宇宙作家クラブ
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No.2343 :H-IIAロケット41号機打ち上げ後経過記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2020年2月11日(火)12時07分 投稿者 柴田孔明

 情報収集衛星光学7号機を搭載したH-IIAロケット41号機は2020年2月9日10時34分(JST)に打ち上げられ、衛星は所定の軌道に投入されました。同日午後、竹崎展望台の記者会見室にて打ち上げ後の経過記者会見が行われています。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・H-IIAロケット打上げ経過記者会見(第1部)

・登壇者
内閣官房 内閣情報調査室 内閣衛星情報センター 所長 宮川 正
三菱重工業株式会社 執行役員 防衛・宇宙セグメント長 阿部 直彦

・側面列席者
内閣官房 内閣情報調査室 内閣衛星情報センター 企画課長  翁長 久
内閣官房 内閣情報調査室 内閣衛星情報センター 管理部付調査官 中川 尚志

・登壇者挨拶(宮川)
 本日、種子島宇宙センターから、H-IIAロケット41号機が打ち上げられ、搭載しておりました情報収集衛星光学7号機を所定の軌道に投入できました。
 今回の打ち上げに関しまして地元の皆様をはじめ関係機関のご支援ご協力に対し、この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。
 現在、光学衛星につきましては計2機を運用しておりますが、このうちの光学5号機につきましては今年の3月に設計寿命の5年を迎えます。その後継として計画的に本日の7号機を打ち上げたものであります。衛星によります情報収集体制を確実なものとし、さらに一層強化するためにも本衛星は非常に重要な衛星と考えております。今後、内閣衛星情報センターとして光学7号機の早期の運用開始に向けた所要の作業をしっかりと進めて、我が国の情報収集能力がより強固なものとなるよう全力を尽くしていく所存であります。今後ともよろしくお願いいたします。

・打ち上げ結果報告(中川)
 内閣衛星情報センター、三菱重工業株式会社及び宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから本日10時34分00秒に情報収集衛星光学7号機を搭載したH-IIAロケット41号機を予定通り打ち上げました。ロケットは計画通り飛行し、情報収集衛星光学7号機を正常に分離、所定の軌道に投入したことを確認しました。
 ロケット打ち上げ時の天候は快晴、北の風6.3m/s、気温12.3度Cでした。
 情報収集衛星光学7号機が軌道上での初期機能確認を無事終了し、所定の目的を成功裏に完遂されることを心より願っております。
 本日の打ち上げ成功でH-IIAは通算41機中40機の成功、成功率は97.56%になりました。H-IIBを併せると通算49機中48機の成功、成功率97.96%です。またH-IIA/IIB、43機連続の打ち上げ成功です。
 今回は設備配管からの漏洩で2週間ほど延期して打ち上げとなりました。打ち上げを楽しみに種子島までお越しいただいた方々や、打ち上げを応援し支援いただいている方々には、大変申し訳なく感じていましたが、本日無事打ち上げる事が出来、大変安堵しています。
 情報収集衛星としては1年半ぶりの打ち上げでした。原因は全く異なるものの、直近2回の打ち上げ延期を真摯に受け止め、次回の打ち上げに反映すべきは反映し、皆様に一層安定した打ち上げを提供できるよう、今一度心を引き締め、引き続き細心の注意と最大限の努力を傾注してまいります。今回の打ち上げに際し多くの方々にご協力ご支援いただきました。あらためて関係者の皆様に心よりお礼を申し上げるとともに、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

・質疑応答

NHK・現状で情報収集衛星7機を運用されているが、今回の衛星の運用が始まれば8機になる。これは強化されると考えて良いのか。4機体制が確立されて5年以上経つが、今後の課題や方針を教えていただきたい。
宮川・今回の光学7号機は光学5号機が設計寿命を迎えるのでその後継としたものであります。ですから結果的に8機に運用がなったとしても、我が情報収集衛星の体制が変わってくるというものではなく、一時的に光学の能力が上がるかもしれませんが、体制は引き続きこれまでと同様と考えていただいて結構です。将来に関しては、行程表で決まっております10機体制に早くなるように、引き続き情報収集衛星の体制を作ってまいりたいと思っております。

NHK・10機体制の整備はここまで順調に来ているのか。どのように進められていくのか。
宮川・当面現在の4機体制から大きく移行していくのは、令和2年度に計画しておりますデータ中継衛星というものがありますので、これが打ち上げられるということは10機体制に一歩近づいていくと考えていただいて結構です。今後ですけども時間軸多様化ということで、違った時間帯の撮像とか、このようなものが始まりますとさらに10機体制に近づいていくということを現在計画しているところであります。

