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宇宙作家クラブのメンバーによる取材活動の様子をリアルタイムでお届けします。
<画像付き>  <テキストのみ>  <過去ログ>

No.1827 :小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)のクリティカル運用期間の終了について
投稿日 2014年12月5日(金)12時07分 投稿者 柴田孔明

2014年11時30分(JST)に「小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)のクリティカル運用期間の終了について」がJAXAより発表されました。

以下、発表文より。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」について、小惑星表面から試料を採取するサンプリング装置ホーン部の伸展、イオンエンジンの方向を制御するジンバルの打上時保持機構(ロンチロック)解除、探査機の3軸姿勢制御機能、並びに地上の精密軌道決定システムの機能確認など、重要なシーケンスが正常に実施されたことを確認いたしました。これによりクリティカル運用期間(※)を終了いたします。
 
 なお、サンプリング装置ホーン部伸展につきましては、多くの皆さまより「はやぶさ2」宛てにいただきましたご寄附で製作・搭載いたしました小型モニタカメラの取得画像(HP参照)にて確認ができました。改めまして、ご寄附に対し深く感謝し、心から御礼申し上げます。

 現在、探査機の状態は正常です。

 今後、探査機搭載機器の初期機能確認を約3ヶ月間かけて実施する予定です。

 この度の小惑星探査機「はやぶさ2」の打上げおよび追跡管制にご協力、ご支援頂きました関係各方面に深甚の謝意を表します。また、長期にわたる「はやぶさ2」の宇宙探査ミッションに対し、引き続きお力添えを賜りたくお願い申し上げます。

 (※)クリティカル運用期間
 ロケットから探査機が分離した後、探査機の太陽電池パネル等の展開、姿勢制御機能及び探査機を追跡管制する地上系設備の機能の確認など、一連の健全性を確立するまでの期間

http://www.jaxa.jp/press/2014/12/20141205_hayabusa2_j.html


No.1825 :打ち上げ動画
投稿日 2014年12月5日(金)09時56分 投稿者 柴田孔明

宇宙作家クラブで撮影した動画を公開しました。
ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/watch/sm25057388
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=oc04INAEUqA&feature=youtu.be


No.1824 :飛行中のH-IIAロケット26号機
投稿日 2014年12月5日(金)08時07分 投稿者 柴田孔明

飛行中のH-IIAロケット26号機。このあと地球を一周した後、「はやぶさ2」と小型副ペイロードの分離に成功しています。


No.1822 :打ち上げ
投稿日 2014年12月5日(金)03時02分 投稿者 柴田孔明

打ち上げの様子。リモートカメラで撮影。


No.1821 :川口淳一郎教授からのメッセージ
投稿日 2014年12月5日(金)03時00分 投稿者 柴田孔明

小惑星探査機「はやぶさ2」/H-IIAロケット26号機の打上げ成功に対し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)元はやぶさプロジェクトマネージャの川口淳一郎教授から以下のメッセージがありました。
(※写真は2010年の「はやぶさ」帰還時の川口教授です)

『はやぶさは実験機でした。名前は、はやぶさ2であっても、これが本番機です。本番機のない実験機はありえないわけで、これでようやく、はやぶさのミッションが完了したと、感慨ひとしおです。始原天体探査、そしてサンプルリターンの分野が、こうして我が国が主導的にひらかれたこと、そして工学面がそれを牽引できたことは何よりもの喜びです。またそれに自身が携われてこれたことも無上の喜びでもあります。はやぶさはバブル崩壊後に立ち上がり、帰還し、はやぶさ2が、この、ともすれば焦点距離が短くなりがちな社会状況の中で打上げられること、日本にも、まだ創造の可能性があると、訴えることができるとしたら、何ものにも代え難いことではないでしょうか。』


No.1820 :打ち上げ経過記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年12月4日(木)08時44分 投稿者 柴田孔明

小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載したH-IIAロケット26号機が、2014年12月3日13時22分04秒に打ち上げられました。地球を一周した第2段から探査機「はやぶさ2」と小型副ペイロードが分離された後の17時より、打ち上げ経過記者会見が行われました。

※会見のまとめは今村勇輔さんにお願いしました。ここの写真のみ柴田孔明の撮影です。

■H-IIAロケット26号機/はやぶさ2打上げ経過記者会見 - ただいま村
http://ima.hatenablog.jp/entry/2014/12/03/172000


*第一部:打上げ経過記者会見(機関代表報告)
**登壇者
-三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部長 阿部直彦
-JAXA 理事長 奥村直樹
-文部科学副大臣 藤井基之

(「打上げ結果について」資料読み上げ)
はやぶさ2は分離と通信を確認、相乗り衛星は分離信号の送出を確認
H-IIAは通算26機中25機成功、20機連続成功。H-IIBとあわせると30機中29機成功97パーセント

**JAXA奥村理事長の談話
阿部さまから報告があった。ロケットの打ち上げを実施していただいた方々にお礼を申し上げたい。
JAXAがになっている安全管理業務を果たせたことをご報告したい。
打ち上げに当たっては天候のため3日遅れたが、はやぶさ2はこれから長い距離を旅立つ門出が予定通り始まったことを安堵、喜んでいる。支援にお礼を申し上げたい。
はやぶさ2についてはこれまで説明してきたとおり。さらに今回は太陽系の起源、生命の起源をさぐるC型小惑星にサンプルリターンを目的として旅立っていく。装置そのものの信頼性を前回の教訓を生かし、あるいはロバスト性を上げるなどして必ずや実を結ぶだろうと信じている。
はやぶさ2はたいへん多くの国民からご支援をいただいて40万を超える応援メッセージをいただいた。安倍総理、下村文部科学大臣などからも。PV、インターネットでたくさんの方々が打ち上げを見たと聞いている。
大変多くの国民の皆さんのご支援ではやぶさ2ミッションが始まっている。
寄付金もたくさんいただいた。その寄付金で小型のモニターカメラを搭載した。
本日門出をしたばかり。気を引き締めて運用していきたい。
もう一点、国際協力で成果を拡大できていくミッション。ドイツやフランスの宇宙機関が製作したMASCOTが乗っている。これもお互いの成果を相補的な役割を果たせるだろう。アメリカとロシアとは運用を協力。NASAとはオシリス・レックスでも協力。宇宙探査においては協調・共同の世界で進めていく。
来年末に地球スイングバイし2018年に到着、2020年に戻ってくる。皆さんには逐一報告し気を引き締めつつ進めていく。引き続きご支援をお願いしたい。

**藤井文部科学副大臣のあいさつ
いまお二方から紹介があった通り基幹ロケット25機連続成功、信頼性の向上をしめすもので喜ばしい。前回10月7日、ひまわり8号に続き精巧に立ち会えて感動。今後も国民生活の向上に資するだろう。
探査機の状態確認ののちC型小惑星へ行き東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に帰還予定。
国民の夢を乗せたはやぶさ2がサンプルを持ち帰ることを期待してやまない。
ご尽力・ご支援いただいた関係者の方々にお礼を申し上げたい。
応援いただいた全国の皆さんに感謝、これからの帰還までの6年間についても注目していただきたい。

*第一部質疑応答
(政策に関する全体的な質問に限ってほしいとの要望あり)

日経新聞うえさか:阿部部長へ。これまでの成果と今後の取り組みは

阿部:原動力についてはやはりひとつひとつの部品を確実に作り確実に実施していく。ていねいに打ち上げていく以外にない。コツや魔法はない。積み重ねしかない。
30機40機に向けては慣れ、マンネリ、形骸化、おごりをいましめていく。それを自らやっていくことが必要。自分たちとの戦い。

毎日新聞あおの:奥村理事長へ。2020年まで国民に逐一知らせたいとのことだがその広報戦略についてお考えがあれば

奥村:広報戦略というほどではないかもしれないが広報で常日頃心がけているのは正確にわかりやすくお知らせするという原点。
はやぶさ2についても6年と長い。平板なトーンにならないよう工夫していくことが重要という議論をしている。
国民の皆さんに引き続き関心を持っていただけるような工夫を継続する努力が結果的に国民の皆さんにわかりやすい広報になるのではと。

毎日新聞永山:広報を続けていくにあたってJAXA内の体制整備についてどう考えるか

奥村:ご指摘の通りで科学ミッションであるから科学成果をどうわかりやすい形でお伝えするかが重要、広報戦略もどう強化するかを検討している。
そう遠くないうちお話しできるだろう。

