宇宙作家クラブ
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No.1653 :D−SEND#2全体 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月31日(金)07時17分 投稿者 柴田孔明

前方から撮影。これは1号機(1001)で、同一仕様の2号機も存在します。


No.1652 :D−SEND#2機体後部 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月31日(金)07時15分 投稿者 柴田孔明

機体後部の様子。ソニックブームの低減技術が盛り込まれている。


No.1651 :D−SEND#2機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月31日(金)07時11分 投稿者 柴田孔明

2013年5月に、低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第2フェーズ試験(D−SEND#2)の記者説明会(5月13日)と機体公開(5月30日)が行われた。
(※敬称を一部省略させていただきます)

・記者説明会(5/13)の登壇者
JAXA航空本部 D−SENDプロジェクトチーム
 プロジェクトマネージャ 吉田 憲司
JAXA航空本部 D−SENDプロジェクトチーム
 サブマネージャ 本田 雅久
・機体公開時(5/30)の登壇者
JAXA航空本部 D−SENDプロジェクトチーム
 プロジェクトマネージャ 吉田 憲司
富士重工業株式会社
 航空機設計部 担当部長 加茂 圭介

・低ソニックブーム設計概念実証(D−SEND)プロジェクトの概要説明
 (※JAXA資料より抜粋)
 第1フェーズ(D−SEND#1)・低ブーム及びN型波形用軸対称物体落下試験(平成23年に実施済)
  ・低ソニックブーム設計概念を適用した供試体によるソニックブーム低減の技術実証
  ・空中ソニックブーム計測技術の確立
 第2フェーズ(D−SEND#2)・低ブーム設計機体の落下試験(2013年夏に予定)
  ・JAXA固有の低ソニックブーム設計技術を用いて機体の先端と後端にソニックブーム低減化を図った航空機形状の「超音速試験機(S3CM: S-cube ConceptModel)」を使用。今年7〜8月、スウェーデンエスレンジ実験場において、気球で高度30kmに浮上させ、切り離し。落下速度により超音速に達した機体を、マッハ約1.3、経路角50度で滑空させ、直下に発生するソニックブーム波形を計測する。
 ・D−SEND#2:重量約1トン、全長7.7m、自律飛行、着陸装置無し、制作数2機


・質疑応答
八重洲出版:経路角50度とは何に対しての角度か。
本田:水平に対して50度である。スピードによって衝撃波の角度が変わるが、マッハ1.3の場合は50度にすると地面に届く際に衝撃波が水平になる。

NHK:技術目標で巡航揚抗比がコンコルドに対して14%向上するというが、それはどのくらいか。
吉田:揚力と空気抵抗の比がコンコルドは約7、現在の旅客機は約14で、この数値が大きいほど経済性が良くなるが超音速機では難しい。我々の案では8以上にすることで14%改善。

NHK:(技術目標の)ソニックブーム0.5psf以下は実用化のレベルか
吉田:研究計画ではコンコルドの半減が目標。30センチのところに500グラムのものが乗った状態が1psf。コンコルドの2psfだと音がうるさい。しかし現在では半減した1psfでも満足されない。もっと厳しく0.5psfぐらいに規制する方向にICAOで議論されている。2016年頃を目処に決めようという話が出ているため、それを先取りしている。小型・軽量化とソニックブームの低減技術の合わせ技で達成できると見込んでいる。

NHK:このプロジェクトは2005年くらいから研究開発をやっているが予算はどのくらいか。
吉田:2009年頃からトータル40億相当の予算で行っている。

読売新聞:ソニックブームの波形の急激さを無くす技術はどういったものか。
吉田:ソニックブーム低減は元はNASAが開発した理論。しかしそれは先端のみで水平尾翼などの影響は含まれていない。そのため我々は胴体や主翼、水平尾翼の構造を設計して、波形のピークを分散させている。
また空港騒音を下げるにはエンジンの推力を下げる必要がある。しかしこういった機体は揚力が低くなるので軽量化が必要となる。