南日本新聞・光学7号機は光学5号機の後継ということで、技術として解像度などが進歩しているのか。10機体制のためには設計寿命を考えると1年か2年に1機打ち上げ続けることが続くと思うが、今後も予算をかけて続けていくのか。続けていくなら必要性はどういったところにあるのか。
宮川・情報収集衛星ですので細部の性能等はお答えは控えさせていただきたいと思っております。それを前提の上で一般論的に申し上げるのであれば、やはり日々技術というものは進歩しておりますので、それに沿ったような形で情報収集衛星の方もいろんな技術等を導入しながら継続して打ち上げているとご理解いただいていいと思います。今後の整備の仕方ですが、衛星の開発は非常に長期間かかってしまいます。衛星によりますけども、5年から7年くらいかけて開発と作成をしていきますので、結果的に設計寿命を超えたとしても途切れることなく衛星の開発というものは進めていく必用があるのではないかと思っております。あと非常に高額な予算をいただいて衛星を運用している訳ですから、その結果を国民の皆様に示す必要性があるのではないかというご質問がありましたが、我々も努力を継続して図っていきたいと思っております。具体的には、これは情報収集衛星ですので収集した内容については、具体的に多くの省庁等に利用していただいておりますので、間接的にそれが政策外交等に反映され、間接的に国民の皆様のところに届いているのかなと私自身は思っております。その他情報収集衛星は大規模災害等にも活用をしておりますので、例えば昨年で言えば台風19号で4日間に渡り100枚以上を内閣官房のホームページにアップしております。そこら辺を見ていただければ非常に有効に活用していただいているのかなということもあります。今後とも止まること無くさらに国民の皆様に理解していだけるように収集したものを色々なところで活用していけたらなと思っております。

南日本放送・来年度は初のH3打ち上げが計画されているが、今回のトラブルを乗り越えた上での打ち上げ成功はどう繋がっていくか。
阿部・今回に限らず前回もそうだったが設備系のところで打ち上げが延びた。今まで我々は機体の方に目がどうしても行きがちだったが、ロケットは地上系も含めた全体で初めて打ち上がるものだということを非常に真摯に受け止めています。H3の打ち上げにおいても、地上設備も含めてトータルのシステムとしてきちんと仕上げていきたいという風に思っております。

・H-IIAロケット打上げ経過記者会見後ブリーフィング(第2部)

・登壇者
内閣官房 内閣情報調査室 内閣衛星情報センター 管理部付調査官 中川 尚志
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部長 副事業部長 打上執行責任者 田村 篤俊

・側面列席者
内閣官房 内閣情報調査室 内閣衛星情報センター 企画課長  翁長 久

・質疑応答
NVS・衛星の状況について今判っていることを教えて下さい。
中川・とりあえず今の時点で順調です。

南日本新聞・10機体制を目指すとあるが、宇宙基本計画ではまだ途中までしか出ていない。10機体制はいつごろまでに整うのか。
中川・令和8年度以降に10機体制ということで計画を進めている。

南日本新聞・令和8年以降も10機体制を維持し続けるということか。
中川・今が4機体制で、計画で10機体制になります。今ある計画は10機体制なので、確立してそれを運用していくことになると思います。

NHK・今回、点検をしていたけれども直前に長年たまった雨水による腐食が見つかったことで、点検方法の見直しについて、どういう風に見直していくのか。
田村・打ち上げ前ブリーフィングでJAXA様からありましたが、今回の不適合の原因等を見定めながら、どこが足りなかったかということで対策を講じていくことになると思います。その点につきましては私どももJAXA様と一緒になって改善をしていきたいと思っています。

NHK・設備を管理するのはJAXA、打ち上げの執行者は三菱重工ということで、そこらの責任の棲み分けをあらためる必用はあるのか。そこで問題が生じているのか。
田村・私どもとしましては、責任の所在や棲み分けに大きな問題あるとは思っておりません。設備を管理するJAXA様と、我々が使う三菱と、連携良く、コミュニケーション良くできていると考えています。

NHK・H3ロケットも控えている中で、特異的とよくおっしゃっていたが、その事象をどう受け止めて今後どう打ち上げに臨まれていくのか。
田村・地上設備が原因で2回連続で打ち上げを延ばしていることは、我々打ち上げ事業者にとっても非常に残念なことでございます。設備はH3でも使用し続けていきますので、今回の教訓といいますか糧といいますか、それをきちんと反省すべきところは反省して改善に繋げて、今後のH-IIA/B、H3に繋げていきたいと思っています。

鹿児島読売テレビ・H-IIAとBを合わせて、機体トラブルや周辺施設トラブルでの機体移動後の中止は、今回を含めて6回あったが、ここ3年間で4回と、ここ最近に集中している印象があるが、これはタイミングが悪かったのか、それともここ最近に集中している事象があるのか。
田村・最近、オンタイム打ち上げというのが機体あるいは設備が原因で出来ていない。当初の予定日から天候以外の原因で延びていることは事実だと思います。そこは、しょうがないということではなくて、今回のような事に対しても、もうちょっとどうしてなのか原因を調査しながら、きちんと次の改善に向けて取り組んでいきたいと思っています。

