量は磁気トルカを使ってアンローディングする。(通常運用でも同様)
 ・アンローディングが姿勢異常のためうまく働かない。
 ・リアクションホイールに蓄積された角運動量が上限値(120[Nms])に達する。
 ・上限値に達したことで姿勢制御系はリアクションホイールに異常が発生したと判断し、スラスタセーフホールドモードに移行する。
 ・太陽電池が太陽を向くようにスラスタを噴射して姿勢制御を行った。
 ・しかしこの噴射に使われた2月28日のパラメータが不適切で、衛星の回転が加速した。
 ・回転により衛星の一部が分離。
 ・4月15日現在で通信は回復していない。
 ・分離した物体のうち、2つが4月29日と5月10日にそれぞれ大気圏に突入する。減速が大きいことから軽い物体で、大気圏中で燃え尽きると推定されている。

 ※衛星が回転していないのに回転を検出した件について、慣性基準装置とスタートラッカの、ある動作の組み合わせで発生すると推定されている。
 ※スラスタの制御パラメータについては、打ち上げ後に衛星が伸展ベンチや太陽電池パドルが展開し質量特性が変化したことを踏まえ、2月28日にそれらに対応したものに変更した。この新しい設定値が不適切であったことが、今回の事象の調査で確認されている。
 ※軟X線分光検出器(SXS)冷却システムの液体ヘリウムは、現時点では減少はしているが枯渇には至っていないと推定されている。
 ※3月26日〜3月28日にかけて受信した電波は、キャリア周波数として200[kHz]程度のずれがあり、周波数スペクトルが地上試験データと異なっている。

以上です。

No.1958 :X線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会(2016年4月8日開催分)
投稿日 2016年4月9日(土)16時00分 投稿者 柴田孔明

 4月8日15時半より、X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H) の状況についての記者説明会が行われました。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力
・説明補助
JAXA 研究総主幹 満田 和久

※現状報告の資料と質疑応答より抜粋。
・今日時点(4月8日)において「ひとみ」との通信は回復していない。
・予定通り観測を行うのは難しい状況になっている。
・JSpOCの観測した物体ID=41337が「ひとみ」本体と推定している。これは安定して軌道追跡ができている。(※JSpOCが4月1日まで41337としていた物体は識別ID=41442となった)
・このID=41337が3回の電波を受信した物体で、一番大きい物体と推定されている。また、すばる望遠鏡での撮像により、数m程度の大きさのある物体であると推定している。
・前回発表した電波受信のうち、最後のサンチアゴ局(3月29日)のものは、解析の結果「ひとみ」ではなく同じ方向にあった太陽光の雑音であった。
・3回目の電波受信を解析し、ID=41337が電波の発信源と考えている。
・光学観測から衛星の回転周期は5.22秒(あるいは整数倍)とかなり速い。
・この速い回転速度を発生させる原因候補として姿勢制御系の異常が考えられている。
・現在は5.22秒の回転周期だが、この周期では衛星からの分離が起こることは考えにくい。
・仮に3秒以上の回転周期になると、太陽電池パドルや伸展ベンチが衛星から分離する可能性がある。そのため当初は速い回転周期だったものが、物体の分離で5.22秒まで減速したことも考えられる。
・当初、姿勢異常が発生したときは約17時間で1回転というゆっくりとした周期だった。
・太陽電池パドルに破損があった場合でも、3枚が残存していれば制約はあるが観測は可能。

以上です。

No.1957 :X線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会(2016年4月1日開催分) ●添付画像ファイル
投稿日 2016年4月7日(木)22時46分 投稿者 柴田孔明

 通信が不通となっているX線天文衛星「ひとみ」に関する記者説明会が、2016年4月1日15時よりJAXA東京事務所で行われました。

・登壇者
JAXA 理事・宇宙科学研究所長 常田 佐久
JAXA 宇宙科学プログラムディレクタ 久保田 孝
JAXA 追跡ネットワーク技術センター長 原田 力
・説明補助
JAXA 研究総主幹 満田 和久

・X線天文衛星「ひとみ」の現状について(資料及び説明より抜粋)
 1.運用の状況
 ・「ひとみ」衛星は、通信不通が判明した3月26日時点では、「初期機能確認フェーズ」で全観測機器の立ち上げを一通り完了しており、4月中旬に「較正観測フェーズ」へ移行予定だった。
 ・異常判明後の3月25日及び3月26日にかけては、次フェーズ移行に向けた準備として、複数のX線天文体ら望遠鏡指向し、全観測機器で試験観測中だった。

