宇宙作家クラブ
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No.286 :神舟2号帰還
投稿日 2001年1月16日(火)20時56分 投稿者 江藤 巌

・神舟2号着陸
 中国が1月10日に打ち上げた有人宇宙機の無人試験機「神舟」(Shenzhou)2号の降下モジュールが、16日北京時間19:22(日本時間20:22)に内モンゴルに着陸した。飛行時間は6日と18時間21分だった。
中国は1999年の11月に無人の神舟1号機を飛ばしており、あと1回か2回の無人飛行の後、2002年中には有人宇宙飛行に踏み切るものと思われる。
自力で自国の宇宙飛行士を宇宙に送り出した国は、これまでソ連、アメリカの二カ国しかない。
Go Taikonauts!
SpaceDaily

・シャトル打ち上げ延期続報
 NASA Human Spaceflightのシャトルの頁では、現時点でSTS-98の打ち上げ予定は以前1月19日になっている。
またNASA本部からの発表もない。
その一方でケネディ宇宙センター(KSC)の関連ページは、すべて2月6日以降の打ち上げに修正されている。
宇宙開発事業団(NASDA)スペースシャトル「アトランティス号」(STS-98/国際宇宙ステーション組立ミッション(5A))の打上げ延期について

No.284 :アトランティス打ち上げ延期続報
投稿日 2001年1月16日(火)13時10分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトルOV-104アトランティスの打ち上げ延期は、NASAのケネディ宇宙センター(KSC)のシャトル・ステイタス・リポートですでに公表されている。
それによれば、現在39A発射台にすえられているアトランティスは、1月19日にVABに戻され、SRBの配線を中心に点検が行われる。
点検が予定通りに進めば、アトランティスは1月25日頃には発射台に送り出される。
 打ち上げ予定は、いまのところ2月6日以降としか発表されていない。
STS-98ミッションが2週間以上も遅れることになると、3月1日に打ち上げを予定していた次のSTS-102/ISSフライト5A.1も若干先送りになる可能性が高い。
STS-102/ISSフライト5A.1では、国際宇宙ステーション(ISS)の第二次遠征隊の3人が送り込まれ、第一次遠征隊3人が交代してシャトルで帰還することになっている。
STS-102/ISSフライト5A.1が遅れると、昨年の12月からISSに常駐している第一次遠征隊の滞在も予定より長くなることになる。

No.283 :シャトル打ち上げ来月まで延期か他
投稿日 2001年1月16日(火)10時45分 投稿者 江藤 巌

・アトランティス打ち上げは2月6日に延期?
 Space.comの伝えるところでは、1月19日に予定されていたスペースシャトルSTS-98/ISSフライト5A(アトランティス)の打ち上げは、点検のため2月6日まで延期される見通しとなった。
これは前回のSTS-97の打ち上げの際に、固体ロケット・ブースター(SRB)の分離ボルトが正常に作動しなかった問題が後から発見されたためで、アトランティスは再度機体組みたてビルディング(VAB)に戻されて、SRB分離の配線を中心に点検を受けることになる。
この件についてNASAからは正式の発表はまだなく、STS-98のサイトでは打ち上げ予定は依然1月19日となっている。

・星屑のスウィングバイ
 NASA/ジェット推進研究所(JPL)が1999年の2月7日に打ち上げた彗星探査機スターダストが、1月15日の11:13UT(日本時間20時13分)に地球に再度接近するスウィングバイを行った
スターダストは2004年1月2日にワイルド4彗星に接近して観測する計画だが、彗星への軌道に乗るため地球の重力を利用して加速するEGA(Earth Gravity Assist)、いわゆるスウィングバイを行ったものである。
ちなみにNASA/JPLのサイトでは、スウィングバイ(EGA)とフライバイは同じ意味に用いられているようである。
スターダストの軌道
ワイルド4の軌道
スターダスト計画タイムライン
スターダスト探査機
地球から観測したスターダストのスウィングバイ