共同通信・今回地上設備を20箇所くらい補修をされたが、H3を控えている中で大規模修繕など問題をクリアする考えはあるか。
田村・今回のトラブルが起きた原因を、もう少しJAXAさんと突き詰めていきながら、その中で改善して、それをどうH3に活かしていくかというのを、一緒に考えていきたい。

共同通信・具体的にはこれからなのか。
田村・はい、これからです。

共同通信・2度の延期経てようやく打ち上げられて成功したが、あらためて受け止めをお願いします。
田村・第一には内閣衛星情報センターの方々の信頼と期待に、1月28日から延びてしまったが、信頼とご期待に応えられたことに心から安堵しているのが正直なところでございます。

南日本新聞・1年前の計画で42号機にデータ中継衛星を載せるとあったが、少し遅れるのか。また遅れた理由は何か。
中川・基本的には我々は計画を立てて、衛星開発には長期間かかりますが、そういったものを踏まえて計画的に開発をやっております。いろいろあってもできるだけ計画通り上げるように開発等をやっているところです。データ中継衛星については来年度の打ち上げと、当初より変更してございます。我々の全ての衛星に共通しますが、具体的な打ち上げ日が決まれば公表させていただくので、今まで通りやりたいと思います。

南日本新聞・光学7号機かデータ中継衛星の開発が遅れたのではないか。
中川・データ中継衛星については、衛星側の問題で来年度に変更致しました。

南日本新聞・どういった点で遅れたのか。技術的なのか、トラブルがあったのか。
中川・トラブルか技術的かの違いについてはなかなか説明しにくいのであまり区別せずに言うと、衛星側の問題ということでご理解いただければと思います。

NHK・オンタイム打ち上げの件で、宇宙活動法の施行や、打上サービスの移管といったところで、事前と点検のやり方などが変わったり影響したりしているのか。
田村・活動法によって点検のやり方が変わったという事はございません。

NHK・民間移管についてはどうか。
田村・そのことが原因で点検の内容が大きく変わって今回の延期に結びついたとか、そういったことでは無いと思います。

NHK・理由についてはまだ調べているということか。
田村・そうです。

NHK・基本的にはJAXAの所有する設備だと思うが、20箇所で錆が点検で見つかったというのは、打ち上げには影響ないとおっしゃっていたが、どれくらいのリスクが生じるものだったか。
田村・今回の私どもの感覚としましても、先日JAXA様が話された20箇所の補修箇所が、すぐさま延期に繋がるレベルでは無いというのは同じ意見でございます。

以上です。


No.2342 :H-IIAロケット41号機の打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2020年2月9日(日)10時53分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット41号機は2020年2月9日10時34分に種子島宇宙センターから打ち上げられました。


No.2341 :H-IIAF41 3回目判断もGo
投稿日 2020年2月9日(日)08時37分 投稿者 柴田孔明

2020年02月09日 09時30分頃に連絡があり、H-IIAロケット41号機の第3回Go/NoGo判断会議の結果はGoです。最終(X-60分)作業開始可と判断されました。

(※上の投稿日と時間は、自動的に記載されるサーバー内時間のため、実際の投稿時間と異なります)

No.2339 :H-IIAF41第2回判断
投稿日 2020年2月9日(日)00時03分 投稿者 柴田孔明

2020年2月9日1時前頃に連絡がありました。H-IIAロケット41号機の第2回Go/NoGo判断会議の結果はGoです。ターミナルカウントダウン作業開始可となりました。

(※上の投稿日と時間は、自動的に記載されるサーバー内時間のため、実際の投稿時間と異なる場合があります)

No.2338 :H-IIAロケット41号機の機体移動(2回目) ●添付画像ファイル
投稿日 2020年2月8日(土)22時08分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット41号機の機体移動が2020年02月08日の20:30〜20:54(JST)にかけて行われました。


No.2337 :H-IIAF41第1回判断会議の結果
投稿日 2020年2月8日(土)16時14分 投稿者 柴田孔明

2020年2月8日17時11分頃に連絡があり、H-IIAロケット41号機の第1回Go/NoGo判断会議の結果はGoと判断されました。機体移動作業開始可です。
機体移動開始時刻については非公開のため不明です。


(※上の投稿時間は、自動的に記載されるサーバー内時間のため、実際の投稿時間と異なる場合があります。最近は+1時間すると実際の時間と合うようです)

No.2336 :H-IIAF41打ち上げ前プレスブリーフィング(2回目) ●添付画像ファイル
投稿日 2020年2月8日(土)08時21分 投稿者 柴田孔明

 施設配管の損傷で打ち上げが延期されていたH-IIAロケット41号機は、損傷箇所の修理を行った結果、2020年2月9日に打ち上げを行うことになりました。これを受けて2020年2月7日午後より、打ち上げ前のプレスブリーフィングが行われています。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
宇宙航空研究開発機構 射場技術開発ユニット 技術領域主幹 西平 慎太郎
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 MILSET長 鈴木 啓司

