宇宙作家クラブ
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No.2458 :観測ロケットS−520−32号機実験の結果報告記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年8月14日(日)01時50分 投稿者 柴田孔明

 観測ロケットS−520−32号機は2022年8月11日23時20分に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。打ち上げ後の翌12日午前1時半より記者会見室が行われています。
 (※一部敬称を省略させていただきます。また一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました)

・登壇者
JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授 阿部 琢美
奈良工業高等専門学校 電気工学科 准教授 芦原 佑樹
JAXA宇宙科学研究所 学際科学研究系 准教授 観測ロケット実験グループ グループ長 羽生 宏人

・観測ロケットS−520−32号機打ち上げ結果について(発表文より)
 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年8月11日(木)、「電離圏擾乱発生時の電子密度鉛直・水平構造観測」を目的とした観測ロケットS−520−32号機を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。
 ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下しました。
 GNSSをはじめとする搭載観測機器は予定通りに動作し、データを取得しました。今後、詳細な解析を実施し、電離圏電子密度の空間構造に関する研究を行う予定です。

 打上げ時刻:23時20分00秒
 発射上下角:75.0度
 最高到達高度:279km(打上げ268秒後)
 着水時刻:打上げ522秒後

 なお、打上げ時の天候は晴れ、北北西の風1m/秒、気温28度Cでした。
 これをもちまして、観測ロケットS−520−32号機実験は終了となります。
 今回の観測ロケットS−520−32号機打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に、深甚の謝意を表します。

・実験結果についての報告(阿部)
 大変長らくお待たせしましたS−520−32号機ですけども、おかげさまで無事打ち上げることができました。関係の皆様にお礼申し上げたいと思います。
 ロケットの飛翔は正常で、予想通りの内之浦南東海上に落下いたしました。それからGNSSをはじめとするロケットに搭載した観測機器は予定通り動作しデータを取得しました。いずれも詳細な解析をしないと物理的な意味がわからないものですので、今すぐ皆さんにお見せすることはできないですけども、今後詳細な解析を実施して電子密度擾乱に関する研究を行いたいと思っています。
 飛翔のあらましですけども、発射の上下角は75.0度、最高到達高度は279km、これは打ち上げ268秒後に到達いたしました。着水は打ち上げ522秒後ということであります。打ち上げ時の天候は晴れ、北北西の風1m/秒、気温28度Cでありました。打ち上げ結果については以上となります。

・実験結果速報について(芦原)
 ・観測条件の判断について。
  今回のロケットは科学観測が目的でして、MS−TID(※中規模伝搬性電離圏擾乱)と呼ばれる電離圏の波状構造を観測するのが目的になります。それを地上からモニターして、条件が揃っていることを確認してから打ち上げるのですが、地上から見えるなら既に観測できているのではないかという話になるが、ロケットで見たいのは鉛直・水平構造です。まずは地上観測でMS−TIDが発生しているかどうかを確認するのが打ち上げの前提条件となっておりました。資料の図は23時20分のリアルタイムTECと呼ばれる画像となります。これは日本全国に展開されている国土地理院の電子基準点で得られたGNSSの結果を海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所の方で5分遅れくらいの準リアルタイムで解析をされるシステムを構築されています。それをモニターした結果になります。図では14時20分ですがUTCですので日本時間で23時20分です。およそ5分後に解析が出て来たものですが、波状構造が少し崩れているところもありますが、北東方向からの波状構造が見て取れます。鹿児島周辺をクローズアップしたものでは、少し筋がはっきりしないところもありますが青いところと、赤と黄色のところが見て取れます。打ち上げ条件の判断としてはこれを確認した上で打ち上げたというのが本日の状況になります。

 ・観測結果について
 詳細な観測機器の結果については、この後詳細解析をしてということになるのですが、お見せできるものとしてVAS−Iという名前の観測機器の撮像結果です。これはロケットの絶対姿勢を計測することを目的としております。原理としては赤外線のセンサを積んでいまして、地球の地平線を捉えてその角度からロケットの絶対角を計測するような観測機器になっています。詳細解析という意味ではこれの地平線の角度を詳しく解析してはじめて意味が出る物ですが、こういうものが得られたということで画像をお示しさせていただいています。下側の白いところが地球になり、黒い方が宇宙空間ということで、ひとつの例としてこのようなものが得られています。

・打ち上げについて(羽生)
 当初7月打ち上げということで準備していましたが、最初の時点では搭載機器の方で確認すべき事象が生じましたので、いったん打ち上げを中止させていただきました。その後8月になりまして修正も確認できたということで、打ち上げに向けて機体の準備は問題無いと判断いたしましたので、まずは8月8日を狙いました。ところがこのような現象がなかなか良い状況にならなかったということで、ウインドウのギリギリまで粘ったのですがいったん中断して延期をするという判断をさせていただきました。結果的に良い条件で打ち上げが出来たということですし、今の芦原先生の話のようにサイエンスデータもしっかりとれているということで、万事うまくいったのかなと思っています。

・質疑応答
読売新聞・着水した場所はどれくらいの沖なのか。
阿部・打ち上げ方位角が115度ですので、真東よりも20度南寄りの方向になります。落下地点までの距離が493kmですので500km弱のところです。