 2.テレメトリデータ受信状況
 ・JAXA内之浦局(USC)可視群では、コマンド・テレメトリ運用(衛星データレコーダ再生を含む)を行い、その他JAXAマスパロマス局(MSP:スペイン)/JAXAミンゲニュー局(MGN:オーストラリア)可視群では軌道決定のための運用(レンジング運用)のみを行う計画であった。
 ・USC可視群最終可視(3/26未明)以前の、非可視時間帯含む連続した全ての衛星テレメトリデータは、衛星データレコーダから再生・取得済みである。
 ・一方で、不通直前のMSP/MGNの全3可視分は、可視時間帯のみに一部のテレメトリだけが取得できている。

 3.事象発生前後の衛星状態(※資料より抜粋)
 ・3月26日
  3時1分:姿勢変更マヌーバ(約21分)(※観測方向を「かに星雲」→「活動銀河核」に)
  3時2分〜3時13分:USC局運用(正常)
  4時10分頃:姿勢異常発生推定時刻。(※MSP可視テレメトリから逆算)
  5時49分〜6時2分:MSP局運用(姿勢異常と推定される、発生電力低下、一部に温度上昇または低下あり)
  7時31分〜7時44分:MSP局運用(姿勢異常と推定される、一部に温度上昇または低下あり。※日陰のため発電無し)
  9時52分〜10時4分:MGN局運用(姿勢異常と推定される、発生電力低下、一部に温度上昇または低下あり)
  10時31分〜10時53分:ASTRO−H Breakup時刻(JSpOCによるTwitterより。※10時42分±11分と推定)
  16時40分〜16時50分:MGN局運用 通信出来ず。JAXAとして「ひとみ」運用異常を確認。
  23時39分〜23時52分/23時40分〜23時53分:USC局(約3分間)、勝浦宇宙通信所(KTU)局(約3分間)それぞれ電波受信。

 ・3月27日
  1時20分〜1時33分/1時22分〜1時33分:USC局(約4分間)、KTU局(約6分間)それぞれ電波受信。
  13時:X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H)運用異常対策本部設置
  21時58分〜22時11分:USC局電波受信(22時6分頃から約10秒間、22時7分頃から約1秒間)
 ・3月29日
  0時25分〜0時39分:サンチアゴ局(SNT:チリ)電波受信(0時33分頃から約7秒間)

 4.事象発生後の衛星運用状況
 ・衛星の現在の状況を把握するためには、衛星のテレメトリの取得が必要となる。
 ・通信不良発生後、国内外のJAXA追跡局を優先的に割り当て、推定される「ひとみ」の軌道にアンテナを向けてコマンドを送信し続けているとともに衛星からのテレメトリの受信を試みている。
 ・現在までの4回の通信機会において、衛星からの電波を受信しているが、残念ながらテレメトリの取得には至っておらず、衛星の状態は確認できていない。しかし電波が受信できたことから衛星と送信機がONになっていると考えている。
 ・なお、電波を受信した方向・時刻には、JAXAの把握する限り、他の衛星が存在しないことを軌道情報などから確認しており、この電波は「ひとみ」から発信された可能性が高いと今は考えている。
 
 5.レーダー・望遠鏡の観測状況
 ・3月26日の通信異常発生以降、(一般財団法人)日本宇宙フォーラム所有の上斎原スペースガードセンター(KSGC)のレーダー、及び美星スペースガードセンター(BSGC)の光学望遠鏡を使って「ひとみ」の軌道周辺を観測している。JSpOC(アメリカの国防総省戦略軍統合宇宙運用センター:Joint Space Operations Center)は、「ひとみ」周辺に5つの物体があると公表しているが、JAXAは現在までのところ2物体までの軌道を把握している。
 ・両物体の軌道情報を元に時間をさかのぼると、3月26日10時37分頃にこれらの物体は「ひとみ」の当初の軌道上のほぼ同位置にいたことが判明した。これより、両物体のどちらかは「ひとみ」から分離した物体なのではないかと考えている。
 ・なお、上記時刻については、JSpOCが発信している「ひとみ」のbreakup時刻(10時42分±11分とも整合している)