共同通信すえ:藤井副大臣に。宇宙科学への関心の高まりがあると思うが宇宙政策について探査への不安を述べる人も。どう考えるか

藤井:いま口火をきっていただいたように宇宙に関心が高まっていることは感じている。人類共通の知的財産、産業利用を拡大していく。安心・安全な社会の実現に向けたひとつのジャンル。
欠かせないのは若田飛行士の活躍など日本を元気にさせてくれる力を内在させている。宇宙に夢をはせる子供たち、活躍を考える若者たち。
いっそう促進していかなければならない。
今回の打ち上げで得られた成果とともに新しい基幹ロケットの開発に着手することも考えなければならない。財政状況もありコストもふまえて開発していくこと。
国際宇宙探査、宇宙科学など科学技術ぜんたいの向上に資するもの、安全保障、環境監視、気象や台風予測などに衛星開発は利用価値がある。産業振興などに資するようにしていきたい。

(JAXA東京事務所へ)

(JAXA相模原キャンパスへ)

東京新聞さかきばら:阿部部長へ。政府は新しい宇宙基本計画の策定が大詰め。それへの期待は。国際的な受注について円安の効果は

阿部:まず期待について。将来、先がある程度見通せるようにしていただきたい。それで民間も努力していけるし先を見据えて技術開発できる。
円安について。一時1ドル80円くらいだったが今は120円くらい。国際競争力が高まっている。昔は歯が立たなかったが今であればオンタイム打ち上げの高さ、サービスなどである程度戦えるところまで来ているという感触を得ている。

(種子島へ)

産経新聞くさか:阿部部長へ。来年を展望するようなコメントを。テレサット社の打ち上げ、高度化したH-IIAもデビューするし基幹ロケットの姿も見えてくるだろう。どのように見渡すか

阿部:打ち上げサービスとしてはテレサットをしっかり上げたい。世界標準でやっていけることを世界に認めてもらう。ハンデが大きかった価格面も円安を追い風にしていきたい。
新型基幹ロケットについては近々SDRで姿を見せたい。開発を加速。世界に勝てるロケットにしたい。

(東京会場へ)
なし
(相模原会場へ)
なし
(終了)

*第二部:技術説明の質疑応答
**登壇者
-三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 技監・技師長 打上げ執行責任者 二村幸基
-JAXAはやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトマネージャ 國中均
-ドイツ航空宇宙センター(DLR)MASCOTプロジェクト システムエンジニア Caroline Lange(キャロライン・ランゲ)
-フランス国立宇宙研究センター(CNES)MASCOTプロジェクト プロジェクトマネージャ Muriel Deleuze(ミュリエル・ドゥルーズ)
-JAXA鹿児島宇宙センター所長 打上安全監理責任者 長尾隆治
-(相模原会場)JAXA月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトサイエンティスト 渡邊誠一郎

朝日新聞東山:國中さんへはやぶさ2の現状を。またこれから6年間52億キロの旅について

國中:まずご報告したいのははやぶさ2の宇宙航海がいよいよ始まった。お礼申し上げたい。天候とはいえ延期でやきもきしたと思う。今日深宇宙に打ち上げていただいた。
第2段エンジンの再着火で深宇宙へ脱出してもらっている。続いてH-IIAから分離し太陽電池パドルの展開、太陽捕捉、0.1rpmでのスピン安定を確保。すぐにNASA DSNゴールドストン局で追尾。送信機のパワーをオンにし1540ごろGS局で電波を受信。SLAの展開、姿勢の安定、太陽捕捉を確認。現在はキャンベラ局で追尾中。

鹿児島テレビ:二回の延期について6年間のモチベーションの高め方について

國中:いい日取りを待っていて少々やきもきしたが正確に軌道投入していただいた。ウィンドウのほぼ中日であり軌道変換マヌーバは低く抑えることができる。たいへんよい期日に打ち上げられたと思っている。
今日がだめだと数日遅れてウィンドウの後半になってしまうところだった。
6年間の深宇宙航海、たいへん緊張している。簡単なものではない。はやぶさ1ができたからといって2もできるとは思っていない。困難が待ち受けているだろう。
はやぶさ2はよく作りこんだ。650キロと言う小さな船。厳しいオペレーションが眼前に広がっているだろう。チーム一同緊張したおももちで宇宙航海に備えている。

読売新聞ながの:2回の延期で平日になったが3000人以上が詰めかけた。ほかに各地のPVなど。そういう方に見守られての旅立ちについて

國中:はやぶさ2はたいへん恵まれている。多くの方から応援いただき門出を見届けていただいた。
応援にこたえられるようがんばっていきたい。

南日本新聞やました:内部物質採取の科学的意義について

國中:1999JU3はC型、炭素質小惑星。はやぶさが行ったイトカワはS型、岩石質。宇宙風化をとらえた。持ち帰ったのは大変小さな砂粒だったが表面をそっとごくきれいに拾ってきたともいえる。表面物質の硫化がわかった。宇宙にさらされている物質は太陽風で変質している。
はやぶさ2が目指しているのは表面物質だけでなく露出していない新鮮な物質を採取する。そのためインパクタを開発。クレーターを作り内部物質を採取する。
表面と内部を比較して表面で起きていることをよりつぶさに分析できるだろう。

NHKおかだ:これから小さい小舟で出るというが改めてチームとしてどういう意気込みか

國中:我々が希望して育てた船である。それを使いこなすこともJAXAの仕事。新しい海に新しい船で新しい目標へ船出した。6年で戻ってくるようチーム一同念じている。

よみうり新聞ふなこし:打ち上げと分離の瞬間どうしていたか。ミッションを成功させる自信について

國中:分離のときはSFAというセンター内の建屋の中にいた。ここは相模原とつないでいてはやぶさ2とのテレメトリを受信できる。ロケット系の情報もテレビ画面で見ることができる。情報を得ていた。
クリスマス島からビデオデータが送られてきて分離画像を見ることができた。次にゴールドストン局の追跡が始まった。
成功するよう努力していくが約束されたものではない。たいへん難しい。小惑星の観察、着陸、離陸が必要。ひとつでも機会を失えば航海はあやうくなる。宇宙と言う大自然に小舟をほうり込んでしまった。気を引き締めて慎重に、かつ挑戦的にしなければ成功しないだろう。どうやって成功させるか緊張感をもって取りかかろうとしている。

NVSさいとう:MASCOTのドゥルーズさんに。フィラエと同系統の観測器を乗せている。フィラエは大バウンドした。優しく下ろしてといった要望はあるか。彗星とC型小惑星を同じように観測できることについて

ドゥルーズ:フィラエは着陸してからアンカーだがMASCOTははやぶさから切り離されたあとバウンドするようになっている。15〜20分程度で体勢を立て直す。
どこに降りるかはわからないが降りてから表面を移動して調べることができる。

フリーランス大塚:これから3軸制御の確立やイオンエンジンの点火など今後のシーケンスについて

國中:クリティカルフェーズは約2か月、RWをランアップ、サンプラーホーンの伸展などを計画。要注意のオペレーション。そのあと時間は比較的猶予があり各機器の初期チェックを実施。それにはイオンエンジンの点火も含む。
姿勢制御装置の調整も初期運用フェーズで。各チェックと試運転。2月くらいまで。

大塚:探査機の状態は

國中:ゴールドストン局のデータを見る限り探査機は健全。

南日本新聞たかの:二村さんへ。第2段再着火の難しかった点と感想を

二村:これまでの最長の再着火はJAXAと開発している第2段高度化の技術を使っている。中身はJAXAに聞くのがよいが開発・設計に参加させていただいた第2段が無事機能してとても安堵している

(JAXA東京会場へ)

ニッポン放送はたなか:打ち上げに際して川口先生とやり取りはあったか、なかったら伝えたいことはあるか

國中:川口先生からは開発中もたくさんのアドバイスをいただき作りこんできた。出荷前審査、射場作業審査、打ち上げ完了審査など。資料を見ていただきコメントをいただいている。メールでも指示やアドバイスをいただいて作業を行ってきた。
打ち上げ後はとくに話していないがこれまで陰に日向にアドバイスいただき感謝している。

日経サイエンスなかじま:國中先生へ。ひとつの大きな危険の可能性が太陽フレアだと思うが来ると分かったときの対策は

國中:対策はない。CMEといった放射線の嵐を耐える、乗り越えるしかない。太陽は11年周期で活動する。これから太陽活動が活発になってくる。はやぶさ1もくしくも11年前に出発、半年後に大きな太陽フレアを受けた。今回も同じような可能性がないとはいえない。とはいえ放射線耐性がある部品で構成しているため数回の太陽フレアには耐えられるだろう。