読売新聞:機体に使われている複合材は何か。
吉田:これはベーシックな複合材である。マッハ数が上がると表面温度が上がってアルミ等では熱で駄目になる。チタンは高価で加工が難しい。マッハ1.6ぐらいならベーシックな耐熱複合材で大丈夫ではないかと予想されている。

レスポンス:後端ブーム低減設計特有の機体がうねった様子は見て判るか。
吉田:はっきりと判る。
本田:機体後端が広がっているのも特徴です。

NVS:試験機を2機製作したが、実験後に回収するのか。
本田:実験は1機1回の計2回で、2機とも回収はせず、地表にクラッシュさせる。機体内に搭載された機器が多いのと、準備期間の関係である。

NVS:超音速飛行の位置からソニックブームの影響が無い範囲はどのくらいか。
吉田:距離の4分の3乗で減衰する。指標はまだ決まっていない。

NVS:コンコルドは騒音などの関係で洋上でしか超音速飛行ができなかったが、これが実用機として開発が実現すれば陸上でも可能になる技術なのか。
吉田:指標を満たせば飛行が可能になる。目的地までの時間短縮を目指すと、どうしても陸上での音速飛行が必要になる。
(※6時間以内ならエコノミー症候群が起こりにくい。機体が小さいと搭載燃料などの制限で飛行距離が短くなる。今回想定している最大50人乗りの超音速機ではシンガポール付近までとなる。現在のところ実用機の開発は予定されていない)


No.1650 :上段方向から見た1段目 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月23日(木)20時00分 投稿者 柴田孔明

上段方向から見たH-IIBロケット4号機の1段目。


No.1649 :2段目 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月23日(木)19時57分 投稿者 柴田孔明

H-IIBの2段目、エンジン部分。これはH-IIAと同じ。
(※ノズルの赤い部分はカバーです)


No.1648 :公開された機体 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月23日(木)19時55分 投稿者 柴田孔明

公開されたH-IIBロケットの機体。第1段エンジン部分。


No.1647 :H-IIBロケット4号機の機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月23日(木)19時53分 投稿者 柴田孔明

 2013年5月23日午後、三菱重工株式会社飛島工場にて、H-IIBロケット4号機のコア機体公開と概要説明が行われました。
(※敬称を一部省略させていただきます)

・登壇者
三菱重工業株式会社 宇宙事業部 打ち上げ執行責任者 二村 幸基
H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 秋山 勝彦

・計画概要
 ・H-IIBロケットにより宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機(HTV−4)を所定の軌道に投入する。ミッション終了後、ロケット第2段について、南太平洋上へ制御落下を行う。
 (※4号機以降の制御落下は実運用の範囲内で実施する。2号機と3号機は制御落下実験であり、いずれも成功している)
 ・打ち上げ予定日 : 平成25年8月4日(日)
 ・打ち上げ予定時刻 : 午前4時48分頃(ISS軌道によって変更あり)
 (※設定時刻に対する許容時間帯幅(ロンチウィンドウ)は無し)
 ・打ち上げ予備期間 : 平成25年8月5日〜9月30日 
 (※打上げ予備期間の打上げ予定時間帯は打上げ日毎に設定する)
 ・打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター 大型ロケット発射場 第2射座
 ・機体については、3号機から大きな変更は無い。

・特記事項
 ・H-IIBロケット初の「MHIの打ち上げ輸送サービス」で打ち上げる。
 これはH-IIAロケット打ち上げと同じサービスとなる。
 (※H-IIBロケット3号機まではJAXA打上げ執行)

・機体の製造状況及び今後の予定
 ・コア機体は第2工場での機能試験を終了し、出荷準備作業中。
 5月31日に飛島工場より出荷し、6月3日に射場に搬入予定。
 ・4基の固体ロケットブースタ(SRB−A)は、工場での作業を完了のうえ射場へ搬入済み。
 コア機体起立後に結合予定。
 ・衛星フェアリングは射場へ搬入済み。
 ・8月4日の打ち上げに向けて6月3日より、種子島宇宙センターにおいてコア機体起立以降の射場作業を開始する予定。