 6.復旧に向けた運用状況及び要因分析
 ・衛星の通信復旧を最優先事項と考え、引き続き国内外のJAXA追跡局を使用した通信機会(1日約20回程度)において、衛星に向けて電波コマンドを送信して通信確立に最善を尽くしている。
 ・平行して、以下の重要事象について作業(取得済みテレメトリ解析、今後の衛星状態を推定するための検討、要因分析等)を進めるとともに、それらを反映した対策の検討を行っている。
 1.姿勢異常事象
 2.衛星から複数物体発生事象
 3.通信異常事象

・質疑応答などより抜粋(4月1日の記者説明会時点までに判明している件)
 ・不通判明後の電波受信では「ひとみ」のテレメトリはとれていない。
 ・計4回の電波受信できたが、微弱で内容までは不明だった。
 ・電波の方向から「ひとみ」だろうという推定である。
 ・受信は最初は数分間だったが、最後は約6秒になっている。
 ・姿勢異常の発生(推定)からBreakupまで約6時間。
 ・軌道上に二つか、それ以上の物体がある。
 ・日本で観測した二つの物体は1m以上の物体と、1m前後の物体。
 (※観測機器の精度の関係で1m以下の物体は検出が難しい)
 ・二つのうち、どちらが本体とはまだ言えない。
 ・軌道上の二つのうち、一方は高度が下がり、一方は高度が上がった。
 ・二つの物体の軌道を逆にたどると、ある時点で1つになるので、「ひとみ」から分離した可能性が高い。
 ・二つの物体は離れつつある。
 ・電波を受信した時、この二つはまだ近かったので、どちらが発信元かは不明。
 ・明るさが変化しているが、回転しているとは必ずしも言えない。
 ・バッテリの状態が不明で、冷えていたり熱かったりすると充電が難しい。
 ・観測されているデブリでは「ひとみ」と近いものは無かった。
 ・姿勢異常直前の姿勢制御はリアクションホイールを使ったもの。
 

・質疑応答より(一部省略しています)
日本テレビ・2つの物体があるが分解したのか、「ひとみ」は生きているのか。
常田・衛星機体が何らかのダメージを受けて破片として観測されていると思っている。本体は残存している。真っ二つに分かれた状態ではない。根拠として複数の物体が観測された後も電波を4回受信している。衛星は電源系や送受信機などが衛星内部に分散して配置されており、大規模な破壊があると電波を発するのは極めて難しいというのが根拠の一つです。もう一つは、衛星からの複数物体の発生現象をFTA(故障の木解析)で分析していますが、現時点で爆発的な現象を起こすものがもともと衛星内部に無いのではないか。ただしこれは分析中で推測です。
あえて候補をあげると軟X線分光検出器(SXS)のタンク。これは圧力の高いヘリウムが充填されたタンクがあります。姿勢の異常が起きたあと、テレメトリが来なくなるまでは正常でした。もう一つはバッテリで潜在的に障害の要因となるが、これもテレメトリが来ている時までは正常です。もう一つは推進系で、軌道上で姿勢変更をするときにガスを噴射して衛星の姿勢を変えるものですが、燃料タンクを持っているが異常はない。温度分布の変化は姿勢の変化に基づくものと予備的に結論している。
一方、これだけの物体の離脱が発生しているので何らかの破損があったと推測するが、電波の件と衛星内部にエネルギーが高いものが無いことから、衛星本体は残存しているものと推測している。

日本テレビ・原因は宇宙ゴミ(デブリ)ではないのか。
常田・現在のところデブリでこの現象が起こった証拠は無い。調査の途中であり確定的ではないが、衛星の中に原因があったという立場をより重くとらえて原因究明に努めている。

日本テレビ・原因究明はどのくらいを目処にしているか。
常田・原因がどこだということが掴めないくらい複雑。単純なことではないのではないかという印象をもっている。候補でないものを消していく。予断を廃してあらゆる面から原因究明をする。日々情報は集まっているが、いつ頃までとは言えない。

NHK・残存している本体の状況はどうなっているか。
常田・姿勢異常の発生後に何回かリアルタイムのテレメトリを受けていて、これが今後の原因究明の重要な証拠となる。
久保田・衛星から複数の物体が発生したことを観測した。何らかの力を受けているので、たぶん回転しているだろう。どのように回転しているかは全くわからない。

NHK・原因の可能性があるものは何か。
久保田・バッテリ、推進系、ヘリウムタンクがあるが、得られているテレメトリデータでは正常であった。非常に大きな衛星なので姿勢異常との関係もチェックしている。そういった項目でどうなるかを調べているところ。