No.282 :ミール廃棄は3月6日決定他
投稿日 2001年1月13日(土)22時20分 投稿者 江藤 巌

・ミール再突入は3月6日に
 ロシアの航空宇宙庁(ロスアヴィアコスモス)とRKKエネルギヤが合意したところでは、ミール宇宙ステーションを大気圏に突入させて廃棄する日取りは3月の6にちと決まった。
1月18日には無人のプログレスM1-5が打ち上げられ、22日にミールとドッキングすることになっている。プログレスM1-5は3月の4日と5日に3回エンジンに点火して、ミールの軌道周回速度を合計21m/s減速する。
これによってミールの高度は低下し、大気の抵抗でさらに減速する。
3月6日にはプログレスM1-5が4回目の減速を行い、ミールは大気圏に突入、南太平洋上空で分解することになっている。
プログレスM1-5の無人ドッキングが失敗した場合に備えて、二人の宇宙飛行士がミールに向かう訓練を受けている。
 130トンもあるミールが、大気圏に突入しても完全に燃え尽きるとは思えず、一部の部品は地表まで到達する恐れが大きい。
ミールの部分の最終的な落下地点は直前にならないと判明しない。
Space.com
Space.com
CNN

・神舟2号の詳細
 Go Taikonauts! An Official Chinese Space Websiteが中国筋の情報として伝えるところでは、中国が1月10日に打ち上げた有人宇宙機の無人試験機「神舟」2号は、1週間程度飛行して回収される。
神舟2号は動物をふくむ微小重力実験用の生物を搭載していると中国は発表しているが、生物の種類や回収を意図しているのかどうかなどは明らかになっていない。
 神舟号宇宙飛船はロシアのソユースの技術を導入して開発され、三つのモジュール(ブロック)で構成されている。
地球に回収されるのは釣鐘型の降下モジュールのみで、その前後に取り付けられた軌道モジュールと機械モジュールは降下前に軌道上で切り離される。
ただし神舟2号では、円筒形の軌道モジュールは切り離された後単独で6ヶ月前後飛行し、実験を継続すると言う。軌道モジュールには大気圏再突入に耐える能力はなく、任務が終われば燃え尽きることになると思われる。
神舟2号の軌道モジュールは、各種の宇宙実験を搭載した無人実験室となっており、外部にも曝露実験が取り付けられている。
神舟号の空力フェアリングは、ソユースのフェアリングとは多少異なっており、中国独自の技術が盛り込まれていることをうかがわせる。
「神舟」(Shenzhou)は、江沢民国家主席が命名した。
 中国はあと1〜2回無人で神舟号の実験を試みてから、2002年にも最初の宇宙飛行士を送り出すものと見られる。
独自の宇宙機による有人飛行に成功すれば、ソ連(1961年)、アメリカ(1962年)についで世界でも3番目となる。

・若田宇宙飛行士里帰り
 現在STS-92の乗員の一人として日本に里帰り中の若田光一宇宙飛行士が、1月9日に宇宙開発事業団本社(東京浜松町)で共同記者会見に臨んだ。
また1月11日には東京ビッグサイト国際会議場(東京有明)において、若田宇宙飛行士の帰国報告会が開催された。
STS-92乗員来日中のスケジュール
STS-92ミッション結果の要約

No.281 :今世紀最初のシャトルは19日打ち上げ
投稿日 2001年1月11日(木)21時49分 投稿者 江藤 巌

・STS-98打ち上げは1月19日に
 今世紀最初のスペースシャトルのミッションとなるSTS-98国際宇宙ステーション(ISS)フライト5Aは、1月19日の東部標準時午前2時11分(日本時間19日午後4時11分)にケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられることが正式に決まった。
STS-98/フライト5AでオービターOV-104アトランティスは、アメリカの研究モジュール”デスティニー”をISSに取り付けることになる。
KSCニュース・リリース
スペースシャトル「アトランティス号」(STS-98/国際宇宙ステーション組立ミッション(5A))の打上げ日の決定について
FLORIDA TODAY
Space.com
KSCシャトル・ステイタス・リポート

・ユーラシアサット1打ち上げ成功
 アリアンスペース社は1月10日ギアナ宇宙センターからアリアン44Pでユーラシアサット1通信衛星を静止軌道に向け打ち上げた。
アリアンスペース社プレス・リリース
ESAプレス・リリース
SpaceDaily