NVSかねこ:二村さんへ。高度化の適用範囲について

二村:無事打ち上げに成功し安堵している。高度化については衛星に対する負担を軽減できて商用衛星のオペレーターにアピールできる。海外のライバルであるほかの打ち上げ輸送サービスに対抗できる力になる。今後もアピールして事業を発展させたい。

(JAXA相模原キャンパスへ)

赤旗新聞なかむら:はやぶさ2が地球とどのような相対速度でいるのか、通信ができた地点でもよいがどのくらいの距離など位置や動きが分かる数字を。また開発は短かったがやきもきや苦労について思い起こすことはあるか

國中:はやぶさ2の速度は秒速数キロメートル/秒で離れている。1Wの送信電力で通信しているが20Wまで電力を上げて通信していく。
当初の1年間は地球近傍…といっても0.1〜0.2AUと比較的近くを飛行する。1年後地球に舞い戻りスイングバイ、一路小惑星に向かう。こうなると1天文単位。到着時は太陽を離れて3億キロ離れる。
開発条件は厳しくて平成23年着手。プロジェクトとしては3年半で作った。1年間は設計フェーズ、ハードウェアの開発にはとりかかれない。1年後のレビューで承認後に開発するため開発期間は実質2年半。はやぶさ2は多くの機材を積んでいる。多くを日本国内だけでは製造できず海外に頼らざるを得ないところもありタフなネゴをしつつ機器を作りこんできた。これができるのも宇宙技術にたけているから。
日本が誇っていい技術と思う。
人工衛星を作る数が日本はアメリカより少なく部品の多くを海外に頼らなければならない。それでも機器がどういう作りこみをされているか、フィロソフィーを熟知しているからこの期間で開発できた。

サイエンスライター青木:渡邊先生に。今回のミッションでサイエンス面で期待できること、また不安なところは

渡邊:ヨーロッパではロゼッタが彗星に行きフィラエを下した。小天体へのさまざまなアプローチが進んでいる。はやぶさ2ははやぶさの成果の元小惑星へ行く。
さまざまな小天体に行くことで比較できるようになり太陽系の起源、物質の進化などが明らかになると考えている。はやぶさ2だけでなくほかのミッションと合わせることで知識が広がっていく。国際協力が大切。だからMASCOTを乗せることができた。
不安な点はいろいろあるが目的地に到着するまで時間がある。探査機を自在に動かせることが必須。それの練習をしたりさまざまな状況を考えて計画を立てていく。不安が少しでも少なくなるようにしていきたい。

フリーランス秋山:ドゥルーズさんへ。DLRのコメントの中に「MASCOTははやぶさ2の着陸地点の選定に資する」とあるが

ドゥルーズ:MASCOTに搭載されているマイクロメガという機器が小惑星の表面を分析する。それによってはやぶさ2がタッチダウンする場所を選定する役を担う。

渡邊:補足したい。サンプルリターンの質を決めるのはどういう場所にどういう分布をしているかという観測、さまざまなに組み合わせることが大事。
着陸点の選定だけでなくほかにも使えるためマイクロメガはたいへん重要な機器。

sorae.jpとりしま:ドゥルーズさんとランゲさんへ。フィラエとMASCOTという独創的な着陸機を作ったが今後への希望や期待は

ドゥルーズ:CNESとしてはこのような着陸機をまた開発していきたい。国際協力という形で進めていきたい。

ランゲ:DLRは彗星にまず降りたので彗星を調べる。また2つの小惑星についても調べていきたい。そのために着陸機を開発していきたい。

(種子島会場へ)

中京テレビよこお:二村さんへ二点。はやぶさという国民的関心の高い衛星を打ち上げる責任の重さ、打ち上げを終えての感想。延期を決めたのも二村さんと思うがその時の心境は

二村:今回のペイロードのはやぶさ2は皆さんの期待が大きくさまざまな思いが詰まっていると思う。そういうものを宇宙へ運ばせていただく。少なくとも期待に添えることを目指す。少し緊張した思いもあるがはやぶさ2という注目度が高いものでなく国民目線で大事な衛星もある。同じように打ち上げに臨んだ。
延期については期限が12月9日と決まっていて天候も厳しかった。プレッシャーに感じた。最善を尽くして打ち上げたため今日と言うチャンスを必ずものにする思いで心を一つにして臨んだ。

(東京会場)

NVSかねこ:國中先生へ。地上局の更新の計画などあれば

國中:現在日本で深宇宙と通信できるのは臼田と鹿児島の2つ。鹿児島は比較的新しいが臼田の64メートルは1985年のさきがけ・すいせいのために作り古くなってきた。交信したいと考えて相談している。
通信電波についても昔の探査機はSバンドを使ってきた。のぞみまで。
はやぶさではSバンドではなくXバンドを使うようになってきている。宇宙通信は高周波に移行する傾向。はやぶさ2ではKaバンドを使う。しかしKa波は日本に受信局がない。NASA局、ESA局でダウンリンクする。ぜひ日本でも受信できるようにしたい。国際協力で。

(相模原会場へ)

(終了)

*第三部:公募小型副衛星 技術説明
**登壇者
-東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 沢田恭兵(ARTSAT2-DESPATCH)
-九州工業大学大学院 先端機能システム工学研究系 教授 奥山圭一(しんえん2)
-JAXA研究開発本部研究推進部 次長 渡戸満(わたんど・みつる)
-(相模原会場)東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 准教授 船瀬龍(PROCYON)

**現在の衛星の状況について

船瀬:(衛星の紹介)プロキオンは50キロ級と小さな人工衛星。東京大学とJAXAが共同運用。超小型衛星で深宇宙探査をするためのバス技術を実証。うまくいけばはやぶさ2とは違う小惑星へ行くことも目指す。

**まずプロキオンについての質問

共同通信すえ:プロキオンの現状について

船瀬:ロケットから分離信号が正常に送出されたと報告を受けた。地上局の可視が1910ごろから。そこで状態を確認する。(そのために会見を早めに抜けます)

(東京会場へ)

NVSかねこ:プロキオンの目標小惑星の決定時期は

船瀬:フライバイする対象小惑星の選択にはさまざまな条件がある。投入軌道、イオンスラスタの性能など。初期運用の結果を総合して狙う小惑星を決定し軌道計画を立てる。計画通りに行けば打ち上げから1年後ないし2年後に地球スイングバイ、目指す小惑星をフライバイする軌道へ。

(相模原会場へ)

フリー××:プロキオンの運用ははやぶさのような自律性はあるのか

船瀬:はやぶさ2は深宇宙用の地上局として臼田や鹿児島のアンテナを使う。プロキオンもその点は同じ。

(船瀬准教授、退席)

渡戸:小型副ペイロードの状況について。しんえん2は今日の1516に分離信号送出、分離されたことを画像で確認。ARTSAT2は1520に分離信号、同様に画像で分離を確認。プロキオンは1524に分離信号、画像が送られてきたが視野の中に太陽が入り逆光になって画像では分離を確認できていない。間もなく可視に入り受信ができるだろう。
しんえん2やARTSAT2も追って受信できるだろう。
多くの成果を期待している。

沢田:(衛星の簡単な紹介、状況、感想)ARTSATは宇宙と地球を結ぶメディアとして衛星を作った。多摩美術大学と東京大学のコラボレーション。芸術面を多摩美術大学、衛星の製作を東京大学。
ARTSAT1は先日打ち上げられ大気圏に再突入した。
ARTSAT2は重さ35キロ。
-「深宇宙彫刻」(芸術作品を宇宙に展示)
-「宇宙生成詩」(センサーの値をもとに詩を生成し宇宙を感じやすい言葉に変換し地球へ送る)
-「共同受信」(地球から遠ざかっていくため電波は微弱と考えられる。アマチュア無線家に協力を仰ぎ受信データを断片的に集め復元を目指す)
深宇宙彫刻について。無事分離され画像でも確認したため達成。
残りの2つは受信待ち。

奥山:(衛星の簡単な紹介、状況、感想)鹿児島大学と共同で開発。50センチほどの球形、18キロ。今回の副ペイロードではもっとも小さい。ミッションは3つ。
-月より向こうの深宇宙を開発するにあたって重要なのは通信。大学や民間企業は大きなアンテナを持たないがアマチュア無線を使う技術を開発する
-強化プラスチックを採用。初めて宇宙で主構造として用いる
-NASAとテキサス大学が作った放射線センサーで宇宙放射線を計測
これらのために宇宙の飛行を開始した。