読売新聞・今回得られたデータを詳細に解析すると擾乱現象の発生メカニズムの解析ができるという理解でよいか。
芦原・解析に近づくということです。解析できるかはやってみないと判りません。そのためのデータを取得するのが第1ステップで、そのための最初のデータが今回得られたというのが現時点です。

南日本新聞・今回は予定通りに動作してデータが取得できたということで、打ち上げは成功ということで良いか。
阿部・その通りです。

南日本新聞・事前に電子密度など各種データを取得するという説明があったが、具体的に本日取得したデータはどういったものか。
芦原・7月の報道発表資料にありましたロケット搭載観測機器のデータになります。全電子数観測器GNSSにより電子密度(トモグラフィ)のデータ、2周波ビーコン送信機DBBにより電子密度(トモグラフィ)のデータ、電場計測器EFDで電場のその場観測、インピーダンスプローブNEIによる電子密度のその場観測、画像姿勢計測器:VAS−V/I及びMASによるロケット姿勢の計測を行っております。

南日本新聞・全て取得できたのか。
芦原・はい。

南日本新聞・鉛直・水平方向の異なる高度でデータを取得するとのことだが、具体的に何キロくらいか。
阿部・電子密度をいろんな方法で観測している。何々プローブと呼ばれる測定器は、その場で観測する測定器で、ロケットの位置での電子密度となります。それに対して全電子数観測機とかビーコン送信機は電波の通り道にある電子がわかる。遠隔測定と言っても良い。2通りの観測方法があることをお伝えしておきたい。質問のどういった高度範囲のデータがとれたかという事に関しましては、もともと電離圏のプラズマは高度70キロから増えてくる。電離圏の上の方は千キロくらいまでの高度がある。その中で頂点高度は279キロと言いましたが、フライトを通して電子密度は測定していますので、上限は279キロですので約280キロとなります。下限は電波による観測の方は下からずっと追っておりますので、差分というか引き算をすると狭い空間で電子数がどれくらい増えたかがわかる。こちらの方はかなり低い高度から情報が得られる。具体的に何キロからかは詳しく解析しないとわからないが、100キロ程度の高度からデータが得られるかなと、これは私の想像も入っていますけども、そのように考えています。ですから概ね100キロから280キロまでというのが現在言える高度範囲となります。

南日本新聞・高度の違いや水平方向の違いによって電子密度が違うのと判明したのか。
阿部・これは詳しく見ないと判らない。まだパソコンの画面上で見ているだけですので、詳しく解析してみないと、構造にどういう分布をしているか、水平方向に違いはあるかというのは判らない。

南日本新聞・これまでも電離圏における擾乱現象の解明を進めてきていると思いますが、今回の打ち上げで何合目くらいまで来ているのか。まだまだ続くのか。
阿部・そういう質問をいただくが、なかなか答えるのが難しい。何故難しいかというと、サイエンスではよく言われることですが、新しいことが判ると倍くらいわからないことが出てくる。7合目まで行ったと思ったら、その先はもっと長かったとかそういうことがありえる。我々は常に100%と思ってやる訳ですが、行ってみたらまだ先は長かったということはあります。ただもう一つ付け加えておきたいのは、同じ電離圏プラズマの研究であってもいろんなアプローチの方法がある。今回は電子密度の構造・分布に着目しましたが、もう少しそこで何が起こっているかを研究する分野もありますし、同じ電離圏でもいろんなアプローチがあるし研究テーマもありますということはお伝えしておきたい。
芦原・今回は我々これでベストだろうということで観測機器を準備しています。そのために多くの研究機関、GNSSは奈良高専、DBBは京都大学、EFDは富山県立大学、NEIは東北大学、VAS−V/I、MASは東海大学、日本の多くの研究機関の先生方にご協力いただきまして、このような実験を実施したというのがベストだと思ってやっておりますが、それが何合目かと言われると、その先はまだ長いかもしれないです。

NVS・今回は電子密度の測定とのことだが、画像の撮像とどう関係するのか。
芦原・電子密度の生成メカニズムですが、そこには電場、電界の方向というのが非常に重要であろうと予想して、まず電場の計測器というものを入れております。電場の計測器といいますのはロケットからプローブが4方向に伸びます。ただロケット自体は回転もしますしコーニングもします。ですので電場の絶対方向を決めるためには電場の観測機器だけでは不十分で、ロケットの絶対姿勢をできるだけ正確に知る必用があります。そういうところで今回VASと呼ばれる姿勢を決めるための新しい観測器になります。他にもMASという月のセンサでも姿勢を計測するということで、姿勢を計測するための機械もいくつか積んでおりまして、その中のひとつをご紹介させていただいたことになります。

NVS・電子密度の波状構造はF層という高いところだったが、打ち上げの条件にしたのE層はあまり関係無かったのか。
芦原・我々の仮説というかシミュレーション実験で出ているものがひとつあって、E領域での電子密度の不規則構造・スポラディックEのようなものがE層にマッピングされて、F領域のMS−TIDの種みたいなものがあって、それを促進しているのではないかというのがシミュレーション実験から判っているのが我々の実験のモチベーションになります。そういう意味では関係しているかもしれないので調べたというところになります。