・ビーグル2世号の冒険
 朝日新聞が「英の火星着陸機、打ち上げ準備 ロック音楽が着陸合図」と題して、このサイトの268でも紹介したビーグル2計画について解説している。
ただし記事では誤解を招きかねないが、ビーグル2計画はイギリスが中心になって進めているヨーロッパ宇宙機関(ESA)の計画であって、イギリス単独の計画ではないし、イギリスの国家プロジェクトでもない。
同記事中にあった、ビーグル2ランダーの構造を製作しているマクラーレン・コンポジッツは、TAGマクラーレン・グループの一員である。
 ビーグル2の名は、もちろんチャールズ・ダーウィンが乗り込んだ探険船にちなむ。
チャールズ・ダーウィン財団HP
ダーウィンとビーグル関連リンク

・宇宙開発事業団改革推進委員会第4回会合
 1月24日(水)9時30分〜12時、宇宙開発事業団本社(東京浜松町)第1〜4会議室にて。
議題
(1) H-II及びH-IIAロケットの事故・不具合の背景要因分析
(2) 企業との役割・責任関係の見直し
(3) アクションプランの階層別及び段階別整理
 一般傍聴(先着50名)の申し込みは官製はがき、FAXあるいはE-mailにて。
詳しくは宇宙開発事業団改革推進委員会第4回会合の開催について

No.280 :中国が神舟二号打ち上げ他
投稿日 2001年1月10日(水)12時09分 投稿者 江藤 巌

・中国が「神舟二号」打ち上げ
 中国は1月10日午前1時(日本時間同午前2時)に、甘粛省双城子の酒泉衛星発射センターから無人の有人宇宙機「神舟二号」(Shenzhou2)「長征二号F型」で打ち上げた。神舟二号は10分後に計画軌道に乗り、現在も地球を周回中である。
中国は一昨年の11月20日に神舟の1号機を無人で打ち上げているが、今回の二号には実験用の生物が搭載されているという。
LYCOSニュース
SpaceDaily
SpaceRef
Go Taikonaut
Space.com
 中国は近い将来有人の神舟を打ち上げるほか、スペースシャトル宇宙ステーション月基地も構想している。

・2001年火星の旅
 2001年の4月7日に打ち上げられて、10月20日に火星に到着する計画のNASAのマーズ・オディッシー探査機が、ロッキード・マーティン社デンヴァー(コロラド州)工場から空軍のC-17グローブマスター2輸送機に載って、1月4日夜ケネディ宇宙センター(KSC)に到着した。
マーズ・オディッシー2001オービターは火星周回軌道上から、3種類の観測機器で火星表面の気象や地形のデータを集める。
NASAプレス・リリース
2001:Mars Odyssey
KSCニュース

・木星に新たに11個の月発見
 ハワイ大学天文研究所は、マウナ・ケア山頂の2.2m望遠鏡による観測で木星の小衛星を11個新たに発見した。
これで木星の観測された衛星の数は合計28個になった。
ハワイ大学天文研究所発表
国際天文連合(IAU)サーキュラー
IAUサーキュー
Space.com

No.279 :衛星打ち上げ相次ぎ延期他
投稿日 2001年1月9日(火)15時05分 投稿者 江藤 巌

・衛星打ち上げ相次ぎ延期
 アリアンスペース社は、フランス領ギアナのクールーからのアリアン44P(フライト137)の打ち上げを、強風を理由に24時間延期した。フライト137にはモナコ法人のユーラシアサット社のユーラシアサット1通信衛星が搭載されている。
ユーラシアサット社は、チュルク・テレコム社とアルカテル・スペース社の合弁会社である。
アリアンスペース社プレス・リリース


 またシー・ローンチ社も、太平洋上プラットフォームからのゼニート3SLの打ち上げを、離昇30秒前にコンピューターの異常で中止した。ゼニート3SLはアメリカのXMサテライト・レイディオ社の放送衛星を搭載している。
SpaceDaily
FLORIDA TODAY