*第三部質疑応答

読売新聞ながの:分離確認で信号が返ってくるのを待っているとのことで共同研究者とのやりとりを

奥山:共同研究の相手は鹿児島大学。我々は構造と熱、コンピュータ、鹿児島大学は通信と電源装置を担当。2つの大学が1つの大学であるかのように仲良くやってきた。ほかの衛星もそうだが1年間という短い開発期間で苦しいこともあったがチームワークがよかった。
分離してからのやりとりは…本来鹿児島大学の先生方がいらっしゃるはずだがちょうど今日本からしんえん2の受信のため研究室にいる。このようにチームワークがよいため信頼関係があり吉報を待ちたい。

沢田:共同開発したところは渦巻の部分、15キロほどで3Dプリンタで製作。ソライズに依頼。それを支える下の金属パーツは難しい曲面、ゆうき精密株式会社。送信機は7W、にし無線。企業と大学というだけでない共同で一致団結して開発した。
いま日本の可視時間に入って電波を待っているところ。わくわくとはらはら。

フリーランス大塚:超小型衛星で深宇宙との通信はどこまで可能と考えているか

奥山:しんえん2は地球からのアップリンクについては月の3倍くらい、100万キロくらいまで可能、ダウンリンクは300万キロくらいまで可能と考えている。3日や7日くらい通信期間があるだろう。
しんえん2とDESPATCHは1年後に地球に近づくのでそのときまた通信したい。

沢田:我々はダウンリンクのみで地球からの送信はない。距離は100万キロ程度を目指す。太陽電池を積んでおらず深宇宙へ行くため割り切って太陽電池を積まずバッテリーで1週間のみのミッション期間となる。それが終われば宇宙をさまよう彫刻となる。

読売新聞でみず:奥山先生へ。九州工業大学と鹿児島大学、地方の大学で衛星を開発することの意義は

奥山:しんえん2は九州で作ってきた。我々の研究室は半分が留学生で国際色豊か。九州にこだわらず世界中の人々とともに作った。小さな探査機だが留学生たちは国に帰れば宇宙開発をするだろう。それぞれの国でがんばってもらいたい。
世界で仲良くやっていってほしい。

(東京会場へ)

日経サイエンスなかじま:渡戸さんへ。3つの副ペイロードの軌道。はやぶさ2を追いかける似たような軌道をとるのか

渡戸:はやぶさ2は推進系を持っていて軌道を変えていける。
3つの副ペイロードのうちプロキオンをのぞく2つのペイロードは推進系を持たないため放出されたらそのまま慣性で動くため軌道が変わっていく。

NVSかねこ:宇宙に行くものとして難しかったところは

奥山:変わったサッカーボールのような形をしている。回転しながら宇宙を飛んでいく。太陽からの熱入力を一定にして宇宙への表面積を一定にするには球が一番良いが真球では太陽電池を貼れない。0度から40度におさまるよう設計。熱可塑性の強化プラスチックを採用。前例がないため苦労したところはある。JAXAと知恵を絞りつつ解決した。

沢田:わたしはDESPATCHの構造を担当。ロケットに搭載するために振動や耐荷重の条件をクリアしなければならず解析が大変だった。形状がばねのようになっているため振動条件を満たすように中心の棒の材料や位置を調整するのがつらかったなど。
丸い穴はすべて3Dプリンタの構造物と金属をつなぐねじ穴。どこにどう開けるかの決定が大変だった。

日経サイエンスなかじま:奥山先生へ。しんえん1の教訓が生かされていたりするところは

奥山:しんえん1は金星探査機のあかつきとともに打ち上げられ今は行方不明。2つの教訓。深宇宙通信を成功させること、構造が複雑で部品の数が多く設計、製造、品質保証とも大変だった。そこで熱可塑性の強化プラスチックを採用した。ボルトの数を劇的に減らせた。将来的にはさらに減らせるだろう。
バッテリ量や通信機の改良なども。

(相模原会場へ)

フリーランス秋山:渡戸さんへ。深宇宙への相乗りはなかなかないと思うが世界からの反応はあるか
またプロキオンが成功するとGTO(静止軌道)から深宇宙への相乗り可能性が上がることへの期待は

渡戸:他国からの問い合わせは残念ながらいまのところない。
GTOについてもわたしの範囲では聞いていない。

(種子島へ)

南日本新聞ゆきまつ:しんえん2のアマチュア無線の受信状況について。分離後南米で通信が可能になる可能性があり5時間後には36000■で通信が可能になると聞いたが

奥山:分離の5分後くらいから電波を出し始める。オーストラリアなどの国々では受信可能になるが今のところ受信報告はない。
今しんえん2の電波を日本で受信しようとしている。
いま月軌道へ向かっている最中。

NVSさいとう:奥村さんと沢田さんに。しんえん2には3億年もつという石英ガラスが乗っているという。ARTSAT2はだんだん宇宙放射線などで崩れてくると思うが意見を

奥村:哲学的な質問で難しいが…いずれにしても鹿児島大学の先生が音頭をとって石英のプロジェクトをしてきた。1万年後の人類がしんえん2を見つけて感慨にふけるかもしれない。それは1万年後の人間にまかせたい。

沢田:MEMSメモリにマイクロ加工によって設計図やメンバーの写真を入れている。それは何千年も残るだろう。崩れるところははかないのがよいところだろう。

(東京会場へ)

NVSかねこ:渡戸さんへ。推進系を持つ副ペイロードの苦労は

渡戸:一般的には推進系があると安全性で厳しい網がかかるが問題がないようがんばっていただいた。苦労はプロキオンチームにぜひ。

(相模原会場へ)

赤旗新聞なかむら:プロキオンの分離確認ができるスケジュールについて

渡戸:画像では分離を確認できなかったがいま運用中で受信中。受信によって分離を確認できるだろう。その時点でアナウンスする。

(種子島会場へ)

フリーランス大塚:渡戸さんへ。今年から有償の相乗りを始めたが反応や感触は

渡戸:この4月に募集、H-IIAの相乗りと「きぼう」からの放出がある。
H-IIAは7機の応募があった。I/Fできちんと乗るのは4機。調整の結果1機について手続きを進めている。
「きぼう」は3件の応募。契約も結んでいる。有人宇宙システムが仲介してブラジルのキューブサットを3件契約している。すでにJAXAが引き取っている。米国での打ち上げに向けている。
キューブサット10×10×30cmのを2つ。ブラジルとメキシコの衛星。
年内打ち上げで作業を進めている。
早ければ年内に有償の打ち上げで放出があるだろう。

大塚:4月のリリースの段階で試行的とあったが本格的には

渡戸:今後どうするかは今回の募集をもとにこれから考える。

(以上)

No.1819 :H-IIA26号機打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2014年12月3日(水)14時54分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット26号機は平成26年12月3日(水)13時22分04秒(日本標準時)に打ち上げられました。

No.1818 :射点のロケット ●添付画像ファイル
投稿日 2014年12月3日(水)08時25分 投稿者 柴田孔明

打ち上げを待つH-IIAロケット26号機。2014/12/03 9:08撮影

No.1817 :機体移動 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年12月3日(水)01時47分 投稿者 柴田孔明

2014年12月3日0時よりH-IIAロケット26号機の機体移動が行われました。

No.1816 :延期の説明会 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年11月30日(日)14時42分 投稿者 柴田孔明

記者室で延期の説明が行われました。氷結層は解消しつつあるが、今度は風が強くなる予報が出ているとのこと。

No.1815 :打ち上げ再延期
投稿日 2014年11月30日(日)14時03分 投稿者 柴田孔明

JAXAより、「打上げ1日前天候判断の結果、打上げ時間帯にかけて射点周辺で制限風速を超える強風が予想されることから、打上げを平成26年12月3日(水)13時22分04秒(日本標準時)に延期いたします。」と発表されました。

No.1814 :新たな打ち上げ日
投稿日 2014年11月29日(土)17時08分 投稿者 柴田孔明

延期されていたH-IIAロケット26号機の打ち上げですが、平成26年12月1日13時22分43秒(日本標準時)の打ち上げ予定となりました。
※今後の天候状況等によっては、再延期の可能性があります。

No.1813 :午後2時よりH-IIロケット26号機Y−1プレスブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2014年11月28日(金)22時09分 投稿者 柴田孔明

 2014年11月28日14時よりH-IIロケット26号機Y−1プレスブリーフィングが開催されました。なお、当初は11月30日が打ち上げ予定日でしたが、打ち上げ時間帯にかけて氷結層を含む雲の発生が予想されるため、12月1日以降に延期されました。正式な打ち上げ日の決定は後日となります。