・H-IIAロケット41号機による情報収集衛星光学7号機の打ち上げ時間帯について
 情報収集衛星光学7号機を搭載したH-IIAロケット41号機の打ち上げについて、下記のとおりお知らせいたします。

 打ち上げ日 : 2020年2月9日(日)
 打ち上げ時刻: 10時34分(日本標準時)
 打ち上げ時間帯: 10時34分〜10時39分(日本標準時)
 打ち上げ予備期間: 2020年2月10日(月)〜2020年2月29日(土)

・作業実績と今後の作業予定(ロケット系)

 1月27日(月):
 20時55分・ロケットを射点へ移動完了
 22時00分頃・機体空調設備系統において所定の圧力に達する前に支援機械棟近くでガス流れ音を確認。空調用の配管が損傷し、流出した窒素ガス音によるものであることを確認。
 23時15分・当日の作業継続が不可能なことから打ち上げを中止した。
 1月28日(火):
 04時22分・ロケットを大型ロケット組立棟へ返送完了。

 〜2月4日(火):
 ・当該損傷部の修理および地上設備の再点検と対策処置完了。
 ・機体健全性確認のための点検を継続して完了。

 2月5日(水):再Y−1作業(完了)
  ・電波系統点検
  ・推進系最終クローズアウト
  ・機体アーミング
  ・機構系/アンビリカル離脱系最終準備
  ・射点/貯蔵所系設備準備

 2月8日(土)〜9日(日):再Y−0作業(予定) 
  ・機体移動
  ・射点設備系最終準備
  ・ターミナル・カウントダウン

  ※制約条件などは変更無し。

・気象情報について

 機体移動と打ち上げ時間帯は概ね良い天気が予想され、打ち上げと関連作業の支障になる気象予想は無い。

・配管損傷不適合と対策について
 1.発生事象
  H-IIA・F41号機の機体移動後、高圧ガス供給設備(HGS)からフェアリングアダプタ空調系統、SRB−A空調系統へ窒素ガスを供給する空調設備の配管が、支援機械棟(LB)入口部で損傷し、打ち上げ中止に至った。

 2.原因と対策
  損傷個所は、当該配管が建物に入る壁貫通部(外壁側)である。壁貫通穴と配管の隙間に塩分を含んだ雨水が保持され、配管表面に接触する状態が続き、配管の外側から腐食が進行したものと考えられる。
  損傷箇所を含む、当該配管を新品に交換し、試験により当該系統の健全性を確認した。

 3.水平展開
  今回の配管損傷事象の特徴を踏まえ、屋外の全ての配管及び電気ケーブルを対象とし、外観点検等を行い、一部について予防的な補修及び健全性の確認を実施した。

・質疑応答
鹿児島テレビ・腐食の原因は老朽化なのか。資料の補修箇所の例は別の箇所か。
西平・老朽化というと設備全体が長年かけて古くなった印象を与えるが、この設備全体で見ますと、この配管の手前の部分は非常に綺麗な状態で残っています。ですので推定原因としては、ここにだけ雨水が長年保持されてしまったことが原因で、ここだけが腐食が進んでしまったと考えてございますので、全体の老朽化ではなく、この部分に特異的に起こった事象であると捉えています。資料の例は水系統の配管です。今回不具合が起こったのは窒素ガスの供給系統の配管で別の場所です。

鹿児島テレビ・グレーチングとは排水口の上にある網目状のものか。ここから配管は確認できるか。
西平・おっしゃるとおり網目状のもので人がその上を歩けるものです。上から配管の様子は確認できます。

南日本放送・配管を交換した範囲。HGSまで全て交換したのか。損傷して交換した部分に、雨水が滴り落ちないような対策はしたのか。
西平・交換範囲は建物の内部で配管を繋ぐフランジ部と、外で配管を繋ぐフランジの間の1本を新品に交換した。雨水に対しては、新しい配管に交換した後、壁と配管の間をコーキングで塞いだ。

南日本放送・コーキングとは何か。
西平・樹脂製のもので配管の周囲を埋めていると考えていただければ。

南日本新聞・損傷箇所を最後に目視した時期。全調査して、何カ所に損傷があったか。
西平・最後に確認した時期は確認して別途回答します。少なくとも41号機の発射整備作業に入ってから確認しています。水平展開で他に補修した箇所は、あくまで予防的な補修ということで、水系統の配管、空調系統の配管など、合わせて20箇所程度の錆の除去や塗装をしています。いずれも打ち上げに影響がないと判断していたが念のための予防措置ということで実施しています。