・NASAの次期長官未だ決まらず
 アメリカのG・W・ブッシュ次期政権のNASA長官の候補はいまだ定まっていないようで、すでに伝えられた元アポロ宇宙飛行士のハリスン”ジャック”シュミット元上院議員(共和党)、オービタル・サイエンシズ社(OSC)のデイヴィッド・トンプスン社長の他にも、新たにジェイク・ガーン元上院議員(ユタ州、共和党)、ラルフ・ホール下院議員(テキサス州、民主党)、S・ピート・ウォーデン空軍准将などの名が挙がっている。
ガーン元上院議員はパイロットで、1984年11月に宇宙視察の名目でスペースシャトル・ミッション51Dに乗り組んでいる。
ウォーデン准将は天文学の博士号を有し、全米科学協会(NSS)の役員を勤めている。TIME
 これまでNASAの長官に元あるいは現職議員が任命された例はないが、現役の軍人の任命には第8代長官(1989-1992)のリチャード・H・トルーリー海軍少将の先例がある。
NASAWatch
 一方NASAの予算や方針に大きな影響がある下院科学委員会の委員長には、ニューヨーク州選出(共和党)のシャーウッド・ボーラート議員が選出された。
前委員長のF・ジェイムズ・センセンブレナー議員(ウィスコンシン州、共和党)は、法務委員会委員長に転身する。
センセンブレナー前委員長は、ロシアの国際宇宙ステーション(ISS)計画参加など、クリントン政権の宇宙政策には終始批判的だった。
ボーラート議員は、これまでISS計画や宇宙商業化に賛成してきたと伝えられる。

No.278 :ロトン競売免れる他
投稿日 2001年1月6日(土)16時57分 投稿者 江藤 巌

・ロータリー・ロケット競売を免れる
 カリフォーニア州のモハーヴィ飛行場を本拠地とするロータリー・ロケット社は、同州カーン郡に2000年分の税金19,545ドルを支払って、とりあえず資産の差し押さえと競売を免れたようだ。
しかし同社の資金繰りは逼迫しており、先行きが危ぶまれている。同社のHPは昨年半ばから事実上更新されていない。
Space.com

・露政府がミール処分を決定
 ロシアのミハイル・カシャノフ首相は1月5日、ミール宇宙ステーションを軌道から外して再突入させる指示に署名した。
ミールには1月18日に無人のプログレス補給船が送られて、減速して大気圏に突入させることになっている。
CNN
FLORIDA TODAY
SpaceDaily
SpaceDaily
 ミール社と契約して、初の一般市民としてミールに乗り込むことになっていた米実業家デニス・ティトー氏は、代わりに国際宇宙ステーション(ISS)にロシアから乗り込むことになると伝えられている。
この件に関して、ミール社からまだ発表はない。
CNN

・21世紀最初の小惑星発見
 NASA/カリフォーニア工科大学(CIT)のジェット推進研究所が運用する地球接近小惑星追跡網(NEAR-EARTH ASTEROID TRACKING)は、1月1日に小惑星と思われる物体2001AAを発見した。

No.277 :アトランティス発射台に到着他
投稿日 2001年1月4日(木)23時43分 投稿者 江藤 巌

・アトランティス発射台に到着
 クローラー・トランスポーターのコンピューターの故障から、いったん機体組立ビルディング(VAB)に逆戻りしたスペースシャトル・アトランティスだが、もう1台のクローラー・トランスポーターに積み替えて、3日の午後には無事ケネディ宇宙センター(KSC)の39A発射台まで移動した。
1月3日の午前10時21分(米東部標準時)にVABを出たアトランティスは、午後3時30分過ぎには39Aに到着した。
いまのところアトランティスのミッション、STS-98/ISSフライト5Aの打ち上げは1月19日以降となっている。
FLORIDA TODAY
同画像
CNN
スペースシャトル・ステイタス・リポート

・カッシーニの木星画像
 NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)の土星探査機カッシーニ/ホイヘンスは、昨年の12月末に木星の近傍を通過(フライバイ)して、土星への最終コースに乗った。
カッシーニ/ホイヘンスの第一の目的は土星とその衛星ティターンの観測だが、観測機器と通信のテストを兼ねて最接近の前後には木星の画像撮影も行われた。
最接近の直前には姿勢制御のトラブルから観測が危ぶまれたが、異常も修復されて無事に木星の観測を終えることが出来た。
カッシーニ/ホイヘンス計画HP
木星フライバイHP
画像アーカイブ