NVS・すると今回の打ち上げ条件はE層とF層の両方に出ていることだったのか。
芦原・そうです。先ほどの図はMS−TIDの状態だけ見ていますが、E領域の監視もしています。

NVS・7月に延期になったときの不具合の内容を詳しくお願いしたい。
羽生・搭載機器は我々の拠点である相模原でいろいろ試験をやってくるが、そこで取得したデータと若干不一致になる部分がありましたのでそこは確認が必要だということで、点検をする必用が生じたので延期をした。どれがとは、なかなか申し上げにくい。打ち上げシステムで全体なので、射場システムとの組合せも含めてチェックをしている。全体で打ち上げに適切な状態になっていると確認することをやっていますので、そことの関係であらためて点検をしたことになります。

NVS・相模原と内之浦のランチャ上での通信状態が不一致だったということか。
羽生・想定と少し違う要素があり、単一データをしっかりとるという観点では気にする必用があったので、そのためにあらためて点検し直しました。

NVS・電波で飛んでくる信号か。
羽生・信号をとる装置が多いので、それに対して必用な点検を行った。

NVS・送受信機の点検か。
羽生・そうです。

NHK・今回の解析は具体的にどれくらいで終わる予定なのか。
芦原・観測機器によっても違うと思うが、初期データとしては1〜2ヶ月くらいのオーダーで出てくると思います。ただそこから突き合わせて、また再解析とかそういう作業になるので、それがいつまでというのはお答えしにくい。

以上です。


No.2457 :観測ロケットS−520−32号機打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2022年8月12日(金)00時23分 投稿者 柴田孔明

観測ロケットS−520−32号機は2022年8月11日23時20分に打ち上げられました。


No.2456 :観測ロケットS−520−32号機の延期
投稿日 2022年8月9日(火)01時27分 投稿者 柴田孔明

観測ロケットS−520−32号機は2022年8月8日の予定日に打上げ条件が整わなかったため、同年8月11日に延期となりました。予定時間帯は同じく23時00分〜24時00分(JST)です。

No.2455 :H-IIA 47号機 コア機体公開と概要説明 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年8月6日(土)20時59分 投稿者 渡部韻

2022年7月29日、三菱重工業株式会社飛島工場でH-IIA 47号機のコア機体が報道向けに公開されました。(※一部敬称を省略させていただきます)

【登壇者】

三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント
宇宙事業部 H-IIAロケット打上執行責任者
徳永 建

三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント
宇宙事業部 H-IIAプロジェクトマネージャ
矢花 純

【概要説明】

H-IIA 47号機はコア機体に固体ロケットブースター・SRB-Aが2つ付いたH-IIA 202型。衛星フェアリングは直径4mのデュアル衛視得フェアリング・4/4D-LC型(4m/4m diameter Dual launch model - Long Clamshell type)を使用し、三菱重工業株式会社の打上げ輸送サービス40機目、2機衛星同時打上げは40号機(2018年10月)以来4.5年ぶり4機目になります。打上げ時期は現在調整中です。

高さ10mのフェアリング上部側には質量約2.3トンのJAXAのX線分光撮像衛星・XRISM(製造:日本電気株式会社)が搭載され、地球低軌道へ投入されます。また高さ6mのフェアリング下部側には質量約7005kgで同じくJAXAの小型月着陸実証機SLIM(製造:三菱電機株式会社)が搭載され、こちらは月周回遷移軌道へ投入されます。

なおXRISMには三菱重工業株式会社(MHI)製のX線CCDカメラが搭載され、またSLIMにもMHI長崎地区で製造されたセラミックスラスタと、燃料・酸化剤一体型タンクが搭載されます。

種子島から打上げられた47号機は、打上げ4分10秒後に上部衛星フェアリングを分離し、第二段の第一回燃焼を終えた14分23秒後に高度579kmでXRISMを分離、その後17分53秒後に下部衛星フェアリングのアダプタ部(上部衛星フェアリング内のXRISMが搭載されていた部分)を、続く17分58秒後に下部衛星フェアリングのシリンダ部(SLIMを囲っていた円筒部分)を分離し、第二段第二回燃焼終了後の打上げ後44分2秒に高度617kmでSLIMを分離します。

8月3日に飛島工場を出荷されたコア機体は8月7日〜8日にかけて射場へ搬入され、大型ロケット組立棟で整備されます。なお固体ロケットブースターはIHIエアロスペース富岡工場にて製造中、衛星フェアリングはIHI播磨工場で製造中です。

【質疑応答】

◆XRISMとSLIMの役割は(日経BP)

詳細なミッションについてはJAXAに問い合わせていただきたいが、概要的にはXRISMは宇宙で飛んでくるX線を観測し宇宙の成り立ち等を調べ、SLIMは月面に着陸する実証を目的としていると伺っている。(徳永)

◆ウクライナ危機等を踏まえた宇宙ビジネス全体の事業環境について(日経新聞)

事業環境については個別にまた別の機会にお答えさせていただきたいが、現状においては打上げの引き合いなど幾つかいただいている。(徳永)

◆今回のロケットにかかった開発費用は(日経BP)

H-IIAロケットの開発はJAXAにおいて完了していて、その移転を受けて現在は打上げをビジネスとして行っている。(徳永)

◆今回のロケットの価格は(日経BP)

個別の契約情報になるので価格については控えさせていただきたい。(徳永)