登壇者

宇宙航空研究開発機構 はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 國中 均
宇宙航空研究開発機構 鹿児島宇宙センター 射場技術開発室長 長田 弘幸
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 MILSET長 平嶋 秀俊

・打ち上げ延期について
 三菱重工業株式会社および宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターからの小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)/H−IIAロケット26号機(H−IIA・F26)の打上げを平成26年11月30日(日)に予定しておりましたが、打上げ時間帯にかけて射場近辺に規定以上の氷結層を含む雲(別紙参照)の発生が予想されることから、打上げを12月1日(月)以降に延期いたします。

・準備状況(H−IIAロケット26号機)
 ・H-IIAロケット26号機の射場作業を平成26年10月28日より開始。
 ・機能点検にて、機体の各機器が正常に動作することを11月17日までに確認。
 ・関係要員に対して打ち上げ当日の対応手順を周知徹底するため、打ち上げ時の作業を模擬した打ち上げ執行リハーサルを11月18日に実施。
 ・はやぶさ2とロケット機体の結合作業を11月22日に実施し、良好に完了。
 ・ロケット、はやぶさ2等、全系の準備が整っていることを11月25日までに最終確認し、発射整備作業を11月26日より開始。
 ・平成26年11月30日の打ち上げ時間帯のかけて、射場近辺に規定以上の氷結層を含む雲の発生が予想されことから、打ち上げの延期を決定。

・準備状況(はやぶさ2)
 ・9月22日〜 はやぶさ2の種子島宇宙センター搬入、射場作業開始。
 ・10月14日〜17日 イオンエンジン用キセノン充填。
 ・11月3日〜11日 探査機への推進薬充填、最終外観検査。
 ・11月13日 探査機と衛星分離部(PAF)を結合。
 ・11月17日 探査機とフェアリングを結合。
 ・11月21日 探査機/フェアリングとロケットを結合。

質疑応答

NHK鹿児島・はやぶさ2は注目を集め観光客も多い中で延期になったが、どのように受け止めているか。
國中・準備をして気持ちを高めてきたが、天候では仕方ない。しかし我々は6年のミッションなので1日から2日ではどうということでもない。

鹿児島テレビ・打ち上げ期間が短いが心配は無いか。
國中・約一週間あるが、初日がだめになった。日数は残っている。台風は来ない時期なので、いい天候が必ず来る。

読売新聞・12月1日以降への延期だが、12月1日に向けて準備中なのか。
平嶋・決定は出来るだけ早く伝えたい。12月1日に向けて準備をしている。

南日本放送・H-IIA/Bで2日前の延期はいつ以来か。
平嶋・H-IIA20号機以来。そのときも氷結層が原因だった。

同・注目されている「はやぶさ2」の延期について、どう考えているか。
平嶋・ひまわり8号から最短で打つつもりだったが、天候の影響で打てないのは残念。まだウインドウはあるので緊張感をもって準備を進めたい。

NVS金子・延期によって打ち上げ時間はどう変わるか。
平嶋・日によって決まっている。日々1〜2分程度ずつ早くなっていく。

共同通信・1999JU3の名前について、命名権のあるところとの交渉や命名の候補などはどうなっているか。
國中・MITが発見し命名権を持っている。ぜひ我々が名前をつけたいと申し入れをしている。しかし今は探査機の準備に集中しているので考えられていない。

NHK・12月1日の場合、機体移動の時間帯の天候が悪い。
平嶋・ご指摘の通り確かに天候が良くない。ただ現時点ではあきらめていない。12月1日以降で、氷結層など天候を見ながら決めていく。

NHK・短いウインドウの中で天候が悪いが、期間が無くなっていく。
國中・深宇宙機では短いのは仕方ない。良いロケットがあり一週間を確保できている。探査機の種子島搬入時は台風が来てなかなか作業ができなかった。しかし台風の季節は過ぎているので安定してきており、そういった意味では楽観視している。

不明・はやぶさ2の着陸時の映像はどういったものが予定されているか、着陸の瞬間は撮れるか。
國中・着陸点の画像だが、今回は寄付金で搭載できたカメラがありサンプラーホーンの先端を撮るので、有効に機能すれば着地点の取得できると考えている。1号は着陸時のトラブルで通信回線が確保できずデータの多くを失ったが、その知見を生かして安全に近傍活動を考えている。1号は近傍に3ヶ月しかいなかったのに対し、今回は1年半ある。その期間を利用して表面の精密な画像と科学データの取得を行った上で着陸点を決めることを想定している。また、Ka波が追加されているので1号より多く伝送ができる。

鳥嶋・2段目が高度化してあるが、「はやぶさ2」打ち上げに向けた改修点はあるか。
長田・H-IIAは信頼度が高いが、諸外国のロケットとは打ち上げ能力と価格に格差がある。高度化でこの能力を高めている。「はやぶさ2」を確実に軌道に投入するため、2つの高度化の機能を搭載した。
(※1.第2段液体水素タンク白色塗装、2.第2段エンジン冷却機能改良)

NVS・氷結層により早めに延期を決めた理由は何か。
平嶋・氷結層は3日前程度からわかる。状況の変化を見ていたが、当初打ち上げ予定日の11月30日でも変わらないので延期とした。

NVS・地球一周後にはやぶさ2を分離するが、どういった理由か。
國中・実はあまりよく知らない(笑)。ミューファイブでは固体モーターで加速度が速いので直接投入ができたが、H-IIAは大型の液体ロケットで比較的長く燃焼できるので、一周させて日本の上で分離の確認ができる。

朝日新聞・当初予定日は日曜日で家族連れや子供たちが多く集まる予定だったが、残念に思っている子供たちにプロジェクトマネージャから一言。
國中・11月30日を目指してきたが、天候ばかりはなんともできない。しかし6年間のミッションのうちのたった数日で、期待していた方には申し訳ないが、待っていただきたい。我々と一緒に「はやぶさ2」の門出を応援してほしい。

朝日新聞デジタル・打ち上げ日の判断はいつ頃になるか。
平嶋・「打ち上げ2日前通知」があるので、それまでに行う。

以上です。

No.1812 :超小型深宇宙探査機PROCYONミッション概要説明会および機体公開(その4) ●添付画像ファイル
投稿日 2014年11月5日(水)18時41分 投稿者 渡部韻

上下の白い突起がX帯低利得アンテナ、構体上面の低利得アンテナの奥に見える黒い部分がX帯高利得アンテナ。PROCYONには全部で6基のアンテナがあります。(X帯低利得アンテナがアップリンク用とダウンリンク用で各2基、X帯中利得アンテナが1基、X帯高利得アンテナが1基)

No.1811 :超小型深宇宙探査機PROCYONミッション概要説明会および機体公開(その3) ●添付画像ファイル
投稿日 2014年11月5日(水)18時40分 投稿者 渡部韻

2枚のSAP(太陽電池パドル)の隙間から見えているのが小惑星撮像用の望遠鏡で、その上(SAPで見えない部分)にはジオコロナ観測装置LAICA(Lyman Alpha Imaging CAmera)が設置されています。SAPは全部で4枚あり発生電力は2〜300W。構体の高さは55cmで重さは約65kg。

No.1809 :超小型深宇宙探査機PROCYONミッション概要説明会および機体公開(その2) ●添付画像ファイル
投稿日 2014年11月5日(水)18時36分 投稿者 渡部韻

ISAS 川勝康弘 准教授

No.1808 :超小型深宇宙探査機PROCYONミッション概要説明会および機体公開(その1) ●添付画像ファイル
投稿日 2014年11月5日(水)18時36分 投稿者 渡部韻

11月5日、東京大学で超小型深宇宙探査機「PROCYON(PRoximate Object Close flYby with Optical Navigation)」ミッション概要の説明会および機体公開が行われました。登壇者は東京大学の船瀬龍准教授(写真)、ISASの川勝康弘准教授です。

世界初の「50kg級の超小型探査機での深宇宙探査」実現を目指したPROCYONは、「はやぶさ2」の相乗り衛星として11月30日に種子島より打ち上げられ、1年間地球近傍で太陽を回った後地球スイングバイで地球近傍の小惑星へと向かい、小惑星のフライバイ観測を行う中で「GaN(窒化ガリウム)高効率X帯アンプ等の小型・軽量な深宇宙通信システム」「深宇宙で探査機の軌道を高精度で決定するVLBI航法」「小惑星の近接・高速フライバイ中の高分解能観測」といった深宇宙探査技術を実証予定です。