南日本新聞・20箇所は特にどの部分に集中していたか。
西平・水系統、空調系統で半分以上を占めています。

南日本新聞・2月2日に取り替えたのか。
西平・2日に試験をやって確認したということです。配管交換は2月1日です。

NHK・試験はどういったものか。
西平・ガスを流す送風試験をしています。

NHK・先日のリリースでは修理したとあるが、交換でいいか。
西平・交換という修理です。

NHK・交換した配管の長さ。
西平・約2.7mです。

NHK・今回の交換や修理の費用はJAXAの負担か。
西平・我々の管理している設備ですので、そういったことになるかと思いますが、現時点でまずは修理と、他の設備の健全性を確認するということで、打ち上げに向けた作業を優先して行ってまいります。今後協議してそこは決めていくことになると思います。

NHK・責任はJAXAになるのか。
西平・まずはJAXAが対処するべきことであると考えています。

NHK・耐用年数を超えていた件について、影響は無かったのか。
西平・耐用年数の意味をもう少し正確にお伝えすると、我々が地上設備の開発整備をするときには、適切にメンテナンスをすることで15年以上使えるものを整備しています。この設備を30年使ってきて、この部分は損傷が起きたが、他の部分は健全に運用できている状態でございます。耐用年数の意味で言うと使用の上限に思えるが、上限を定めているものではなく、15年以上使える物を適切にメンテして、30年間健全に使って来ている、というのが我々の正しい捉え方でございます。

NHK・今後もこの施設を一新する必要は無く使い続けることができるのか。
西平・大事なのは適切にメンテナンスすることだと思っていますので、健全な部分を新品にする必要は無いと思っておりまして、このまま使い続けることができると考えています。

NHK・5センチの穴が開いたことをどう受け止めているか。
西平・事象だけ捉えると、配管に5センチの穴が開くのは大きな事象かなと捉えています。こういった壁の内部から腐食していったことで確認が困難だったところはあると思っていますので、こういったことの無いようにしていくことが、今回の事例を受けた今後のメンテナンスの仕方に繋がるものだと思っています。そこは関係者一同、真摯に取り組んでいきたいという風に考えています。

NHK・点検は5月にJAXAが、12月に三菱重工が行ったが、その時は目視はされていなかったのか。
西平・外観の確認はしています。高圧ガスの設備でございますので日常的にしているのが基本です。今回の事例を踏まえた点検の仕方は見直していく必用がある。

南日本新聞・原因箇所の調査はどこで行ったか。穴が開くメカニズムだが、いったん圧が立ったということで、窒素ガスを送り込んだことで内側から破裂したのか。
西平・当該配管が損傷に至るメカニズムの仮定の中で、三菱重工さんの研究所にご協力いただきまして、材料分析を実施していただいてございます。その結果として推定原因の中にありますように塩分を含んだ雨水の保持が原因であると特定されるということで説明させていただきました。配管については、壁の貫通部で見えない部分から腐食が進行していったと考えられます。腐食が進行することで配管の肉厚が薄くなっていって、今回41号機で打ち上げに向けて準備する際に窒素ガスを供給する際の昇圧の圧力で当該配管の薄くなった部分が破損したという風にメカニズムとして考えられます。

南日本新聞・最初に少し穴が開いていて、窒素ガスを送り込んだことで大きな穴が開いたのか。
西平・最初に穴が開いていたかは現時点においてはわからないが、健全であると確認しているので開いていなかったと我々は考えています。薄くなったところに高い圧力のガスが流れ込んできたことで破損したというメカニズムだと考えています。

共同通信社・今回と同じように配管と壁貫通部で雨水が保持されている部分が他にもあって、同様の措置をされているのか。
西平・建屋を配管が貫通している場所はこの部分しかございません。写真の破損した配管と、太い配管、細い配管の3箇所のみでございます。

共同通信社・他の2箇所は予防的な補修をされているのか。
西平・他の2箇所は健全な状態で残っています。予防的な補修も不要という評価も完了しています。3箇所のうち1箇所だけが特異な条件で不具合になってしまったという事でございます。

共同通信社・高圧ガス供給設備からの接合部も同様なのか。
西平・ここには壁を貫通している箇所はございませんので対象とはなっていません。

共同通信社・支援機械棟の役割は何か。
西平・ロケットに供給する空調の流量と温度などを制御して供給する役割を持っています。

朝日新聞・屋外の全ての配管と電気ケーブルを点検したとあるが、全体としてどれくらいの長さ、規模感なのか。
西平・配管全体での長さのお答えは非常に難しい。水の系統、空調の系統、液体水素や液体酸素の推進薬を送る系統、油圧系の配管の系統、電気関係のケーブルと、種類で言うとこういったもの全てを点検したということでございます。

朝日新聞・大体どれくらいか。
西平・今ここで数字で長さをお答えするのは難しい。

朝日新聞・予備的な補修は錆がある部分に対してなのか。
西平・その理解で結構でございます。錆のある部分、溶接部とかそういう所について、目視、触診、肉厚の測定等をしまして、予備的な補修を行ったという事でございます。