NHK・X線天文学にどういう影響が出るか。
常田・最近の天文学は衛星にしろ地上観測にしろ非常に大規模になっていて、同じ目的のものを世界で張り合って作ることはなくなってきている。国際協力で1つの目的の観測装置を作っている状況。ASTRO−H「ひとみ」についても同様の状況。X線天文学は日本が世界的な成果をあげ続けている。「ひとみ」は日本主導で米欧が加わって国際協力で作り上げた。搭載された観測装置の性能は従来の衛星より上がっている。類似の装置は計画中を含めて無い。それ故に世界中の天文学者の期待は高かった。なんとしてでも復旧させたい。

日刊工業新聞・協力を依頼したのはどの機関か。
久保田・衛星の観測のため美星、上斎原。そのほかの天文台等にも観測をお願いしている。
常田・国立天文台の「すばる」望遠鏡にも依頼。その他、東京大学等の所有する天文台。国内とハワイにある望遠鏡を動員して観測していただいている。
原田・海外については、この分野で進んでいるJSpOCにお願いしている。フランス、ドイツにもお願いしているが、「ひとみ」の軌道傾斜角が31度であり、ヨーロッパやアメリカ北部からでは仰角が低くなる。

朝日新聞・分離した物体はどのくらいの大きさか。
原田・光学望遠鏡では明るさは判るが大きさは判らない。レーダーは600kmの距離では直径1mの物体が観測できる。ひとつは1m以上の物体で安定して観測できている。もう1物体は、二回しか観測できていないので、観測限界に近いもの。ただし電波の反射特性によるので断定はできない。

朝日新聞・JSpOCは5つ観測しているがJAXAはどう考えているか。
原田・5つについてはまだ観測できていない。リソースが限られているのと、能力の限界がある。JSpOCの言う物体があっても能力限界より小さいのではないか。また軌道を把握していない中で捜しているので、軌道の誤差かもしれない。何とも言えない。

朝日新聞・JSpOCは「ひとみ」の他に5個あるとのことだが、JAXAとしては「ひとみ」ともう一個ということか。
原田・断定はできないが、その可能性がある。

読売新聞・4回の電波を受けているが、直近の受信は短くなっているがバッテリが無くなってきているのか。そうなってしまった場合、通信の復旧はどういった手順になるのか。
久保田・正確にはわからないが、回っているなら太陽電池パネルに太陽が当たっている時間に電源がONになる。その時間がどのくらいかによって通信できる時間も決まってくる。短時間なのは、そのときにONになったと推定している。時間が経つと最大慣性主軸で回るので、そのときに太陽が当たる時間が長くなることに期待している。そのときに電波を受信してテレメトリがとれればと思っている。

読売新聞・バッテリが終わると安定するまで何もできないのか。それはどのくらいの期間か。
久保田・衛星が分割したので形状がわからず読めない。バッテリは太陽に当たる時間が短いとなかなか充電できないので、太陽に当たる時間が長くなる時期を待つことが通信を得るチャンスと思っている。バッテリに関しては厳しい状態。

読売新聞・高度が下がっているとのことだったが、どうなっているか。
原田・軌道決定した2物体だが、一つは元々の軌道高度から平均高度で2kmくらい下がった。もう一つは元々の軌道から数百m高くなっている。分離の仕方がわからないが、同じ場所にあったものがそういう動きをするということは、片方が加速し高くなり、片方が減速の方に動いて下がった。

読売新聞・下がっている方が本体とすると、どういうことが考えられるか。
久保田・なかなか難しいが、力を受け減速している。

ニッポン放送・どちらかは「ひとみ」から分離したとあるが、どちらも「ひとみ」由来なのか、それとも片方だけなのか。
原田・どちらも「ひとみ」由来と考えている。本体がどちらかはまだ言えない。観測の状況から推測はできるが絶対とはまだ言えない。可能性としてはどちらもあり得る。

ニッポン放送・回転しているとのことだが、太陽電池にとって最適な軸なら起電力が増えるのか。
久保田・回転していることもある意味推定であります。分離の時、その力がかかったのが衛星の重心でない限りは回転する。回転しているので発電する/しないの繰り返しだろうと推定しています。太陽電池の向きが最大慣性主軸(Y軸:太陽電池に対して垂直)になっているので、いずれそれで回り始めます。地球のまわりを公転しているので、太陽を向く時期が来て発電できる。