PROCYONは東京大学、北海道大学、東京理科大学、明星大学、立教大学、ISAS他が開発した搭載機器を東京大学がとりまとめる形で開発が進められ、特にISASはこれまでの深宇宙探査機開発の経験を元にコンポーネント開発だけでなく打ち上げ後の運用等も支援しています。開発期間は2013年9月の相乗り打ち上げ決定から約1年と非常に短期間でしたが、東京大学発のほどよしプロジェクトの成果および設備を最大限に利用することで機器開発期間を最大限に圧縮しました。

推進系にはほどよし衛星用に開発されたイオンスラスタ(軌道制御用、低加速度&高比推力)と機体各部に設けられたコールドガスジェット(軌道制御用、高加速度)、リアクションホイールアンローディング(姿勢制御用)を組み合わせた統合推進系を採用しています。コールドガスジェットはイオンスラスタ用のキセノンを(圧を下げる前に)分岐して使用しています。

PROCYONの目標天体は太陽からの距離(太陽電池の発生電力および温度に密接に関係)や安定した通信の確保を考慮して地球から1.5天文単位までの小惑星が対象です。現在10個ほど候補にあがっていますが、最終的に決定するのは、打ち上げから一ヶ月ほど経ってから運転を始めるイオンエンジンの性能評価後になります。またミッション期間は最短で1年半(1年後に地球スイングバイ+小惑星まで半年)、対象天体によっては2年半(もう1年太陽を回ってから地球スイングバイを実施+小惑星まで半年)が想定されています。

小惑星のフライバイ観測では、従来STARDUSTなど大型探査機によるフライバイ観測では天体への衝突の可能性やダストの影響等を考慮して高度200km程度(空間分解能15m程度)からの観測でしたが、PROCYONでは天体表面から数十キロの超近接・高速フライバイ撮影を目指しています。フライバイ撮影に用いる望遠鏡では光学系に小惑星を追尾する駆動ミラーを組み込むことで分解能の向上が図られています。

また理学ミッションでは、アポロ16号以来42年ぶりとなるジオコロナ(地球高高度に広がる水素大気の発光現象)の全球撮像を行うことで、ジオコロナの分布および地球スイングバイまでの1年間(場合によっては2年間)の変化を捉えることが期待されています。

なおPROCYONはこの後筑波で他の相乗り衛星2機と共にインテグレートされた後、種子島へと運ばれます。

No.1807 :はやぶさ2 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月28日(火)00時07分 投稿者 柴田孔明

打ち上げまであともう少し。

No.1806 :インパクタとターゲットマーカー ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月27日(月)23時59分 投稿者 柴田孔明

今回ははやぶさ2の下部に鏡が用意され、インパクタとターゲットマーカーを見ることができた。

No.1805 :イオンエンジン側から ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月27日(月)23時56分 投稿者 柴田孔明

イオンエンジン側

No.1804 :はやぶさ2 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月27日(月)23時55分 投稿者 柴田孔明

種子島宇宙センター第1衛星組立棟で報道公開された「はやぶさ2」。
燃料の充填が行われていないのと、保護カバーがついているだけで、ほぼフライト時の状態になっています。このあと燃料充填と最終的な検査の後、H-IIAに搭載されます。

No.1803 :小惑星探査機はやぶさ2の公開・種子島 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月27日(月)23時52分 投稿者 柴田孔明

 2014年10月27日13時より、種子島宇宙センターで小惑星探査機「はやぶさ2」の機体公開と概要説明が行われました。先日、相模原キャンパスで行われた報道公開(2014年8月31日)の時よりも機体の準備が進んでいます。
 この「はやぶさ2」はH-IIAロケット26号機に搭載され、2014年11月30日13時24分48秒(日本時間)に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
JAXA 月・惑星探査プログラムグループ はやぶさ2プロジェクトチーム 
 プロジェクトマネージャ 國中 均

・概要説明
・「はやぶさ2」射場準備状況
  9月20日:相模原キャンパス搬出
  9月22日:種子島宇宙センター第1衛星組立棟搬入
  ※搬入後から現在までの主な作業
   :燃料タンク気密試験
   :再突入カプセル、分離カメラ、サンプラーホーン取り付け
   :キセノン充填
   :電気性能試験
   :無線通信試験
   :衝突装置(インパクタ)爆薬取り付けなど
  10月27日:探査機報道公開 質量測定
  ※今後の予定
   :燃料、酸化剤充填
   :最終外観検査
   :ロケットへの搭載・結合

・「はやぶさ2」の目的
 1.科学的意義 「我々はどこから来たか」−太陽系の起源と進化、生命の原材料の探求。
 2.技術的意義 「技術で世界をリードする」−日本独自の深宇宙探査技術の継承と発展。
 3.探査としての意義 「フロンティアへの挑戦」−科学技術イノベーション、産業、社会への波及、国際プレゼンス発揮、青少年育成等の効果…

・ミッション概要(航海の流れ)
 ・2014年冬 打ち上げ
 ・2015年11、12月 地球スイング・バイ
 ・2018年6、7月 小惑星到着
  ・小惑星のリモート・センシング
  ・小型ローバ・ランダの投下
  ・タッチダウン・サンプル取得(複数回)
  ・衝突装置放出→人工クレータの生成→人工クレータ付近からのサンプル取得の試み
 ・2019年11、12月 小惑星出発
 ・2020年11、12月 地球帰還(カプセルのみ再突入)

・はやぶさ2の技術(概要)
 ・数々の技術チャレンジが全て成立しないと成就しない「超・挑戦的計画」であった初号機ミッション。
 ・多くの困難に遭遇、それを知恵・努力で乗り越えた。
   ・3個中2個のリアクション・ホイールの故障。
   ・タッチダウン時の弾丸不発射
   ・ガスジェットの燃料漏れ、通信途絶
   ・イオンエンジンの全基機能停止
 ・「はやぶさ2」は、初号機の技術・経験を確実化し継承、さらに発展。本格的な宇宙探査・科学を実現できるシステムを構築することを目指す。
 ・「はやぶさ2」は、地上管制システムと一体となった、自律機能を備えた遠隔操作ロボット探査システムである。日本が誇る民生用技術を挑戦極限の世界へ挑戦することによりレベル・信頼性を高めて、民生品技術への波及効果も期待される。
 ・以下、主要技術の一例を世界の中での技術レベルや波及効果に触れながら記す。
  1.イオンエンジン
  2.自動・自律化技術
  3.初号機からの発展・改良

 ・イオンエンジン
  1.特徴・技術のレベル
   ・初号機の世界初の「マイクロ波放電方式」を継承。既実用化されている「直流放電方式」と異なり、プラズマ生成部に熱電子放出用陰極が不要で、寿命・信頼性に優れる。
   ・初号機で、地球/イトカワ間の往復航行を達成、4万時間(4台の合計)の運転実績を示した。
  2.2号機での改良点
   ・中和器:磁場の最適化により長寿命化をはかった。
   ・イオン源:イオン加速部の形状・推進剤供給方法の改良による推力の25%向上。
    (8mN→10mN)
  3.応用可能性
   ・化学推進の10倍の燃費効率。惑星間航行以外にも、静止衛星の軌道制御、低高度地球観測衛星の大気抵抗キャンセル用推進等への応用がある。
   ・企業と連携した北米での商用展開、並びにドバイ衛星への中和器搭載の協力を実施中。

 ・自動・自律技術
  1.特徴・技術のレベル
   ・往復40分の時間遅れ、アナログ電話級レート(8kbps)という通信環境の下、表面状態等が良く分からない小惑星に安全に着地し試料採取を行うために高度な「自動・自律機能」が不可欠。
   ・惑星探査の技術難易度4段階(フライバイ、オービタ、ランダ、サンプル・リターン)の最難関である無人の小惑星着陸・サンプルリターン技術は「はやぶさ」が世界初。
  2.2号機での特徴・改良点
   ・初号機の探査機自律と地上機能(計算機、運用者)の共同作業技術を発展・踏襲。
   ・具体的には、人間の総合判断・介入を制御ループの中に適宜入れる「遠隔操作」(GCP−NAV等)を広汎に取り入れている。また、小惑星の観察結果等を反映し、自律機能を効率的に変更・修正できるしくみ(GSP)を採用。
   ・初号機では着陸には成功したが、制御ソフトウェア設定のエラーにより弾丸発射に失敗した。2号機では、ソフトウェア検証を充実させ、確実度の高いシステム実現を目指す。
   ・さらに2号機では、小惑星観測データの科学的分析に基づき、科学的に価値が高い着地点を決定、人工クレータ周辺を含む狙った点への着地・サンプル採取を行う「ピンポイント・タッチダウン」も試みる。(「降りれるところに降りる」から「降りたいところに降りる」)
  3.応用可能性・期待される効果
   ・はやぶさ1、2の降下・着陸技術は、NASAが情報開示を要望する「日本の得意技術」。ミッションの成否や成果を大きく左右する先端技術を更に強化し、国際宇宙探査の我が国の取り組みにも繋げたい。