・質疑応答
朝日新聞:4号機のコスト削減はあるか。民間移管が行われたがセールスは始まっているのか。
二村:1段目にある電子機器一つの搭載をやめたが、大幅なコストダウンでは無い。運用面ではH-IIBは技術移管を受けた直後なので、実直にやるのが主であり、今回は特にコストダウンは無い。
 H-IIBのセールスについて、ラインナップに加えた営業はあるが、今のところ発表できる成果は無い。

読売新聞:ロケットのラインナップが揃ったことによって、商談での反応はあるか。
二村:細かい話はできないが、打ち上げの実績がものを言う世界だ。H-IIBは低軌道の実績はあるが、静止軌道への実績が無いため、必ずしもいい感触が得られる訳ではない。

日刊工業新聞:トータルのコストは変化は無いのか。また国産化比率はどのくらいか。
二村:3号機に対して4号機は、削減した電子機器のぶん下がっている。地道に下げている。
国産化率は数えたことが無いため回答ができない。

日刊工業新聞:サプライヤーの数はどのくらいか。
二村:サプライヤーの更にまた下もあるため、直接から第2くらいまでで、把握しているだけで約300社。

NHK:コストのトータルではどのくらいか。民間委託になったことで、変えたことは何かあるか。
二村:コストは契約上の守秘義務があり答えられない。民間委託によって執行に係る責任が三菱重工業株式会社になる。しかしH-IIAの13号機以降で既に実績があり、これがH-IIBになるだけである。

朝日新聞:引き合いについて、感触はどんなものか。
二村:明確には回答はしにくい。無いということは無い、という程度。これはH-IIAの方が多い。静止軌道の実績が無いと苦戦する。ただし、デュアルローンチが可能になったことがセールスポイントになる。静止遷移軌道へ公称で8トンを投入できる。最近の衛星は小型と大型の両極端があるので、大型の方で提案の幅はある。

朝日新聞:東海地域の技術力に関して、どう評価するか。
二村:的外れな回答になるかもしれないが、H-IIAとH-IIBは共通のものが殆どである。精密加工やネジなどで地場の企業さんを使わせていただいている。

南日本新聞:電子機器の削減の影響はどのようなものか。また、4号機への意気込み。
二村:削減した機器はテレメータで、機体のデータをデジタル化して地上に高速で送るもの。技術用の細かいデータの一部が取得ができなくなる。これは既に実績があるため。ただしフライト中に必要なデータは別にとれるので問題ない。
 意気込みとしては、今回初めてH-IIBのサービスを行う。基本的にH-IIAのサービスと同じで、物作りをしっかりやって信頼を作り込んで打ち上げを確実に成功させていく。
 また、HTVもメーカーとして担当している。社をあげて製品が構成されているので、ミッションに絶対に影響を与えないようにきっちりやっていく。

不明・今後の商業打ち上げ受注では、アリアンやアメリカのベンチャー企業がライバルになるが、コスト削減を進めていくのか。また、打ち上げ能力の拡大でターゲットになる衛星は何か。
二村:コストダウンだが、技術移管を受けてやっているので、あまり身勝手なことはできない。作り込んだ技術でないと、実証されていないため、いきなりはできない。しかし打ち上げサービスの業者としては、無駄や二重の作業を減らしたり、まとめて手配したりすることなどで下げていく。
 通信衛星などがターゲットに入っている。衛星の長寿命化のため燃料が増えて重くなっているため、これらが視野に入ってくる。

不明:H-IIBは静止軌道への実績が無いことで商業受注が厳しいとのことだが、この問題をクリアするための展望はあるか。
二村:商業衛星では、実績無しでの搭載は避けたがる。これまでH-IIAの実績はJAXAが準備した衛星を成功させることで積み上げてきた。このため同様の対応があり得る。

読売新聞:今夏は新型のイプシロンロケットが予定され、日本製のロケットが増えるが、ビジネス面でバリエーションが増えることについて。
二村:衛星は小型・中型・大型に分類され、イプシロンは小型がターゲット。棲み分けはできる。今後のイプシロンの展開については、こちらではコメントできないが、例えば小型すぎてH-IIAでは高すぎて搭載できない場合、イプシロンという日本のロケットで上げるのは意義が出てくる。