ニッポン放送・電力が得られず冷却機能が動かないことで動作不良を起こさないか。
久保田・「ひとみ」は打ち上げ後から姿勢が決まるまで、いろいろな方向から太陽が当たることを考えて作っている。どのくらいの時間になるか、どのくらいの回転数なのか判らないので、衛星の今後の状態を予測しながら解析を進めている。すぐにどうこうとなるとは考えていないが、状態によってどうなるか考えている。

東京新聞・現在のところ原因がデブリではない理由は何か。
原田・判っているデブリは公表されている。JSpOCでは10センチ以上とされているが、それらについては軌道は把握されていて、我々も観測できるものは観測している。それらと「ひとみ」が接近するという情報は事前には無かったし、もしあれば日米の取り決めで通知されることになっているがそれも無かった。現在観測され軌道が明らかになっているデブリについては、まず無い。ただしJSpOCの能力より小さいデブリについては否定できない。

東京新聞・「ひとみ」由来の二つの物体は、徐々に離れているのか。
原田・軌道が上がったものは周期が長くなり、下がったものは周期が速くなり、徐々に離れている。

東京新聞・明滅の周期については7秒間隔という観測もあるがJAXAの解釈は。
原田・明るさは変化している。ただし物体の軌道を決定する目的で、写真を撮って点を繋いで軌道を決定するもの。これは動画ではないので周期はわかっていない。
久保田・明るさが変化するということは、光を受けている面が回っていると考えるのが普通だが、要因については判らないので観測を続けている。

東京新聞・太陽電池に太陽光が当たるまで数ヶ月単位でかかるのか。
久保田・正確には言えないが、そのくらいも視野に入れて解析中です。

・ハウスキーピングデータは「ひとみ」が発信したものか。
久保田・不通後は電波のみを受信しテレメトリは来ていないので衛星の状態はわからない。その前の軌道決定の運用時は電波もテレメトリも来ている。ただしこの時は運用中のデータのみで、その間のデータはとられていない。

・衛星の状態を把握するためにテレメトリを取るのか。
久保田・テレメトリ受信が第一優先。

・復旧の可能性はどのくらいか。
久保田・状態によって何とも言えないが、電波を4回受けているので、テレメトリデータをなんとか受信したい。

日経新聞・今回の「ひとみ」のように人工衛星で通信不能になったケースは。また復旧したか。
久保田・衛星「あかり」が日陰のときバッテリが少なくなって通信できなかったことがあった。復旧には3ヶ月ほどかかった。「ひとみ」が観測可能になるかは衛星の状態がわからないと言えない。

日経新聞・テレメトリが受信できたとして、復旧して観測ができる可能性はどのくらいか。
原田・どのくらいかは、テレメトリデータを受けて、どこがどうなっているか判らないと何とも言えない状態。

日経新聞・今後三ヶ月でデータがなかなかとれないとなった場合、半年とか一年とか、どこまで頑張るのか。
常田・衛星が何らかのダメージを受けているのは事実。太陽電池パドルに太陽光が当たらずバッテリの充電ができない。太陽光が当たったときのみの短時間の電波が来ている状態。ダメージの如何によりますが、姿勢が良くなると衛星も観測も復帰できる。電力が失われたのは重大な事態だが、それだけで衛星が恒久的な障害を起こすものではない場合もある。「あかり」の例のように数ヶ月の単位で復旧の努力をしたい。質問はそれでも復旧しなかった場合との趣旨だと思いますが、原因究明とともにその後の衛星の状態を予測してゆく。今は原因を特定できていないので、数ヶ月先を言うのはまだ早い。

テレビ朝日・光学望遠鏡での観測結果で、これは「ひとみ」本来の見え方と比較するとどうなのか。
原田・大変申し訳ないが、もともとの「ひとみ」観測の実績が殆ど無いため比較ができない。この望遠鏡は静止軌道のデブリ観測のためのもので、低軌道の人工衛星では追尾速度が限界に近い。

テレビ朝日・実績が無いとすると推測ではどうか。
原田・通常は人工衛星は肉眼でも見え、「ひとみ」は大きな衛星のため、通常は恐らく明るく見える。今は光学特性が把握できていない。
久保田・太陽電池やMLI(多層断熱材)など反射率の高いものに太陽光が当たると明るくなる。また衛星が八面体のため、姿勢によって明るさが変わる。