・アーサー・C・クラークがDNAを宇宙に送る
 「2001年宇宙の旅」「宇宙のランデブー」などで有名なSF作家のサー・アーサー・C・クラークが、自分のDNA標本を宇宙に送ることになった。
これは”Encounter 2001”計画の一環で、サー・アーサー(83歳)は他の55000人の参加者に混じって、自分のDNA標本と写真を衛星に載せる。
衛星はアリアン5で2003年に打ち上げられ、地球周回軌道上で面積4,900m2のソーラー・セイル(太陽帆)を広げ、太陽の光を受けて加速することになる。最終的な目標は太陽系からの脱出である。
クラークは1963年の短編「太陽からの風」(ハヤカワ文庫「太陽からの風」収録)でソーラー・セイルを描いている。
Sci-Fi Author Clarke's DNA Set for Space Odyssey
Sci-Fi Author Clarke's DNA Set for Space Odyssey

・ミネタ現商務長官をブッシュ次期大統領が運輸長官に任命
 宇宙輸送も統括する運輸長官に、ブッシュ次期大統領は民主党の元下院議員(カリフォーニア州選出)で、クリントン政権で商務長官を勤めている(2000年6月より)ノーマン・ミネタ氏を任命した。
ミネタ氏は下院議員時代には公共事業運輸委員会の委員長で、また国家民間航空審議委員会の議長も勤めた。

・NASA長官の候補
 G・W・ブッシュ政権のNASA長官の候補として、すでに名前の出ているハリスン”ジャック”シュミット元宇宙飛行士(元上院議員)の他に、オービタル・サイエンシズ社(OSC)のデイヴィッド・トンプスン社長の名が取り沙汰されている。
NASA WATCH

・ロジャーズ元国務長官死去
 ニクスン政権で国務長官を勤めたウィリアム・P・ロジャーズ氏が死去した。87歳。現役時代には宇宙開発とは縁の薄かったロジャーズ氏だが、1986年1月のスペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故の後には、レイガン大統領に指名されて事故調査委員会(通称Rogers Commission)の委員長を勤めている。
Spacecom
事故調査委員界の報告書

・宇宙開発事業団山之内秀一郎理事長の新年の挨拶
21世紀の幕開けにあたって

No.275 :2001年宇宙の旅
投稿日 2001年1月3日(水)21時25分 投稿者 江藤 巌

 日本を含む世界の多くの国では、2000年の正月に新しい千年期(ニュー・ミレニアム)の到来を祝ったが、グリニッジ天文台米海軍観測所(USNO)その他の権威ある機関が一致した見解では、新千年期は新世紀同様に2001年の1月1日から始まる。
 なにはともあれ、新年と新世紀、そして新千年期おめでとう。

・2001年に「2001年」
 2001年の到来とともに、アーサー・C・クラークとスタンリー・クーブリックの不朽の名作「2001年宇宙の旅」(2001:A Space Odyssey)が想起されている。
SpaceRef
Arthur C. Clarke Day Symposium at the National Air and Space Museum
Arthur C. Clarke Day Celebration at the Newseum
 なおこれと関係あるのかどうかは不明だが、米シアトル市のマグヌソン公園内に昨年の12月31日夜、謎の黒い物体が出現したそうである。
Mystery monolith shows up in Seattle(CNN)
なぞの「石版」が一夜にして出現 米シアトル(朝日)

・アトランティスVABへ逆戻り
 スペースシャトル・オービターOV-104アトランティスは1月2日の早朝に、1月19日に予定されているSTS-98のためにケネディ宇宙センター(KSC)機体組み立てビルディング(VAB)からクローラー・トランスポーターに載せられて発射台への移動を開始したが、1時間ほど進んだところでクローラーのコンピューターが故障して停止してしまった。
故障の修理が不可能なため、クローラーは補助のコンピューターによってVABに戻された。
シャトルはもう1台のクローラーに積み替えられて、発射台に移動することになりそうである。
SpaceRef
Space.com
FLORIDA TODAY