以上です。


No.1646 :イプシロンロケットの打ち上げについての記者説明会 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年5月23日(木)09時35分 投稿者 柴田孔明

 2013年5月21日16時よりJAXA東京事務所で、イプシロンロケット試験機による惑星分光観測衛星(SPRINT−A)の打ち上げについての記者説明会が行われました。
(※敬称を一部省略させていただきます)

・登壇者
イプシロンロケットプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 森田 泰弘

・惑星分光観測衛星(SPRINT−A)/イプシロンロケット試験機打ち上げについて
打上げ予定日   : 平成25年8月22日(木)
打上げ予定時間帯 : 13時30分〜14時30分 (※打上げ日毎に設定)
打上げ予備期間  : 平成25年8月23日(金)〜平成25年9月30日(月)
打上げ場所    : 内之浦宇宙空間観測所


・質疑応答
南日本新聞:定常運用になれば据え付けから一週間で打ち上げ可能というのが目標というが、今回の初号機ではどのくらいか。
森田:初号機は開発の一環であるため日数が長く、1段目を据え付けてから39日を予定している。運用段階に入れば一週間で打ち上げが可能になる。

日本テレビ:高頻度の打ち上げというが、どのくらいのペースで打ち上げる予定か。
森田:イプシロンロケットは2段階の開発がある。初号機と並行して、より低コストのタイプも研究しており、30億円を切るようなものを数年後に打ち上げる。この高性能・低コスト版の登場で年2回程度の打ち上げが可能になる。ただ、何機目からそうなるとはまだ言えない。

日本テレビ:欧米の商業衛星打ち上げに対抗するのか。
森田:そうである。科学衛星だけでなく、いろいろなニーズの衛星をどんどん打って行きたい。

産経新聞:いずれは30億を下回るという話だが、記憶では定常で38億円という数値もあったが下げたのか。
森田:この38億円は今回の初号機であり、開発用の試験などが加わってもっと高くなる。定常運用ならば38億円になる。低コスト版のイプシロンが実現すれば30億円になる。

NVS:基幹ロケットとしてH3ロケットの構想がスタートしたが、イプシロンとの関係はどうなるか。
森田:イプシロンの考え方(小型軽量の上段など)をH3ロケットに適用することはあり得る。

NVS:今回からロケットの発射管制だけでなく、衛星の管制も宮原の新しい施設で行うのか。
森田:そうである。新設のイプシロン管制センター(ECC)に置かれる。
(※MVロケット時代はそれぞれ離れた施設で行っていた)

NVS:募集した応援メッセージはロケットのどこに掲載されるのか。
森田:1段目側面の赤いラインのところである。

テレビ朝日:赤いラインに応援メッセージとのことだが、どういった形で載るのか。
森田:近くで見ると文字、離れると赤いラインに見えるシール。赤いラインに白い文字である。

テレビ朝日:イプシロンロケットは打ち上げの革命とのことだが、この打ち上げが宇宙史にどう影響するか。
森田:まさに革命である。これまではロケットの性能を上げていたものから、打ち上げ方やコストを進化させ、簡単に打てるロケットになる。これまでの古いアポロ方式から、イプシロン方式となる。これはイプシロンロケットだけでなく、日本の新しい基幹ロケットや外国のロケットでも使える技術。来年以降は世界の標準になっていくだろう。

毎日新聞:固体ロケット(ミューファイブロケット)の開発が中止されてから7年後に打ち上げる意義と、商業的な見通しはあるか。
森田:固体ロケットは構造がシンプルである。液体ロケットのような大規模かつ高コストなエンジン開発が無い。固体ならば開発期間が短縮されコストが低減される。そのため新しいことがやりやすい。液体ロケットは開発に10年もかかり、初号機が飛ぶ頃には世界初ではなくなる事もあるが、今回のイプシロンは開発から3年で飛べる。
 どのくらい儲かるかについては、難しい。宇宙開発はまだ産業になっていない。宇宙開発をもっと身軽にしていかなければならない。また、ロケットの製造を簡単かつ安くしていかなければならない。これはいきなり民間で行うのは難しいので、JAXAが行っている。将来はプラスチックモデルのようなものにしていきたい。