◆47号機のここまでの仕上がりと打上げへの抱負(朝日新聞)

ここまで大きなトラブル、不適合もなく順調に製作を完了した。この後種子島の射場の中で少し長い期間保管する為、途中の状況をしっかり確認しつつ、機体の健全性をモニタしながら打上げに臨みたい。(徳永)

◆二つの宇宙機を地球低軌道と月周回遷移軌道に投入するのに伴い何か特別な点はあるのか(宇宙作家クラブ)

二段側が47号機に適応する形態となっている。これは新しく何かを開発したというよりは従来の機体形態の中からの組み合わせで、たとえば第二段の第二回燃焼時に推進薬タンクを再加圧するための気蓄器を追加で搭載したり、姿勢制御装置の燃料を多くしている。また月周回遷移軌道に機体を投入する際、いつもの地上局だけではリンクが取れないので、TDRSとの通信装置を搭載している。(徳永)

◆推力立ち上がりと点火の違いは(東京とびもの学会)

エンジンの推力で機体に生じた加速度が検知され、ある閾値を超えたタイミングが推力立ち上がり(徳永)

◆推力立ち上がりの時刻は(東京とびもの学会)

機体の搭載コンピュータで検知されたタイミング(徳永)

◆主要シーケンスにおける「燃焼開始」と「推力立ち上がり」の使い分けは(宇宙作家クラブ)

その時刻を基準に各種制御を始めるなど推力立ち上がりは重要なタイミングなので主要シーケンスではよく取り上げられるが、大きく使い分けて示しているわけではない。(徳永)

◆H-IIAは50号機まで予定されているが、これだけの実績のは世界的にどういう位置付けなのか(日経BP)

世界で見ると我々のH-IIAロケットはそれほど多くはない。(徳永)

◆H-IIAは45号機までで39機連続成功で正しいか(中日新聞)

H-IIAとしては39機。(徳永)

◆39回連続成功、2018年から4.5年ぶりの2機同時打上げに対する意気込み(中日新聞)

47号機は2機相乗り・異なる軌道への衛星投入ということで慎重かつ確実に打上げていきたい。(徳永)

◆今回の打上げでTDRSを使うのは位置による制約なのか、高度による制約なのか(鳥嶋)

SLIM分離のタイミングで対応する地上局がないのでTDRSを使用する。(徳永)

◆TDRSの使用はNASAに発注する、許可を求めるのか。(鳥嶋)

NASAと調整する(徳永)

◆NASAの衛星による使用で一時的にTDRSが使えなくなり打上げが遅れる、等の制約はあるのか(鳥嶋)

調整の中の話だと思う。現状では干渉があって制約になるといった情報は無いが、具体的な打上げ時期が決まった時点で調整はあると思う。(徳永)

◆TDRSの使用に金銭的なやるとりは発生するのか(鳥嶋)

確認して後ほど回答する(徳永)

◆過去のTDRS使用例は(鳥嶋)

最近では火星探査機・EMMを打上げた42号機でもTDRSを使用している。(徳永)


No.2453 :観測ロケットS−520−RD1の打上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月26日(火)23時54分 投稿者 柴田孔明

観測ロケットS−520−RD1の打上げ。


No.2452 :観測ロケットS−520−RD1打上げ後実験報告 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月26日(火)23時52分 投稿者 柴田孔明

 観測ロケットS−520−RD1は2022年7月24日午前5時00分00秒(JST)に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。同日午前9時より計器センターの記者会見室で実験報告が行われています。
(※一部敬称を省略させていただきます。また一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました)

・登壇者
JAXA研究開発部門 超音速燃焼飛行試験チーム長 谷 香一郎

・観測ロケットS−520−RD1の打上げ結果について
 ・国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年7月24日(日)に「極超音速飛行に向けた流体・燃焼の基礎的研究」の一環として、観測ロケットS−520−RD1を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。
 ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下しました。

 ・ロケット飛翔結果
 打上げ時刻:5時00分00秒(日本標準時)
 発射上下角:78.0度
 最高到達高度:168km(打上げ206秒後) ※少し高めになった。
 着水時刻:打上げ412秒後
 天候は晴れ、西南西の風0.7m/秒、気温23.5度C。

 今日は大変天気に恵まれまして快晴で、風も殆ど無く、我々としてはこの上ない条件での試験ということになりました。
 これをもちまして、観測ロケットS−520−RD1試験は終了ということになります。
 この試験ですが、多くの方にご協力をいただきまして実現することができました。この場を借りまして御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

・質疑応答
MBC・降下中の速度が予定のマッハ5.5に達したのか、何秒間燃焼したか、予定通りのデータが測定できたか。
谷・その点につきましては現在解析中でございます。ここで確たることは申し上げることはできませんが、少なくとも我々が予定しておりました温度・圧力・熱流速・乱れ計測は一通りできました。その上で電波を受けまして手元にデータが揃っている状態です。ただ今皆さんに解析をやっていただいており、この場で数字を申し上げるのは差し控えたいと思います。

MBC・マッハ5.5は達成したのか。
谷・一般的な話としまして、今回は高度168kmに達しております。この状態ですと、少なくともマッハ5.5に達しているはずです。その点につきましてはまだ確定はしておりません。確定した後に発表したいと思います。