朝日新聞・予備的な補修を行ったところは、定期点検や直前の点検などでは異常ととらえていなかったのか。
西平・もともと打ち上げには影響が無いという評価でございました。今回の事象を踏まえて手を加えたのは、念のためということでございますので、予備的な補修をしたという事でございます。

読売新聞・予備的な補修をしたところは、具体的にどういった補修をしたのか。
西平・錆のある部分は、錆を落とす必要がありますので、グラインダー等で配管の表面を削り、錆の無くなるまで下地を削って、また錆が発生しないように塗装するのが基本的な補修方法でございます。

読売新聞・今回は内側に腐食がまわって破損したと思うが、配管の内側は目視では判らないのではないか。
西平・その辺は肉厚の測定をしたり、水を流したりしていますので機能の確認をしたりして問題無いことを確認しています。

読売新聞・肉厚の測定は超音波検査などと思うが、全てを行うのは時間がかかってできないと思うが、表面に錆のあるところだけ検査をしたということか。
西平・その通りでございます。

読売新聞・肉厚が実際どうなっているか他の配管では確認できていると言えるのか。
西平・錆の起きている箇所が腐食していると考えるべきでございます。錆のある部分で肉厚を確認して、そこを手当てするというのが予防的補修の第一の考えと思っています。

読売新聞・内側から錆びると表面に錆が出るとは限らないと思うが、点検方法を再検討する予定はあるか。
西平・内側からの錆は考えづらいものであります。まずは外側を手当てするのが基本でございます。

毎日新聞・建屋を貫通している配管が3箇所で2箇所が健全とのことだが、何故この箇所が腐食したのか。
西平・雨水がたれたところで配管と壁の貫通部の間の隙間に保護材が巻いてございます。通常であれば雨水は下に流れたり、時間が経てば乾燥したりするが、保護材の部分に雨水が保持されて長年かけて壁の貫通部の見えないところから腐食が進行したという風に考えています。

産経新聞・雨水が塩分を含むというのは海からの潮風が付着したのか。
西平・場所柄そういった立地環境でございますので、滴る雨には何かしら塩分が建物についていたものだったり、大気中に含まれていたものだったり、混じり込んで滴ってくると考えて考えていただいて結構です。

産経新聞・今回の原因は塩害というくくりで良いか。
西平・海に近い立地でそういったことを意識してメンテナンス・保全をしてございますので、塩害と言ってしまうと他の設備もそのような影響を受けていると誤解を与えてしまう可能性がありますが、ここは長年そういったものが保持されてしまったのが特異な事象であったと考えています。

南日本新聞・20箇所の補修はどの辺りだったのか。
西平・ひとつひとつの場所を言うのは難しい。資料の写真で見える範囲ですと、高圧ガス供給設備から支援機械棟へ伸びるラインの空調関係で5箇所程度修繕しています。水関係では、VABから射点に向かう搬送路の横に貯水槽がございますので、その貯水槽に向かっている配管、反対側にロケットが射点に行ってから水素を供給したときに未燃水素を処理する設備がございまして、そこに供給している水の配管等がございまして、水系統で8箇所程度の修繕をしています。

南日本新聞・(配付資料の)予防的な補修例の場所はどこか。
西平・射点周辺の山林散水をする配管です。
※補足・崖の外側の山林に水をかける配管です。

南日本新聞・20箇所はほぼ射点周辺に集約されているのか。
西平・ロケット関連の設備だけでなく、安全管理系の設備も含めて全て点検しています。20箇所全てがここに集約されている訳ではございません。十数カ所がここに集約されている。

南日本新聞・20箇所は錆を落として塗った同じ処置か。
西平・パテ補修をしている箇所もございます。錆落としとパテ補修が主な処置です。配管だけでなく電気系ケーブルのサポート部分なども処置しています。配管という意味では射点周辺の十数カ所で錆を落としている。

南日本新聞・当初7日打ち上げという話から9日になったが、これらの調査の他に要因があるのか。
鈴木・打上げに向けた準備作業は2月7日に可能になるように進めて参りましたが、2月7日及び8日に関しましては天候の状況が打ち上げに適さないということで、2月9日という判断をしています。

NHK・当該配管は前回およそ30年前から使用されていたということだが、正確にはいつからか。
西平・図面の時期では書かれたのが1988年ですので、それ以降翌年くらいに整備されたと思いますので、1989年からほぼ30年、あるいは31年となります。

NHK・水平展開の点検は何箇所中の20箇所と言えるか。
西平・点検は基本全て。普段見ているところも見返していますから、全ての配管を見た。

NHK・点検の仕方で、JAXAで毎年いつやっていて、打ち上げ時に三菱重工が何日前にやって、どういった点検をしているのか。
西平・JAXAは年間を通してロケットの打ち上げをするために主要設備のメンテナンスをしている。それは機能的にもそうですし、外観の確認もそうでございます。例として示したような箇所があれば補修をするということで、これは年間を通してやっているというのがざっくりとしたお答えとなります。その上で打ち上げごとに三菱重工の方でも点検をしている。
鈴木・打ち上げ前の点検としましては、この部位の送風の点検に関しては打ち上げの3週間から1か月前程度で毎号機同じような時期に実施しています。今回も概ねそのタイミングで実施しています。