日経新聞電子版:世界標準とのことだが、各国の取り組みはどうなのか。また、今回ドラスティックなことができた要因は。
森田:世界標準とは、人工知能による点検の自律化などを含めた打ち上げ方式やモバイル管制で、打ち上げシステムをシンプルなものにしていくこと。各国も同様なことをやっているが、これまでの常識の範囲内である。今回は桁違いに前進している。ただし、世界が見向きもしないものでは意味が無いが、これはお手本になりうるものである。
 なぜ出来たかというと、簡単に言うと逆転の発想である。ミューファイブ中止からイプシロン開発まで4年あったため、研究をしっかりやれた。ミューファイブロケット終了後の構想では「コンテナ管制」だったが、「モバイル管制」までになった。ミューファイブロケット引退で拠り所が無くなったため、ゼロから未来に繋がるロケットが開発できた。
(※コンテナ管制:輸送用コンテナに管制室が収まるという大きさの例)

フリー秋山:宇宙政策委員会でアリアンからベガとの協力の申し出があったそうだが、どういったものになるのか。また、3号機のペイロードはどうなっているか。
森田:民間レベルで話が始まったところで、内容としてはベガとイプシロンの打ち上げ能力が異なることから、相互に顧客を獲得していくようなものが考えられている。
 3号機は科学衛星専用のロケットではないが、公募により年度内には決まる感触がある。

テレビ朝日報道ステーション:革命的な試みというが、H2Aロケットと比較して小型であることのメリットは何か。
森田:固体ロケットはコンパクトかつシンプルで、新しい取り組みには良い。今後のロケットに活用できる。

読売新聞:部品の少なさとコストの低減はどのくらいと表せるか。自律点検をモバイルで行うキーテクノロジーは何か。
森田:今回のシンプル化の試みはまだ一歩目、二歩目のものである。部品点数の低減を例で言うと、ノーズフェアリングは円筒部分と円錐部分が一体になったことで1/2になり、その接続のためのボルトが無くなったことで、50個が2個になるようなものである。
 自律点検とモバイル管制はIT技術の発達があり、ロケットの内部データをリアルタイムで見られるようになった。

読売:自律点検で不具合が発見された場合はどうなるか。
森田:原因究明の機能を搭載点検系(ROSE)に仕込んでいるところ。原因が判れば交換部品が瞬時に判るようになる。
(※ROSE:Responsive Operation Support Eqipment。機体に搭載し、射場整備作業時の機体の状態を監視する。また、MCO:Miniature Ordnance Circuit Ceckerという、火工品回路の健全性確認を行う機器がある。MCOは打ち上げ前に外して再利用ができる)

朝日新聞:今回の海外調達はどのくらいか。モバイル管制の将来はどうなるか。(全段)固体ロケットはJAXAになって初めてだが感想は。
森田:海外調達の技術について特許は無し。日本の素材は最先端であるのため国産である。電気的な部品などで汎用性の高い部品は海外調達がある。これは数パーセント程度。
 モバイル管制はネットワークに繋げばどこでも管制できる。簡単に言えば射場に必要なものはレーダーと発射台だけとなる。いずれレーダーすらGPSで代用ができることになり、発射台だけになるかもしれない。ただ、わざわざ海に出て打つくらいなら、航空機から打つ方がいい。しかし当座は安全上の配慮や法的なもの、実績(住民の理解)が必要。今は内之浦が良い。
 固体ロケット(MV)はJAXA統合後に3機打っている。MV時代にもJAXAはしっかりやっていた。この3機は射場での不具合がほとんど無く、特に最後の2機はゼロだった。MVは統合のシンボルで、実際にしっかりやっていた。今度のイプシロンは運用だけでなく全く新しい開発となった。日本の開発チームがひとつになった成果である。