MBC・表現の問題ですが、今の段階ではマッハ5.5に達したとみられるというもので良いか。
谷・そうですね。
広報・詳細なデータは解析中で、その前提として一般的にこの高度に達していればその速度まで達しているだろうということになります。

NHK・この上ない条件で打ち上げたとの話だったが、データは解析中だが実験としては成功か。今回の実験を受けての率直な感想をお聞きしたい。
谷・実験としては所定のデータがとれた。我々が当初想定していたものは全てとれておりますので、その意味では一定の成功を収められたと思います。実際どういう数値になるかをはっきりさせて初めて成功かどうかが判る。まだ解析中でございますので、まず保留とさせていただきますが、今回は非常に条件の良いところの試験となりまして、想定していたデータが全てとれて、私としては大変ほっとしているという状況です。

東京とびもの学会・旧NALからおよそ40年に渡りラムジェットの開発をしてきたが、今回風洞を出て実際に空を飛んだと思うが、その感想と将来への意義をお聞きしたい。
谷・40年は確かに長かったというのが率直な感想です。就職した頃からずっとラム・スクラムジェットの開発を続けてまいりました。飛行試験というのは端的にエンジンで空を飛ぶということでございますので、昔から検討しては立ち消えになってきましたが、今回はエンジンとまでは言えないが超音速の燃焼を飛行しながら達成したということで大変嬉しく思っています。今回のこのデータを使いまして風洞のデータを補正するためのツールを作るということでございますが、今回の経験の中で、飛ばすための技術を磨くことができたのは、将来の飛行試験に繋がっていくと思っています。

東京とびもの学会・今回は推力を発生させることではなく、燃焼させることが目的なのでエンジンではないということか。
谷・その通りです。

時事通信・細かい数字はまだだが、いつ頃出るのか。今日中か。
谷・申し訳ないがもう少しかかると思います。今出ているのは生のデータでございますので、これをさらに加工して調べ直して、それぞれのデータを突き合わせることが必用になります。それがいつかというのはここでは即答できません。

時事通信・サクセスクライテリアの条件を満たしたか満たしていないかはどうか。
谷・数字が確定しないとできない。

南日本新聞・最高到達高度168kmへの到達時間と、何分後にどこに落ちたか。
谷・配付資料に168kmへの到達は206秒後と書いてあります。これが打ち上げ後の時間となります。着水が412秒となります。大体全体の半分くらいで最高到達高度に達するというものでございます。

南日本新聞・着水したものの回収方法はどういったものか。
谷・私個人としてはぜひ回収したいが、海に沈んで太平洋の藻屑でございます。

NVS・今回の供試体は風洞実験で使っている物のスケールモデルなのか、またインテークの大きさを変えるなど能動的なものはあったか。
谷・今回のRD1の中に入っている燃焼器は、角田にありますラムジェットエンジンの試験設備で全く同じスケールのものを試験する予定です。概ね地上の風洞で試験できる最大クラスのものを今回飛ばしたというものです。インテークの可変は無く、今回はマッハ5.5で固定した速度での試験で、それに合わせてデザインされている。固定形状の空気圧縮をする部分を付けています。

時事通信・燃焼時間も確定していないのか。
谷・どのくらいの時間を燃焼継続できたかは解析中です。燃料は余分に積んでいないので10秒以内。その中でどれくらい燃えていたかは現在解析中です。速度と圧力が合うのはせいぜい6秒くらいのはずだが、それが達成されたかどうかは解析中です。

MBC・今回の結果を受けて、スクラムジェットエンジンの実用化に向けてという面ではどう進めていきたいか。
谷・今回の目的は風洞のデータを作るということでした。今回そのために燃焼器も設計いたしました。この燃焼器の設計技術というのは、今回飛んだ状態で検証できた。これは大きな一歩だったと思っています。この技術をベースにして今度は本当にエンジンとして機能するものを作って飛行実証をやりたいと考えています。まずはそこが第一歩。その次の段階で機体と合わせての試験となりますが、そこまではなかなか青写真が描けていないという状況です。

MBC・日本の宇宙開発という視点で見ると、どういった一歩になったと見ているか。
谷・私としてそう評価していただけると自負しております。

NHK・実用化はいつ頃が可能なのか。
谷・実用というのはなかなか定義しにくいが、我々が想定しているペースで行きますと、ある種のミッション、例えば小さな衛星を軌道に上げるミッションは2040年代を想定しています。それまでの間にまずエンジンを作り上げる、それから機体と合わせた試験を行う、その後くらいにミッションをつけた何かをやる、そのペースだと2040年代かなという感じです。

NHK・打ち上げ自体は成功という表現で良いか。
谷・我々の予定した軌道を通ってくれましたので、これは成功だったと考えています。

NHK・防衛装備庁に採択された研究ということで、防衛や安全保障へのデータ提供の懸念も出てくるが、それについてどう考えているか。
谷・我々のこの研究はもともと基礎基盤というもので進めています。JAXA法の中でも基盤研究をすると定義されてございます。今回、装備庁さんからお金はいただいているか、趣旨は先進的な技術を磨こうということでございまして、ちょうど合致すると考えて応募したものでございます。我々としてはこの基礎基盤の研究をさらに発展させて、宇宙輸送に繋げるというのが考え方でございまして、そこに則ってやっていくということでございます。