・ロータリー・ロケット社差し押さえられる
 ローター(回転翼)を回しながら再突入するユニークなロケット開発を旗印にしたロータリー・ロケット社の資産が、税の不払いを理由にカリフォーニア州のカーン郡当局によって差し押さえられた。
ロートン打ち上げ機の大気圏内試験用試作機(ATV)を含む同社の資産は、1月10日には競売に付される。
ロータリー・ロケット社では、2000年の6月には創業者の一人ゲイリー・C・ハドスンがCEOを退き、先月には資金繰りが悪化して企業活動を停止していた。
同社からはいまのところ発表はない。
Space.com

・ツィクロン墜落原因はコンピューター
 ウクライナのユジノイェ公団の発表によると、12月28日に6衛星を搭載したツィクロン3打ち上げ機の失敗の原因は、コンピューターの故障だとのことである。
CNN

・毛利衛宇宙飛行士退職
 宇宙開発事業団(NASDA)の毛利衛宇宙飛行士は、日本科学未来館の館長になるために、12月31日付でNASDAを退職した。

No.274 :2000年の宇宙ニュース総括
投稿日 2000年12月31日(日)22時08分 投稿者 江藤 巌

 さて20世紀もあと1時間を切ったが、20世紀の最後の年の宇宙関連ニュースの総括が発表されている。

NASA's Top Ten Stories for the Year 2000
 EXPEDITION ONE CREW BEGINS INTERNATIONAL SPACE STATION ADVENTURE
 EVIDENCE OF LIQUID WATER FOUND ON MARS
 EARTH MAPPING MISSION A STUNNING SUCCESS
 SOHO SEES TURBULENT SIDE OF THE SUN
 NASA TECHNOLOGY MAY EASE FLIGHT DELAYS AND ENHANCE RUNWAY SAFETY
 NEAR HAS CLOSE-CALL WITH ASTEROID EROS
 TRACE ILLUMINATES SUPERHEATED SOLAR MYSTERY
 LARGEST-EVER OZONE HOLE OBSERVED
 BIOFEEDBACK TECHNOLOGY DEVELOPED FOR VIDEO GAMES
 NASA OUTLINES TWO DECADES OF MARS EXPLORATION

FLORIDA TODAY The Year in Space
FLORIDA TODAY What a Year in Space
 10. Bumper project anniversary and special report
 9. Apollo 13 30th anniversary
 8. Delta 3 returns to flight
 7. First Atlas 3A launch
 6. NASA to launch 2 Mars rovers in 2003
 5. Mars failure investigation reports, reaction
 4. Russian Cabinet decides to de-orbit Mir
 3. Possible water on Mars; Discovery of ancient dry lake beds
 2. Discovery flies 100th shuttle mission
 1. The International Space Station is occupied by its first crew

 21世紀最初の年2001年の打ち上げ予定。
2001 and beyond with long-range target launch dates
1月後半にはまずシャトルのSTS-98が予定されている。

No.273 :ロシアが衛星打ち上げ失敗他
投稿日 2000年12月29日(金)14時18分 投稿者 江藤 巌

・ロシアが6衛星同時打ち上げ失敗
 ロシアは12月27日プレセツク宇宙基地からツィクロン3打ち上げ機に6機の衛星を載せて発射したが、第3段の異常で衛星は軌道に乗らずに終わった。
6機の衛星は、3機がロシア軍の軍事通信衛星、3機は民間用の通信衛星とされる。
 ツィクロン(英語ではサイクロン)3は、ウクライナ共和国が製作した衛星打ち上げ機で、余剰となった大陸間弾道ミサイル(ICBM)の8K68(西側呼称SS-9セイタン)を宇宙開発に転用したものである。
FLORIDA TODAY
CNN
SpaceDaily
SpaceDaily
Space.com

・ミールに非常要員指名
 一時通信が途絶するなど、2001年の2月末に予定されている投棄に不安がもたれるロシアのミール宇宙ステーションだが、このほどロシアのロスアヴィアコスモスでは地上からの遠隔操作でミールの投棄が不可能な場合に乗り込んで操縦を行う乗員を指名した。非常要員に指名されたのはゲンナジー・パダルカ(機長)とニコーライ・ブダーリン(エンジニア)の二人の宇宙飛行士で、ともにミールでの長期滞在経験を有する。
Space.com