 ・初号機からの発展・改良
  1.衝突装置(Small Carry-on Impactor)
   ・宇宙風化を受けない内部物質の露出・採取の試み。
   ・インパクタ自身には誘導装置を省いて簡素化・軽量化。
   ・爆発成形侵徹体(Explosively Formed Projectile)技術の応用。
  2.Ka帯通信
   ・X帯(8Ghz)送受信に加え、Ka帯(32Ghz)送信(探査機→地球)機能を追加。
   (※8kbpsから32kbpsに向上)
   ・小惑星リモートセンシングデータの伝送量向上、伝送時間短縮による探査・科学の充実並びに、軌道決定精度の向上が図れる。
   ・国際的な深宇宙用周波数割り当ての変遷に対応した技術開発。
  3.信頼性の向上
   ・機器の冗長化(リアクション・ホイール:3台→4台。恒星センサ:1台→2台)
   ・化学推進系の燃料・酸化剤調圧系機能を分離。(「あかつき」不具合反映)

・はやぶさ2の科学
 ・太陽系の過去について
  ・太陽系の誕生と進化を解明する。
    ・どのような物質がどのような状態で存在していたのか?
    ・惑星はどのようにして誕生し進化したのか?
    ・生命の原材料(有機物・水)は何か?
 ・太陽系の現在について
  ・隕石のキャリブレーション(較正)をする。
    ・隕石と小惑星サンプルはどのような関係になっているか?
     ※膨大な数の隕石が収集されているが、これらは地球の大気や水等で汚染されているため、宇宙にあったときの状況を推定することが困難である。小惑星サンプルと比較することにより、隕石を貴重な試料に変えることができる。

 ・太陽系の誕生と進化を解明する
  1.惑星を作った物質を調べる。
   ・原始太陽系円盤にはどのような物質があり、惑星が誕生するまでにどのように変化したのか?
  2.惑星への成長過程を調べる。
   ・微惑星から惑星へ、天体はどのようにして成長していったのか?

・国際協力
 ・米国航空宇宙局(NASA)
   ・追跡・管制支援
   ・小惑星地上観測支援
   ・OSIRIS-REx(NASA小惑星探査計画)のサンプル提供等。
  ※JAXAはミッション運用への参加機会とサンプルを提供。
 ・豪州産業省(DOI)
   ・豪州への着陸許可の発行
 ・豪州国防省(DOD)
   ・着陸場所の有償利用
  ※JAXAは利用代金を支弁。
 ・ドイツ航空宇宙センター(DLR)
   ・追跡・管制支援
   ・微小重力実験支援
  ・フランス宇宙研究センター(CNES)
   ・MASCOT搭載科学機器の開発
  ※JAXAはDLRの小型ランダ(MASCOT)を搭載、小惑星に投下。

・質疑応答
毎日新聞・はやぶさ2の総開発費。初号機も。
國中・本年度まで289億円。ただしロケットのみの費用は開示できない。はやぶさ1は200億円で、これもロケット込み。

鹿児島テレビ・あらためて意気込みをお聞きしたい。
國中・なかなか難しい探査機だった。はやぶさ1から10年後であったこと、工期が短かったこと、2年半で仕上げることは大変な事業であった。協力いただいている企業様の努力と、トラブルを解決してきたJAXAのプロジェクトチームも関係企業と協力して頑張ってきたと私も自負している。いい探査機に仕上げることができたと自慢したい。

NHK・相模原での公開との違いはあるか。
國中・見た目はほぼ同じです。しかし燃料は入っていないが全て装着されている。インパクタも見える。完成直前で燃料を入れるだけの状態です。

南日本放送・はやぶさ1が注目され、はやぶさ2も注目されているが、そういった全国のファンの期待がある中での気持ちを伺いたい。
國中・計画通り粛々と作業を進めることが成功への近道。ロケット打ち上げは我々にとってスタートであり、帰還するまで2020年の7年間ものミッションである。本当の意味で完了するまで長く続く。ひとつひとつ精密に正確に成功させていく。

読売新聞・大きいプロジェクトのリーダーをやったことで大変だったこと、参考にしたことなど。
國中・2年半で探査機を完成させた。スケジュールはタイトだった。技術的トラブルがあったが、知見を備えた先生方がいて解決できた。日本が技術・産業力を持っている。とはいえ米欧の部品を使うこともあり、頼ることもある。トラブル時の交渉などが大変だが、日本から指摘して互いに間違いを認め合えるのは交渉のカードになる。従属的にならないこと。瑕疵を指摘できることで信頼を得ることができた。日本の50年の宇宙開発で蓄積があり、この探査機を完成できた。

日経BP・ミネルバの開発が遅れていたと聞いていたが間に合ったのか。苦労したところ。
國中・はやぶさ2にとってピギーパックのオプション機器。平成24年に開発を決めた際、日本国内の学会で公募。大学研究者グループがミネルバ2の2を開発。JAXAもロボット技術グループがミネルバ2の1(A、B)を開発。互いに協力して成立させた。
当初、はやぶさ2の搭載能力が決まっていなかったので、余力があればという条件でやってきた。搭載容量がわかってミネルバを搭載することになった。1キロ程度のロボットを成立させるため小さい部品でシステムを開発したため時間を要した。相模原で結合させるはずが、種子島で行ったほど。開発に成功して3基が搭載されている。

情報通信・はやぶさ1からの改良点で特に苦労したところ、プロマネでの立場で苦労したところをお聞きしたい。
國中・はやぶさ1、2の特徴だが分離ものが多い。今回はロボット4基、インパクタ、カプセル、DCAMなどたくさんある。分離ものはメカニカルで構成され、独自の電池があり、独自に機能する。それら全ての時期を合わせて完成させるのは難しかった。
これだけ難しい装置、いろんな技術を結集させて完成させることになる。大変多くのエンジニアの努力無くしては完成しない。プロマネとしては、個々の担当者が能力を発揮する環境を作っていくこと。しかし費用、納期、性能の条件を満たすための、要所要所でのプロジェクト判断は的確に行ってきたと思う。

朝日新聞・はやぶさ1のウーメラ帰還から4年での再スタートだが、今の気持ちは。今回のロケットはMVではなくH−IIAだが、これについてどう思われるか。
國中・宇宙ミッションは探査機作りではなく宇宙ミッションをすることに意義がある。ようやく全てを揃えることができた。よくやれたかなと思う。ただ、これはスタートラインに立ったところ。サンプルを科学者に送り届けることを履行したい。はやぶさ1はMVだった。今回はH−IIAだが、私の宇宙の活動は種子島のSFUの打ち上げから始まった。種子島で宇宙技術を勉強していった。そういった意味では原点に戻ったかなと思っている。

共同通信・はやぶさは非常に長いプロジェクトだが、モチベーションの維持はどうされてきたか、これからどう維持していくか。
國中・いろいろあるが、たとえばイオンエンジン技術は30年来の研究を行っていて、宇宙探査に使うため研究してきた。はやぶさ1の次の機会もあったことで私自身も嬉しい。しかし今回は若い人たちが関わって完成させることができた。私は一歩引いて、スーパーバイザとして経緯を見てきた。他にもいろいろあるが、はやぶさ1で努力した人が教育し託すことになった。正しい手順で、若い人がモチベーションを持ってやってきた。大変いい教育のロジックが働いた。
私としては、はやぶさ1はそれなりに往復探査ができたが、宇宙技術としては故障が多く幼稚だったと思っている。宇宙技術者として洗練され完璧なものを作らなくてはならない。2度目の探査で、より完成度の高いものを目指す。これがミッションを成功させようというモチベーションになる。

以上です。

No.1802 :ミッションマーク ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月20日(月)21時44分 投稿者 柴田孔明

段間部のミッションマークは「はやぶさ2」と「MASCOT」が見えた。
(※今回の撮影は柴田孔明)

No.1801 :H-IIAロケット機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月20日(月)21時41分 投稿者 柴田孔明

1段目の先頭と、2段目のエンジン側。

No.1800 :白い2段目 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月20日(月)21時40分 投稿者 柴田孔明

白い塗装の2段目。フライト中の水素蒸発量を低減する目的である。
(※広角レンズで撮影)