NHK・防衛装備庁の公式Twitterで極超音速誘導弾など将来の防衛分野での活用が期待できるとのコメントを載せているので、よりその懸念が出てくると考えるが、その点についてはどう思われるか。
谷・私個人としてはJAXAのやるべき道を進むだけと考えています。この技術を将来の宇宙輸送に使うと考えています。それ以上のことははっきりとは申せない。
広報・防衛装備庁さんの考えについては、そちらでお聞き願います。

NVS・ラムライン姿勢で姿勢を回頭させたあと、分離後に供試体で姿勢制御はされていたのか。また今回のスクラムジェットは最初から超音速での燃焼となるが、物性的に何か特徴があるか。
谷・ラムライン後は全く何も制御していません。ラムラインで最終的に試験をするときの姿勢を予測しておいて、ラムラインで適切な姿勢に持ち込むという制御だけをしています。超音速燃焼は台風の中で火を点けるようなものです。高速の中で火を点けて維持する、これが非常に難しい技術でございます。物性というよりもそこがまず難しい技術で、それをどのように実現するか、これは燃焼器の形などを工夫しまして実現している状況です。

NVS同・姿勢制御について、スピンさせるのか、分離直前に制止させるのか。
谷・まず頭が上を向いた状態で上がっていく。ラムラインは側面に穴が開いていて、ここからガスを吹きます。するとだんだんとお尻が上がっていきまして、最終的には頭が下になる。これがラムラインの制御になります。従来は衛星を軌道に入れる際に水平の状態にもっていくための技術でしたが、今回は降下させながら試験をするため非常に回頭量を多くしています。ここが今回の新しい技術のひとつであります。

NVS・分離時にロールはしていないのか。
谷・S−520というロケットはスピン安定で、1.6Hz(1秒間に1.6回)の回転をする規格になっています。この回転をすることで飛行の安定を得ております。そのためラムラインは間欠的に吹くということをしております。丁度良い角度に来たときだけガスを吹きまして、それにより所定の方向に回頭させるようになっています。

NVS・分離時も1.6Hzで回転していたのか。
谷・そうです。

時事通信・最高到達高度が想定(160km)より高い(168km)が、ちょっと高い程度なのか。
谷・今日は風が殆ど無かったが、多少調整して最終的にこの高度になった。

東京とびもの学会・一般席で打ち上げを見守っていた方々へ何か一言をお願いします。
谷・少し恥ずかしいが、宇宙開発は何と言っても夢を与えるものだと考えております。実用もさることながら、将来に繋がる、次の世代に繋がる子供達に夢を与えられるということは、私としても非常に嬉しいことですし、それが例えばラムやスクラムのような更に新しい技術を理解していだけるとしたらさらに嬉しいと思っています。最近は理系離れと言われていますが、こういう打ち上げをご覧いただいて理系に進んでほしいというのも個人的な希望でございます。

不明・今回の打ち上げの世界位置付けはどうか。
谷・エンジンの試験ではなかったが、日本としても超音速の燃焼を実際に飛んで達成することができたのは大きな成果だった。特に国内で実現できたのが大きかった。日本の技術力を総合しまして超音速燃焼を飛行中に達成できたのは大きな成果でして、インドより遅れましたがその次くらいに達成できたのが良かった点だと思っています。

不明・超音速で飛行中に燃焼を達成したのは国内初か。
谷・そうです。

不明・世界ではどういった位置付けか。
谷・超音速で燃焼を行って実際にエンジンとして稼働しているのはアメリカです。X−43あるいはX−51Aという機体を使いまして実際に空を飛んでいるのがアメリカの実力です。それ以外ですと、オーストラリアはハイショット、ハイファイアという試験機を作っていまして、これは我々がやりましたようにロケットの先端に供試体を載せて試験をしています。インドはロケットの脇腹にエンジンの模型をつけて試験をしたという実績がございます。いずれも超音速で燃焼を達成している。日本でもこれと同じ試験が出来たと考えています。

以上です。


No.2451 :観測ロケットS−520−RD1の試験機器部分 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月26日(火)13時22分 投稿者 柴田孔明

S−520−RD1の供試体(ノーズコーン内)と共通機器部、ラムライン制御部。
継手部分にカバーがしてあります。


No.2450 :観測ロケットS−520−RD1号機の機体公開と概要説明 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月26日(火)13時18分 投稿者 柴田孔明

 2022年7月23日朝に内之浦宇宙空間観測所で行われた観測ロケットS−520−RD1の報道公開と概要説明です。
(※一部敬称を省略させていただきます。また一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました)

・登壇者
JAXA研究開発部門 超音速燃焼飛行試験チーム長 谷 香一郎

・概要説明
 ・S−520−RD1は、観測ロケットS−520の1段部分と飛行試験用の供試体で構成される。
 ・打上げによって供試体は高度約160kmに達した後、降下中に極超音速(マッハ数約5.5)で飛行する。飛行中に空力加熱と血用音速燃焼に関するデータの取得を行う。
 ・本研究は防衛装備庁安全保障技術研究推進制度にて平成29年度に採択された委託研究「極超音速飛行に向けた、流体・燃焼の基盤的研究」を受けたものである。
 (※当初5年の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開発が遅れて打上げが多少延びている)