テレビ朝日・電波は何カ所で受信しているか。
久保田・内之浦局、マスパロマス局、ミンゲニュー局、サンチャゴ局、勝浦局の5局で追跡をお願いしている。内之浦局は1日5回のパスがある。コマンドを打って電波を待ち受けている。合計で1日のべ20局ほど。これは通常よりかなり多い。
原田・JAXAは全体で20機程度の衛星を追跡している。他の衛星もきちんと運用する。内之浦局は今は「ひとみ」優先。海外4局を含め、のべ20パスを運用している。

テレビ朝日・二つの物体のうち、「ひとみ」本体は軌道が上がって安定して観測されている方という理解で良いか。
原田・軌道が上がっている方が安定してレーダーで観測されている。光学は回数は少ないが、明るい方が軌道が上がっている。ただ、軌道が下がっている方も微妙な軌道の変化をしていて、必ずしもそちらから電波が来ていないという断定もできない。正確な軌道位置を計算し、アンテナを向ける精度を上げるなどを今後検討したい。
久保田・今現在、どちらが「ひとみ」か判らない。今は軌道が上がっている方も下がっている方も電波が受信できていない。分離当初は二つが近く方角がほぼ同じで、どちらが発信源かわからない。

時事通信・地上からコマンドを出すことがトリガになって衛星から電波が出るのか。搭載コンピュータが作動しているのか。
久保田・衛星には送受信機があって、太陽が当たると電源がONになる。通常はコマンドを送って、それに応じて返すが、どういう事象が起こっているかによって微弱な電波を出す場合もあって、コマンドを受けているかどうかはまだ判らない。コンピュータの状況も確認できていません。

時事通信・電波を受けてもテレメトリが無いのは指向性の問題なのか、それとも出力の問題か。
久保田・ひとつは太陽電池に太陽が当たっている時間が非常に短いことが原因と思いますし、その他にも原因があると思う。まだ調査中。

時事通信・当初の4分間や6分間の長めの受信は継続して受けていたのか、それとも断続的だったのか。
久保田・確認しますが、継続的に受けたと思います。電波の受信レベルが低かった。

時事通信・内部のエネルギーが高いものが漏れたら、今の変化は十分起こりえるものか。
久保田・いろいろなケースを考えて調査している段階です。

・最後の姿勢制御マヌーバはリアクションホイールで行われたのか。またそのときのテレメトリでの姿勢は全て正常か。また、通常は衛星から常時ハウスキーピングデータが常時出ているのか。
久保田・姿勢変更はリアクションホイール。軌道決定の運用時は、そのパス時のハウスキーピングデータは受信しているがリアルタイムでは見ていなかった。後日解析の予定となっていた。衛星の送信機はずっとONの状態。ただ姿勢異常発生後の3回の運用時以外はハウスキーピングデータは下ろしていない。またこの3回の運用は予定通りに行われていた。

産経新聞・今までの話から「ひとみ」の内部の原因を重く見つつ、JSpOCが監視できる大きさ以下のデブリの可能性も排除しないということだが、この「ひとみ」の軌道ではデブリが深刻なのか。
原田・デブリが多い高度帯です。高度千キロ以下に衛星が多い。運用を終えた衛星や、打ち上げたロケットが多い。ものによっては分離するなどして、多くのデブリがあります。公表されている1万7千個のデブリのうち、1万数千個は主に千キロより下の軌道帯にある。この高度はうっすらと大気があるので、制御されていないものは大気抵抗で徐々に落ちている。ある高度のものが下に落ちても、そのまた上の軌道から落ちてくるので常にデブリが存在する。衛星はミッションに適した高度を選ぶ。観測や地上運用がしやすい軌道は多く使われる。そのためデブリを観測して安全な運用をするための活動が重要で、JSpOCも我々も活動している。

産経新聞・「ひとみ」のデブリ対策は行われているか。
満田・デブリより自然由来の隕石が非常に多いので、それに対する防御をやっている。

共同通信・デブリではなく、衛星内部が原因とすると可能性が高いものは何か。
久保田・まず姿勢異常があったことと、複数物体が発生したことの関連を調べている。先の3つ(燃料、ヘリウム、バッテリ)で異常があった場合どうなるかを解析している状態で、現状では決め手はない。また制御に異常があったことで、それに関連したものが発生しないか調べている。どれが確率が高いかは今の段階では言えない。