東京新聞:今回の打ち上げ要員は何人か。また、将来の目標は何人か。施設の改修費用はどのくらいか。
森田:運用時のモバイル管制は冗長も必要なため4人から5人程度になる。管制1人で、その冗長として1人、そしてそれらの確認をする人員が必要になる。初号機は開発段階なので大勢が必要になる。今回はMVの頃より劇的に減るわけではない。例えばMVは2000人/日だったが、イプシロンの運用段階は150人/日が目標。今回の試験機は2000人/日になる。
 改修費用は地上設備の新設も含め50億円くらい。
(※これまでの報道席の隣にイプシロン管制センターが建設された。取り壊されたシュミットカメラ棟の跡地でもある。なお、報道席は一般見学席の前に移設された。この報道席の工事で木が伐採され、一般席から見えにくくなっていたM台地への視界が確保されている)

日本放送:予算の目標がMVロケットの半分くらいになるが、達成感はあるか。
森田:ミューファイブロケットの引退理由が高コストなので、それを下げたことと、そして次の世代に繋がる技術革新ができたことがある。どちらかというと後者が大きい。

以上です。


No.1645 :切り離し その2 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年4月24日(水)21時04分 投稿者 柴田孔明

 整備塔内部から見た切り離しの瞬間。
 撮影:柴田孔明


No.1644 :切り離し ●添付画像ファイル
投稿日 2013年4月24日(水)21時03分 投稿者 柴田孔明

 ランチャ下部から見た、アンビリカル切り離しの瞬間。
 撮影:柴田孔明


No.1643 :整備塔より出たダミーとランチャ ●添付画像ファイル
投稿日 2013年4月24日(水)21時02分 投稿者 柴田孔明

 ランチャの向きが本来の打ち上げ位置と異なりますが、記録の関係で整備塔から少し出た位置で試験を行います。
 撮影:柴田孔明


No.1642 :アンビリカル離脱試験 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年4月24日(水)20時59分 投稿者 柴田孔明

 2013年4月22日から23日にかけて、内之浦宇宙空間観測所でイプシロンロケットのアンビリカル離脱試験が行われました。
 新型のイプシロンロケットと以前のミューロケットではアンビリカルの構造や切り離す方法が異なります。ミューロケットでは打ち上げ前に空調ダクトを切り離していましたが、イプシロンロケットではH2Aロケットなどと同様に打ち上げ時に切り離します。このため、動作の確認が必要となりました。
 試験に使われるロケットは先の旋回試験でも使われた円柱型のダミーですが、これに新たにアンビリカルが取り付けられています。なお、ダクトには空調車から空気が送り込まれ、運用状態と同じになっています。黒い信号用ケーブルはダミーとのことです。
 また、本来であればロケットが上昇してアンビリカルが外れるのですが、ダミーのロケットは動かないため、下側のケーブルを引っ張ることで動作させます。
 アンビリカルが外れた後は、今度はロケット側に跳ね戻っていかないようにランチャのブームに取り付けたキャッチングネットで受け止めます。
 今回の試験で問題ないと判断されれば、今年の夏期に予定されている打ち上げに向けてまた一歩進んだことになります。

 写真はアンビリカルをダミーのロケットに接続した状態。
 撮影:柴田孔明


No.1641 :イプシロン関連機器の輸送 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年4月24日(水)20時52分 投稿者 柴田孔明

 内之浦ではイプシロンロケットに関係するパーツを港から輸送する作業が始まっています。こういった輸送を見ると、内之浦にロケットが戻ってきたと実感できます。観測ロケットの打ち上げもありましたが、衛星を軌道に投入できるロケットはやはり関連機器も大きいです。
 撮影:柴田孔明


No.1640 :煙道の様子 ●添付画像ファイル
投稿日 2013年4月18日(木)20時19分 投稿者 柴田孔明

ランチャの下にある煙道は筒状のもので、散水装置などはありません。ロケット打ち上げ時の観測に影響しないように、噴出する方向を決めてあります。(方位角N+110)
(※写真が添付されなかったので再掲)


No.1639 :煙道の様子
投稿日 2013年4月18日(木)20時17分 投稿者 柴田孔明

ランチャの下にある煙道は筒状のもので、散水装置などはありません。ロケット打ち上げ時の観測に影響しないように、噴出する方向を決めてあります。(方位角N+110)