・神舟2号近く打ち上げか
 中国の宇宙開発に関する非公式情報で知られる”Go Taikonauts!”のサイトによれば、中国が2週間以内に有人宇宙機「神舟」の2号機を、無人で打ち上げると言う。
Go Taikonauts!
Spaceref

No.272 :LE-7Aノズルの損傷原因判明
投稿日 2000年12月27日(水)23時34分 投稿者 江藤 巌

・LE-7Aエンジンの損傷原因判明
 H-2Aの第1段のLE-7Aエンジンのノズル・スカートを構成する細管の表面に多くの侵食が発見された件について、宇宙開発事業団(NASDA)が原因は漏洩点検時に使用した弗素系潤滑剤にあったと発表した。
LE-7Aエンジン ノズルスカート冷却管侵食の原因究明結果について
 原因究明のため、冷却管の蝋付けの工程を模擬したところ、弗素系の潤滑剤が存在する条件で同程度(約0.3mm)の侵食が発生することが分かった。この弗素系潤滑剤は、蝋付け工程で実施するノズル・スカートの漏洩点検で点検装置をノズルと密着させるために使用したもの。また潤滑剤とは別に、蝋付けの蝋材のバインダ(結合剤)が細管の表面性状に影響(数10μm程度の小さな凹み)を与えることも判明した。 なお侵食がエンジンの性能や安全性に与える影響だが、冷却管肉厚(約0.52mm)の約3/4が侵食され、最も応力的に厳しいと考えられる箇所における長さ約4cm相当の侵食を模擬したモデルで構造解析を実施した。結果的にはエンジン燃焼状態で生ずる応力では延性破壊することはなく、低サイクルの疲労寿命についても安全率を考慮しても200回以上を有しているとのことである。
 また侵食の再発防止策としては、今後漏洩点検で弗素系潤滑剤を使用せず、蝋付けのバインダ残留量を削減することが採用され、品質検査を強化することとなった。
H-2Aロケット最新情報

・無人のミールが一時通信途絶
 軌道を無人で周回中のロシアのミール宇宙ステーションと、地上の管制センターとのテレメトリーとコマンドの通信回線が21時間にわたって途絶する出来事があった。
通信が途絶えたのは、モスクワ時間で12月25日の午後6時41分から26日の午後3時45分までの間だった。
原因は現在究明中だが、バッテリーの異常ではないかとみられている。
ロシア政府は、2001年の2月末にはミール宇宙ステーションを大気圏に突入させて処分しようとしているが、そのためにはミールが地上からのコントロールに従うことが必要である。今回の通信途絶は、ミールのコントロールされた投棄に不安を残すことになった。
SpaceDaily
SpaceDaily
SpaceDaily
SpaceDaily
SpaceDaily
CNN
FLORIDA TODAY
Space.com

・プログレスM1-4とISSが再ドッキング成功
 国際宇宙ステーション(ISS)に補給物資をもたらした後、スペースシャトルがドッキングする余地を空けるためISSから切り離されて無人飛行していたプログレスM1-4が、12月26日午前6時3分(アメリカ東部標準時)にISSと再ドッキングに成功した。プログレスM1-4は11月18日の最初のドッキングでは、自動ドッキング・システムが故障して、最終的にはISS側から遠隔操作でドッキングさせた。今回もISS内のギジェンコ宇宙飛行士が手動でプログレスを導いた。
プログレス無人補給船は、ISSに軌道制御用の推進剤を移送した後、ISSで出たゴミを詰めて切り離され、最終的には太平洋の上空で大気に再突入して燃え尽きることになっている。
NASAプレス・リリース