共同通信・姿勢変更マヌーバのあと姿勢異常が発生している。原因はそのあたりにあるのではないか。
久保田・そこも含めて検討中です。

フリー大塚・異常発生後の4回の電波のみ受信というのは、ピーコンのようなものなのか、何かデータが含まれているのか。電波の強さは通常より弱かったのか。
久保田・電波と書いたのは、変調などが含まれているかが微弱でわからないため。電波の強度は通常より弱い。

毎日新聞・姿勢異常発生の推定時刻からBreakupまでに6時間半くらいある。どういったことがあったのか。
久保田・Breakupの推定時刻付近で起こった事はデブリなのかまだ判らない。姿勢異常から起こったことなのかを疑って検討しているところ。姿勢変更マヌーバからの関係も色々な要因を考えて調べているところ。デブリよりも衛星で何が起こったか整理しているところ。

毎日新聞・6時間半の時差は、どういった事が考えられるか。
常田・調査のポイントのひとつ。Breakupが先で、それが不具合を引き起こしていると思ったが、実際は姿勢異常が先に始まった。現時点は不明。

NVS・「ひとみ」の初期観測中だったが、先代の「すざく」と比較してどうだったか。
満田・初期観測から1ヶ月で徐々に観測装置がONになってきて、26日は全ての観測装置が動いている状態。このときの観測対象は観測装置の性能を確認するもの。しかしサイエンス的に意味のあるデータもとれている。ASTRO−Hとしてデザインされた性能が出ており、「すざく」よりも優れている。

NVS・X線天文学者や「ひとみ」を作った人達に何かステートメントは出しているか。
常田・「ひとみ」は最先端の観測機器が積まれている。国内ではなく世界最先端の装置。そのうちの一つは米国と密接な協力で開発したもので、優に10年をこえる開発期間がかかっていて、開発に携わった先生の一部には20年近くこの装置に携わってきた。非常に順調に観測していた時に、突然こういう事が起きて、観測装置を開発された方、その観測データを使いたいと思っていた世界中の研究者にとっては非常に残念でショック。一方、原因解明をしなければならず、また衛星を復帰しなければならない。落胆はあるが、それよりむしろ回復させるという一点で張り詰めた気持ちで事に臨んでいる。

フリー鳥嶋・5時49分ので姿勢と電源と温度に異常があったが、セーフホールドモードには入らなかったのか。
久保田・この段階では入っていなかった。色々な仕掛けがあるが、そこまでは入っていなかった。

フリー鳥嶋・衛星の回転は予想されたものか。またその回転に耐えられるのか。
常田・非常に大きい機体。静止していた重い衛星が、速い回転を起こすのはちょっと考えにくい。しかし地上からの観測で明るさの変化があることから回転している可能性があり、その点も調査のポイントとなる。

朝日新聞・物が分離し重大な事象と考えているのか、また、先の発表時より状況が悪くなっているのか。
常田・衛星の姿勢異常はあってはならないが、どうしても起きる可能性がある。その場合は復旧に全力を尽くすが、今回はそれを超えて離脱した物質が観測されている。姿勢異常でも重大な事態であり、さらにこういう状況に至っているということで、JAXA全体で非常に重く認識している。
状態が悪くなっているかという点は、衛星が悪くなっているかはわからない。一般に回復できない、時間が長くなるほど事態は悪くなっている可能性は否定できない。衛星の回転の軸が変わりつつあり、太陽電池に光が当たるか、地上と通信できるかは確率的なものがある。通信頻度が下がっていることで、努力をあきらめるものではなく、さらに努力を続ける。悪い方に向かっているとは必ずしも思っていない。

朝日新聞・現状で、観測スケジュールに影響はあるか。このまま復旧できなければ影響はあるか。
常田・4月中旬に較正観測フェーズが終わり試験観測フェーズが6ヶ月、そのあと本観測で公募の観測を開始する予定だった。当初の目的に沿った観測ができない。現時点で国際天文台としての活動の時期は遅らさざるを得ない。
 極めて貴重な衛星。現時点で回復に全力をあげる立場。衛星の残存に根拠がある。その先の状況については考えていない。

東京新聞・爆発的な物ではないとすれば、姿勢異常の応力で分離することはあるのか。あるいはガス噴出で物が外れる事はあるのか。
久保田・可能性はあると考えて調べている。いろいろなケースを考えている。先に例として挙げたものは要因の候補であって有力かは判っていない。