NHK・今回穴が開いたのは高圧ガスを入れたときか。
西平・41号機の打ち上げ準備の中で窒素ガスを昇圧して流したときと考えています。

NHK・点検のタイミングとして3週間というのはどうなのか。
鈴木・打ち上げ前の点検のタイミングには2つの観点があり、なるべく打ち上げの直近で条件が変わらない状態で点検するということと、もうひとつは打ち上げ直前ではなく、トラブルをなるべく早めに検知して対処する必用がございます。2つの観点から、それぞれこの部位に関してはいつ頃点検するかを定めて実施しています。今回の事象を受けて打ち上げ前の点検そのものの実施時期については、特に考えていないが、全般の保全のやり方等も含めて全体の点検をどういう風にしていくかという事に関してはJAXAさんと検討してまいりたいと思います。

NHK・点検をどうしていくか、今の時点であれば教えて欲しい。
西平・今回の事象を踏まえてどういった点検をしなければいけないかというのは、特異な条件あるいは場所であったと考えていますので、特異な場所・条件をここまでどうやって見てきていたのか過去に遡って調査して、それから今後の点検のやり方進め方を具体的に議論していく必用があるかと考えています。まずはこれまでやってきたことの実態、それからこういった特殊な場所が本当にここだけなのか、他に無いのかということも併せて考えていく必要がある。それらも踏まえて考えていくということで、現時点では具体的な柵を説明するのは難しいが、発生した事象をとらえて見直していきたいと考えています。

NHK・配管の再発防止策はどれくらい万全なのか。
西平・今回の事象が起きて非常に残念だったが、水平展開という意味で非常に短期間でございましたが全てしっかり確認した。次の打ち上げに向けて準備ができていると考えています。
鈴木・私も同じように考えています。

南日本放送・前回と今回でオンタイム打ち上げが叶わなかったが、あさっての打上に向けての意気込み。
西平・前号機に続いて設備のトラブルで打ち上げ延期になっているが、発生した事象については残念ながら特異なところがあって事前ら確認することができなかった、捕まえることができなかった。ただしこの事象を踏まえた対策処置は万全に出来ているという風に考えています。点検のやり方は今回の事象を踏まえて考えていく必要がある。今回の打ち上げに向けては、ひとつひとつの作業を確実に進めることで2月9日の打ち上げを守ることができると考えています。関係者一同そのように進めていくことで頑張っていきたいと思います。
鈴木・今回打ち上げが延期になってしまったことに関しては三菱重工、私としても残念に思っております。ただトラブルが発生した後、10日余りで再打ち上げに臨むことができるように内閣衛星情報センター様、JAXA様、それから協力会社の皆様をはじめ、大変なご指導ご支援をいただきましたことに関しましてあらためて深く感謝しております。ロケット及びその打ち上げというのは非常に大きなシステムで成り立っておりますので、今回の事象を踏まえて、ひとつでも不適合があれば打ち上げに臨むことができない難しさがある。このことを我々は強く認識して毎日作業に取り組んでおりますけれども、今回の事象を目の当たりにして、その認識を新たにしているところでございます。これから先の意気込みですけども、ここから先はまた平常心に戻りまして、ひとつひとつの作業を物とデータを見ながら確実丁寧に実施して必ず打ち上げを成功させたいと思っております。

朝日新聞・新年度はH3を含めて複数の打ち上げが予定されているが、影響はどう考えているか。
西平・次年度はいくつか打ち上げが立て込んでいる状況は承知しています。そういったことへの対応も含めて打ち上げ計画に影響を出さない、かつ点検で不具合を発生させないような仕組みややり方を考えていくことが重要・必用だと考えています。打ち上げが立て込んでいるから出来ないということではございませんので、これはすぐ手を当てていかなければならない事象ととらえて、関係各社さんと進めていきたいと思っています。

南日本新聞・20箇所を修繕したという言い方で良いか。
西平・予防的な補修を実施したということで結構かと思います。

南日本新聞・水に濡れやすいなどが修繕の理由だったということで良いか。
西平・今回は水平展開を受けて腐食の程度を見ながら予防的に補修した。打ち上げに影響ないものと判断した上で予防的に補修したという事でございます。