 ・S−520−RD1打上げの背景。
  ・JAXAにおける極超音速機の研究。
   ・JAXAにおいて極超音速(音速の5〜6倍以上の速度)でも使用可能な空気吸い込みエンジン(スクラムジェットエンジン)の実現に向け、主に極超音速環境を作る風洞を用いた試作試験による研究開発を実施中である。
    ロケットエンジンが搭載した酸素と燃料を燃焼させるのに対し、大気中の酸素と搭載した燃料を燃焼させるエンジンを「空気吸い込みエンジン」と称する。このエンジンを使い、搭載不要となった酸素の代わりにより多くの貨物を搭載できることから、将来の宇宙往還機や大陸間高速輸送機への適用が期待されている。
   ・JAXA角田宇宙センターにあるラムジェットエンジン試験設備は、極超音速気流中で作動する空気吸い込みエンジンを試験するため、実際の飛行状態に相当する高速気流(マッハ4、6、8相当)を作り出すことができる。

 ・S−520−RD1の目的
  ・将来の宇宙輸送システムへの適用を目指す極超音速機エンジン搭載機の開発において、地上試験(風洞)でのデータから計算機を用いた解析で実飛行状態の特性を予測するために作成した解析ツール(ソフトウェア)を、RD1で取得した飛行データを用いて検証し、実飛行状態と合致するよう解析ツールを調整する目的で打ち上げる。
  ・本解析ツールの構築により、実際の飛行状態を予測する精度を向上し、将来の極超音速エンジン搭載機体の開発に際し、飛行試験回数減等による開発コストの低減につなげる。

  ※地上での超音速風洞では空気を加熱している。そのとき酸素と水素を加え加熱しているが、このときに水ができてしまい、エンジンでやや燃えにくくなるという影響がある。今回は実際に飛ばしてデータを得る。また風洞でも同じ試験をして、それを比較し違いを明らかにする。その違いを補正するための数値計算ツールを開発する。風洞で試験をし、このツールを使う事で実際に飛んでいるときの性能を正しく評価できるようにするもの。


 ・S−520−RD1打上げの予定
  ・打上日時:2022年7月24日午前5時00分〜5時30分
  ・予備期間:同年7月25日〜8月31日
  ・打上げ場所:内之浦宇宙空間観測所
  ・打上方向:南東方向
  ・飛行距離:飛行供試体、ロケットとも約250km
  ・最大飛行時間:約7分
  ・試験時間:約6秒(落下時の高度30〜20kmを通過中に実施)
  ※我々は5年間試験してきたが、試験自体は6秒。この5年間を6秒に凝縮。
  (搭載機器が高温となることを避けるため、気温の低い時間帯に打上げる)
  ・S−520−RD1:全長9.15m、直径0.52m、全備重量2.6t

 ・S−520−RD1 飛行試験供試体
  ・供試体の中心は空気が流れるダクト状の構造となっている。試験中、先端開口部(インレット部)にて外気流を圧縮、高圧気流は分離部を経て矩形の燃焼器に流れ込む。同時にエチレンを燃焼器内に噴射して超音速燃焼を実現する。燃焼ガスは供試体後端より、外部に放出する。試験中は、主に燃焼器の温度、圧力を測定し、送信機から地上に向けてデータを送信する。
  ・供試体:全長1.8m、直径0.52m、重量約300kg

 ・実験体制
  ・本試験はJAXA研究開発部門にて実施する。
   実験実施責任者:研究開発部門長 佐野 久
   実験主任:研究開発部門 超音速燃焼飛行試験チーム長 谷 香一郎

 ・本研究では以下2大学へ研究再委託を実施し、成果として得られた二つの計測装置を搭載している。
  ・岡山大学:乱れ計測装置
  ・東海大学:熱流束計測装置

・質疑応答
東京とびもの学会・今回1日延期になったが、これは先に打上げ予定だった32号機で確認が必要だったためだが、共用の部分を詳しく教えてほしい。
谷・32号機は搭載していた機器に不具合がございました。射場を共用していますので、先方が確認を行う作業で1日を要したことで我々が1日ずれた。搭載機器は32号機固有のもので、我々のRD1には同じ物は搭載していません。

南日本新聞・試験時間が6秒なのはなぜか。
谷・今回は極超音速で試験をしたいが、もう一つ条件があり、ある程度空気が濃くないと燃焼がうまくいかない。その空気が濃いところを通過する秒数が約6秒。それ以下は減速してしまい極超音速の試験ができない。その兼ね合いで6秒間となります。

南日本新聞・その6秒間はずっとマッハ5.5なのか。
谷・その通りです。

南日本新聞・供試体では加速しないのか。
谷・燃やすので若干圧力は上がるが、それを使って加速する部分がない。ほぼ自由落下です。

MBC・今回の実験が国内初とあるが、スクラムジェットエンジンの実験が国内初なのか、極超音速が国内初なのか。
谷・極超音速で落ちてくるという意味では、これまでハイフレックスという機体がございましたが、これは落ちてくるだけです。エンジンのような燃焼を伴うものは今回が国内初となります。
(※ハイフレックス(HYFLEX):Hypersonic Flight Experiment:1996年2月12日に種子島宇宙センターからJ-Iロケットで打ち上げられた。JAXAのHPより抜粋)