以上です。

No.1956 :X線天文衛星「ひとみ」の状況について
投稿日 2016年3月29日(火)19時54分 投稿者 柴田孔明

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況についてJAXAから発表がありました。(3月29日版)
現状では衛星の回復について厳しい内容となっています。

 以下がJAXAの発表内容のコピーです。

 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)につきましては、引き続き国内外の地上局を用いて継続的に通信を試みております。
 3月28日(月)以降、これまでに衛星からの電波を2 回の通信機会で受信いたしました。
 一回目の受信は、内之浦宇宙空間観測所にて、3月28日(月)22時頃、二回目はサンチャゴ局にて3月29日(火)0時半頃です。いずれも極めて短い時間の受信であり、衛星の状態は確認できておりません。
 一方、米国 JSpOC(国防総省戦略軍統合宇宙運用センター;Joint Space Operations Center)から3月26日(土)10時42分頃に衛星が5 つの物体に分かれたものと推定しているとの情報が公表されております。
 これについて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)として事実関係を確認するため、
(一財)日本宇宙フォーラム所有の上齋原スペースガードセンター(KSGC)のレーダおよび美星スペースガードセンター(BSGC)の望遠鏡による観測を行っております。これまでのところ、BSGCにおいて当初の「ひとみ」の軌道近傍に2 つの物体を確認し、KSGCでもそのうちの1 つの物体を確認しております。
 なお、上記サンチャゴ局で受信できた電波は、KSGCで観測した物体の軌道方向からのものであることを確認しています。
 JAXAとしては、JSpOCが公表している情報および今回の通信異常との関係について引き続き確認中です。
 引き続き衛星の通信の復旧及び原因調査について機構をあげて取り組んでまいります。
 新しい情報が確認できましたら、速やかにお知らせいたします。
 (※注:時刻はすべて日本時間です)

No.1955 :X線天文衛星「ひとみ」異常の続報
投稿日 2016年3月28日(月)11時12分 投稿者 柴田孔明

2016年3月28日11時発表のJAXAからの続報からの抜粋です。

 『X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)につきましては、3月27日(日)18時15分の発表以降も、国内外の地上局を用いて継続的に通信を試みておりますが、現在までに衛星からの電波を受信できず、衛星の状態を確認できない状況が続いています。現時点で、通信不良の原因は不明ですが、引き続き衛星の通信の復旧及び原因調査について全社的に取り組んでおります。
 なお、米国 JSpOC(国防総省戦略軍統合宇宙運用センター;Joint Space Operations Center)から、衛星が複数の物体に分かれている可能性があるとの情報が公表されておりますが、複数の物体を確認したとされる時刻以降に短時間ではあるものの衛星からの電波を受信できたことから、機構において衛星の通信異常との因果関係について確認中です』

No.1954 :X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H)に異常が発生
投稿日 2016年3月27日(日)20時09分 投稿者 柴田孔明

 2016年2月17日に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO−H)に異常が発生し、3月27日夕方に記者説明会が行われました。

 JAXAの発表文は以下の通りです。
『平成28(2016)年2月17日に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)は、3月26日(土)の運用開始時(午後4時40分頃)に衛星からの電波を正常に受信できず、その後も衛星の状態を確認できない状況が続いています。現時点で、通信不良の原因は不明ですが、短時間ではあるものの衛星からの電波を受信できたことから、引き続き衛星の復旧に努めております。
 この衛星状態を受け、復旧及び原因調査に万全を期すため、本日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構内に理事長を長とする対策本部を設置し、第1回会合を開催いたしました。ひとみの通信の復旧及び原因調査について全社的に取り組んでおります。対応状況、調査結果については随時お知らせいたします』

※質疑応答より
・衛星の姿勢が正常ではない。
・軌道も若干下がる方向にずれが見られる(注:解析中)。
・衛星のLGA(低利得アンテナ)はどの方向でも通信ができるが、それができない事から太陽電池パドルが太陽を向かずバッテリが充電できていないことが推測される。
・短時間の電波受信はできたが、衛星の状態を含むテレメトリは受信できていない。
・観測に使う液体ヘリウムは一ヶ月で無くなる可能性がある。ただし液体ヘリウム無しでも観測できるモードがあるが効率は少し悪くなる。
・対策本部の設置は2003年11月(H-IIAロケット6号機の失敗時)以来。