No.271 :LDREX衛星のアンテナ展開に失敗
投稿日 2000年12月26日(火)12時48分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)アリアンスペース社に依頼して12月20日(日本時間)にアリアン5で打ち上げた技術試験衛星8型(ETS-8)大型展開アンテナ・小型部分モデル展開実験(LDREX)で、アンテナの展開に失敗したことが判明した。
画像とテレメトリのデータでは、打上げ後にアンテナを固定している保持解放機構は作動したが、アンテナ自体は展開していない状態であることが確認された。NASDAでは、原因究明のためETS-8プロジェクトチームを中心とした事業団内の評価チームを強化するとともに、外部専門家による大型展開アンテナ技術委員会を開催する予定。
ETS-8は2003年度にH-2Aで打ち上げられる予定であったが、アンテナの設計変更が必要となると、打ち上げが延期される可能性は高い。
技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)大型展開アンテナ・小型部分モデルの展開実験(LDREX)の実施結果について(速報)
LDREX実験画像
ETS-8概観図

No.270 :ISSでUFO目撃か他
投稿日 2000年12月23日(土)22時56分 投稿者 江藤 巌

・ISS乗員が未確認飛行物体目撃!
 国際宇宙ステーション(ISS)、コールサイン”アルファ”の第一次遠征隊長ビル・シェパードから、地上の管制センターに未確認飛行物体(UFO)の目撃情報がもたらされた。SpaceCom
「ヒューストン、アルファ。いまステーション近傍、高度約200マイルの宇宙の軌道上で生起した予想外の目撃を報告したい。
奇妙な物体が近くに接近してきた。8頭のトナカイと橇、それに赤い服をまとった陽気な老人が乗っている」
 この奇妙な乗り物がISSに衝突しないよう、ギジェンコ宇宙飛行士が窓から
「速度制限時速17,500マイル」のサインを掲げたという。
 この奇妙な飛行物体については、すでに北アメリカ航空宇宙防衛コマンド(NORAD)真剣に追跡を開始しているようだ。
 またこの物体は30年以上も前にも、アポロ8の宇宙飛行士達によって月の近傍でも観測されている。

・NASA長官候補にシュミット元宇宙飛行士
 アメリカのジョージ・W・ブッシュ次期政権のNASA(航空宇宙局)長官候補として、ハリスン・H・シュミット元宇宙飛行士が取り沙汰されている。ジャック・シュミット地質学博士は、1965年に選ばれたNASAの科学者宇宙飛行士(現在のミッション・スペシャリスト)の第一世代で、1972年12月にアポロ17のルナー・モジュール・パイロット(LMP)として月面を踏んでいる。その後宇宙飛行士を辞めて故郷ニューメキシコ州から上院議員に立候補して当選したものの、上院議員を1期6年勤めただけで次の選挙では落選している。現在は企業コンサルタントなどを努めている。
 ただし新政権の人事は自薦他薦が相次いで、下馬評は当てにならないことが多い。またNASA長官に関しては人気のない役職で、あまりやりたがらない人が多いことも事実である。
Yahoo!news

・ヴォイジャー1が2001年にも太陽系脱出か?
 NASAが1977年に打ち上げたヴォイジャー1が、早ければ2001年中にも太陽系の外縁に達する。ヴォイジャー1は現在地球から約120億kmの距離にあり、2年前に人類がもっとも遠くへ送り出した物体となったが、いまもなお太陽の引力を振り切って遠ざかりつつある。NASAジェット推進研究所(JPL)の予想では、ヴォイジャー1は2001年から2003年までの間に、太陽風が星間空間に押し戻されている先端のヘリオポーズを通過して、太陽系の外へと足を踏み出すことになろう。
SpaceCom
ヴォイジャー恒星間ミッションのHP

・富士山と関東平野のレーダー画像公開
 NASAは、2000年2月のスペースシャトルSTS-99で、軌道上から合成開口レーダー(SAR)SRTMを使って撮影した富士山と関東平野の画像を公開した。STS-99はアメリカ国防省の国家映像地図局(NIMA)が中心になったミッションで、宇宙開発事業団(NASDA)の毛利衛宇宙飛行士もミッション・スペシャリストとして乗り込んだ。
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画像解説

・中国が北斗2号航法衛星打ち上げ
 中国は12月21日に長征3号Aで航法衛星「北斗」の2号機を打ち上げた。北斗1号機は今年10月31日に打ち上げられている。
SpaceDaily