MBC・スクラムジェットエンジンの実験が国内初なのか。
谷・スクラム燃焼と言った方が正しいと思います。エンジンではなく燃焼試験を行っているという意味です。エンジンならば本来は推力となるが、そこまで踏み込んだものではない。

MBC・防衛装備庁から委託を受けた実験ということか。
谷・そうですね、受託をした試験ということになります。

MBC・打ち上げ実験の中で、JAXAとしてやりたい実験と、防衛装備庁から受託したものは重なっているのか。
谷・防衛装備庁さんの安全保障技術研究推進制度というのは基礎基盤の研究を行うためのものです。我々も風洞での課題を解決するという、まさに基礎基盤である。基礎基盤の技術を伸ばして、我々としてはこの先、宇宙往還機などに繋げていきたい。

MBC・国内初に至るここまでの歴史と、今後の実用化について。
谷・我々はスクラムジェットエンジンやラムジェットエンジンを実用化したいというものがございまして、その前段階として風洞での実験が正しいかが大きな課題になります。そこでまずここをターゲットにした。この技術を使い、今後開発するエンジンを正しく評価して飛行試験に結びつけていくと考えています。

読売新聞・供試体が約1.8mと書いてあるが、配付資料の写真で人との対比ではそう見えない。もっと大きく見える。
谷・写真の後ろの人物は少し離れています。また正確には1.75mです。

読売新聞・供試体という言葉は難しいが、実用化するとどこの部分になるのか。
谷・どこにという物ではございませんで、実験模型と言った方が判りやすいかもしれません。空気が流れる筒を積んでいて、その中で実験をするものです。その実験をするためのガワが作られたというイメージとなります。

読売新聞・風洞実験の機器を実際に飛ばしてみるということか。
谷・そうです。そのイメージが近いと思います。

読売新聞・風洞実験とどれくらい違うかを調べるということか。
谷・そうです。

読売新聞・風洞実験が正しいとなった場合、どれくらいで実用化するか。
谷・今は大体いいところまで来ている。10年くらいでエンジンとしてのシステムはほぼ完成する。機体に取り付けての試験となるが、これについては年数を申し上げられるところまでは来ていない。

読売新聞・防衛装備庁の委託研究というのは、防衛装備庁がこういう研究をしてくださいと指示しているものではなく、基礎研究で有効なものについて費用を支援するもので、JAXAからこういった実験がしたいと提案して採択されたという流れなのか。
谷・そうです。

時事通信・発射して供試体が海に落下するまでが約7分ということか。
谷・そうです。

NHK・発射からどれくらいで実験を行うのか。
谷・これは当日の風の状況、打ち上げ角度により少し変わる。発射からおよそ300〜350秒のところ。

NHK・ラムライン制御部が分離してすぐか。
谷。分離時にはそれほどスピードが出ていません。マッハ1.5くらいです。そこから落ちていく際に加速して高度30キロにさしかかったところで大体マッハ5.5になる。

NHK・ラムライン制御部分離後、少し落ちてからとなるか。
谷・イメージとしてはそうなります。

以上です。


No.2449 :観測ロケットS−520−32号機の打ち上げ日再設定について
投稿日 2022年7月25日(月)15時01分 投稿者 柴田孔明

観測ロケットS−520−32号機の打上げ予定日は2022年8月8日(月)23:00(※打ち上げ可能時間帯23:00〜24:00(いずれもJST))となりました。

No.2448 :観測ロケットS−520−RD1の打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月24日(日)11時49分 投稿者 柴田孔明

観測ロケットS−520−RD1は2022年7月24日午前5時00分00秒(JST)に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。


No.2447 :観測ロケットS−520−RD1号機の機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月23日(土)19時31分 投稿者 柴田孔明

2022年7月23日朝に観測ロケットS−520−RD1号機の報道公開が行われました。


No.2446 :S-520-RD1打ち上げについて
投稿日 2022年7月20日(水)01時01分 投稿者 柴田孔明

観測ロケットS-520-RD1の打ち上げは2022年7月24日に変更されています。(2022/07/13発表)

No.2445 :打ち上げ延期について
投稿日 2022年7月12日(火)11時19分 投稿者 柴田孔明

 観測ロケットS-520-32号機ですが、搭載観測機器の技術的に確認すべき事象について原因究明に時間を要するとのことで7月17日までの打ち上げは行わず、次に予定されているS-520-RD1号機を先に打ち上げてからとなりました。また、S-520-32号機の次の打ち上げ可能時期は月齢の関係で8月8日〜8月17日となっています。
 なおS-520-RD1は2022年7月23日の午前5:00〜5:30に打ち上げが予定されています。

No.2444 :延期
投稿日 2022年7月10日(日)14時42分 投稿者 柴田孔明

2022年7月10日に予定されていた観測ロケットS-520-32号機の打上げは、搭載観測機器に技術的に確認すべき事象が生じたため延期となりました。

No.2443 :訂正です ●添付画像ファイル
投稿日 2022年7月9日(土)22時12分 投稿者 柴田孔明

先の写真がサーバーエラーとなって違うものになりました。
こちらがJAXA提供のS−520−32号機の観測機器です。