No.1799 :H-IIAロケット26号機1段目 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月20日(月)21時38分 投稿者 柴田孔明

公開されたH-IIAロケット26号機1段目。

No.1798 :H-IIAロケット26号機コア機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月20日(月)21時36分 投稿者 柴田孔明

 2014年10月20日午後より、三菱重工業株式会社飛島工場にてH-IIAロケット26号機の コア機体公開が行われました。H−IIAロケット26号機は小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載し、2014年11月30日13時24分48秒(JST)に種子島宇宙センターから打ち上げ予定です。
 (※コア機体とはH-IIAロケットの第1段機体と第2段機体を合わせた名称。そのためSRB−Aと衛星フェアリング、ペイロードは含みません)

(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
三菱重工業株式会社 宇宙事業部 技監・技師長 H-IIA/H-IIB打上執行責任者 二村幸基
三菱重工業株式会社 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 秋山勝彦

・計画概要
 ・目的
 1.小惑星探査機「はやぶさ2」を地球脱出軌道に投入する。
 2.打上能力の余裕を活用して、小型副ペイロード3基に対し、軌道投入の機会を提供する。
  ※小型副ペイロード
   九州工業大学「しんえん2」
   多摩美術大学「ARTSAT2−DESPATCH」
   東京大学(JAXAとの共同研究)「PROCYON」
  (※地球周回軌道ではないため、「はやぶさ2」を含めてペイロードと呼ぶ)

 ・コンフィギュレーション
  ・H-IIA202型(コア機体+固体ロケットブースタ(SRB-A)2本)
  ・直径4mシングル衛星フェアリング(4S型)
 ・打ち上げ時期
  ・打ち上げ予定日:2014年11月30日(日曜)
  ・打ち上げ時刻:13時24分48秒(JST)
 ・打ち上げ予備期間
  ・2014年12月1日〜2014年12月9日(10日間)
   (※打ち上げ予備期間の打上げ時刻は、打ち上げ日毎に設定する)
   (※予備期間では、毎日2分程度打ち上げ時刻が早まる)
 ・「はやぶさ2」は質量約600キログラムとH-IIAで通常打ち上げる衛星より軽いが、地球脱出軌道への投入のため、さほど余裕がある訳ではない。

 ・特記事項
  ・はやぶさ2ミッションの特徴に対応したロケット仕様を設定。
   ミッション時間が過去最長(約7000秒)であり、第2段機体仕様を長秒時フライトに対応させた。
    ・推進薬蒸発量低減対策:フライト中の水素蒸発量を、タンク断熱材表面に施工した白色塗装により低減させる。(※注:通常の断熱材は黄色かオレンジ色をしている。色の変化は時間の経過による)
    ・熱対策:温度変動を抑制するため、以下対策を実施する。
     ・慣性飛行中の機体ロール制御。(※バーベキューロール)
     →タンク側面への太陽光入熱を均等にするため。
     ・輻射断熱材(MLI)等の施工
  (MLI:Multilayer Insulator:多層断熱材)
 ・飛行計画:主要シーケンスより
  リフトオフして2段目の2回目エンジン始動は、地球を一周し日本上空付近の1時間39分23秒後。2段目2回目の燃焼終了が1時間43分24秒後、「はやぶさ2」分離が1時間47分15秒後。その後、「しんえん2」、「ARTSAT2−DESPATCH」、「PROCYON」の順に分離。最後の分離は打ち上げから2時間2分15秒後となる予定。
 ・搭載機器の削減によるコストダウン活動も継続実施。

 ・今後の予定
  ・コア機体は飛島工場での作業を終了し、出荷準備作業中。10月22日に射場へ向けて出荷予定。
  ・固体ロケットブースタ(SRB−A)は射場へ搬入済み。
  ・衛星フェアリングは9月29日に射場へ搬入済み。
  ・10月28日より種子島宇宙センターでコア機体起立以降の射場作業開始予定。

・質疑応答
日刊工業新聞:今回のコストダウンの内容はどんなものか。また、製造コストはいくらか。
二村:機体安定のフィードバックのため横加速度計(横に振られるような力を計測)を積んでいたが、2段目にも慣性航法センサ(IMU)を積んでいて、これで姿勢を全て検出できる。これのデータ蓄積で解明が進み確実になり、個別の横加速度計など個別のセンサを外せることになった。コストについては申し訳ありませんがお答えできません。

朝日新聞:今回のミッション時間は約7000秒だが、これまでの最長3000秒の詳細をお聞きしたい。
二村:過去の最長はH-IIAロケット21号機の3000秒で、小型副衛星「鳳龍弐号」の分離も含めての時間です。

読売新聞:(2段目の)白色塗装は21号機でもあったが、それについて。
二村:H-IIAロケット21号機の3000秒程度では本来なら白色塗装までは必要とせず、確認とデータ取得のために行った。ペイロード投入のために、必然で塗ったのは今号機が初めてである。
 今後もミッション時間が長い打ち上げの場合は塗装することがある。
(※参考:H-IIAロケット21号機は第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)と、韓国多目的実用衛星3号機(KOMPSAT-3)を打ち上げた。また、H-IIB初号機は段間部を白く塗装していたが、2段目は通常の断熱材の色をしていた。また今回とは意味が異なるが、初代「はやぶさ」を搭載したミューファイブロケット5号機でも、前号機と違って上段が白くなったと話題になった)

読売新聞:今後の打ち上げ受注活動について。円安が受注にプラスになるか。
二村:ここ最近はオンタイムの打ち上げが続いていて、それが高く評価を受けている。これらを積極的にアピールしていきたい。円安は、逆に材料の輸入価格の上昇になり、一言ではお答えしにくい。

不明:「はやぶさ2」以外の相乗りペイロードも地球脱出軌道になるのか。また、打ち上げまで準備期間が短いが余裕はあるのか。
二村:小型副ペイロードも「はやぶさ2」の軌道の延長だが、放出方向を少し変えてぶつからないようにする。基本的には同じ。
 打ち上げまで期間は非常に短い。前回の打ち上げから54日目でタイトだ。組立棟(VAB)からロケットを射座まで運ぶ移動発射台は2台あるが、一方はH-IIB用になっているため使えない。1台の移動発射台を使い回すパターンでは、今回が最短になる。機体を組み上げた後の試験やそのあとの準備作業は日程を詰めていない。設備のメンテナンスやセットアップを短縮し、機体を組み上げながら、機体の組み上げに関係ない設備側の準備作業は平行して行うなどの工夫して、この54日間を達成する計画である。
 (※注:移動発射台が2台ともH-IIA用だった頃、H-IIAロケット8号機と9号機の打ち上げ時期が近くて、殆ど同時に準備が進められた事がある。8号機が2006年1月24日打ち上げ、9号機が2006年2月18日打ち上げだった。ただし当初予定日からは多少変更されている)

SAC松浦:ダイレクト投入ではなく、パーキング軌道に投入する理由。バーベキューロール時の姿勢はどういったものか。2回目着火まで姿勢制御は行うか。
二村:ロケットよりも「はやぶさ2」側のオペレーションの要求。日本上空に戻ってから2回目を噴射し、停止後に分離だが、これはダウンレンジ局の都合と、コマンドを打つ場合に地球の裏側や一方向で飛ばすと厳しくなるため。このシーケンスなら初期動作までしっかり見られる。
バーベキューロールは太陽の光に対して直角。12分で一回転するものであり、姿勢としては難しい形になる訳ではない。2回目着火までの姿勢制御は行わない。

NVS:白色塗装の他に、ソフトウェア的な対応はあるか。
二村:基本的に他の号機と同じソフトウェア。もちろん時間のパラメータは変わる。

日経BP:横加速度計の省略によるコストダウン効果はどれくらいか。
二村:詳しくは言えないが数百万の単位よりは上である。

以上です。

No.1797 :衛星分離時の竹崎展望台 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月9日(木)07時07分 投稿者 柴田孔明

衛星分離のアナウンスの直後、竹崎展望台にて職員の皆さんが拍手。

No.1796 :空に残る噴射煙 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年10月9日(木)00時06分 投稿者 柴田孔明

竹崎展望台から。
打ち上げは成功し「ひまわり8号」は予定された軌道に投入されました。

竹崎とリモートの撮影は柴田孔明。

(※再掲)

No.1795 :空に残る噴射煙
投稿日 2014年10月9日(木)00時04分 投稿者 柴田孔明

竹崎展望台から。
打ち上げは成功し「ひまわり8号」は予定された軌道に投入されました。

竹崎とリモートの撮影は柴田孔明。