以上です。


No.2335 :H2AF41打ち上げ取材再開 ●添付画像ファイル
投稿日 2020年2月7日(金)09時16分 投稿者 柴田孔明

2020/02/07 10:00(JST)頃に竹崎展望台から見た射点方向。
午後から打ち上げ前ブリーフィングが行われる予定です。

ご注意:上に表示されている「投稿日」の日時はサーバー内部時間で日本時間ではありません。
そのため巻き戻ったような日時が表示されることがあります。


No.2334 :41号機の新たな打ち上げ日
投稿日 2020年2月6日(木)13時11分 投稿者 柴田孔明

地上施設の配管損傷で打ち上げが延期されていたH-IIAロケット41号機ですが、新たな打ち上げ予定日が決定しました。

打ち上げ予定日:2020年2月9日
打ち上げ予定時間帯:10時34分〜10時39分(日本標準時)

打ち上げ予備期間:2020年2月10日〜2020年2月29日

No.2333 :H-IIAロケットF41 打上げ中止記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2020年1月31日(金)16時14分 投稿者 柴田孔明

 情報収集衛星光学7号機を搭載したH-IIAロケット41号機は、2020年1月28日10時34分(JST)に種子島宇宙センターから打ち上げ予定でしたが、機体移動が行われた1月27日夜に窒素ガス空調を供給する設備配管に損傷が発生していることが確認されたため、打ち上げは中止になりました。このあと1月28日10時30分より記者会見が開催されています。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送技術部門 鹿児島宇宙センター所長 打上安全管理責任者 川上 道生
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部副事業部長 打上執行責任者 田村 篤俊

・プレスリリースより
 種子島宇宙センターから情報収集衛星光学7号機を搭載したH-IIAロケット41号機(H-IIA・F41)の打上げを2020年1月28日に予定しておりましたが、機体空調用の地上設備配管からの漏洩により、空調に必要な窒素ガスを供給できないことが判明したため、本日の打上げを中止することとなりました。
 なお、新たな打上げ日については、決定し次第お知らせいたします。

・H-IIAロケット41号機 地上設備不適合について
 ・事象について
  2020年1月27日22時頃、フェアリングアダプタ空調とSRB空調に必用な窒素ガスが供給できない事象が発生しました。現場にて地上施設の空調配管に損傷があることを確認しています。
  そのため、23時15分に打ち上げ中止を決定致しました。
  配管損傷の原因については調査中でございます。
  なお、上流の供給元弁を閉じて安全化処置済みでございます。

 ・機体への影響:衛星/機体ともに影響はございません。

 ・対策:配管損傷箇所を詳細調査の上決定してまいります。

 ※液体窒素タンクから供給された液体窒素が、高圧ガス供給設備にて液体窒素蒸発器で窒素ガスとなる。ここに元弁がある。ガスはこの先200〜300メートル先の支援機械棟に入り温度と流量を制御され、約30メートル先にある第1射点のフェアリングアダプタ空調とSRB空調に供給される。配管の損傷が見られたのは、支援機械棟と高圧ガス供給設備の間で、支援機械棟の配管入口の壁部分(写真)。


・質疑応答
産経新聞・配管入口で、右側の白い部分は支援機械棟の外壁か。
田村・はい

産経新聞・写真の黒い部分が穴か。
田村・黒い部分全てが穴という訳ではなく、この一部が穴です。

産経新聞・穴の大きさはどれくらいか。
田村・約5センチの直径でございます。

産経新聞・パイプの直径と厚さはどれくらいか。
川上・直径80ミリ程度、肉厚5mmです。

産経新聞・パイプの素材は何か。
川上・鉄です。

産経新聞・いつごろ作られたものか。
川上・H-IIの時代から使っているもので、約30年前に整備した。

共同通信社・窒素ガスの役割は機体に燃料を入れる際に温度が上がりすぎないように下げるものか。
田村・低温の液体を入れますので、機器の温度が下がりすぎないように上げる目的です。

共同通信社・5センチの穴は大きいが、事前に点検をしないのか。最後に点検したのはいつか。
川上・点検はしておりまして、今年度ですと5月に点検した後、12月にこの打ち上げ作業の一環で実施し、どちらも良好な結果でございました。

共同通信社・隣の大きい配管は何か。
田村・機体の別の部分に供給する窒素ガスのラインです。

朝日新聞・作業として機体移動が終わってすぐの早い時間だが、燃料を入れる前の段階か。
田村・はい。

朝日新聞・どういった原因とか修理など、どの程度の時間を見れば良いか。
田村・これから原因究明をしていきますので、どれくらい時間がかかるかは現時点ではわからないという状況でございます。

朝日新聞・最短でどれくらいか。
田村・なかなかこれだけの時間があればというところはお答えできない。

朝日新聞・過去に配管の損傷で延期はあったか。
田村・設備の配管の損傷で打ち上げが中止になったことはございません。

南日本放送・供給設備と配管はJAXAの管理か。
川上・そうでございます。

南日本放送・点検は年に何度くらいの頻度か。
川上・定期点検として年1回、あと打ち上げ毎に点検しております。

南日本放送・今回の打ち上げでは何日に点検したのか。
川上・12月に行っております。

南日本放送・打ち上げの直前にするのではないということになるか。
川上・12月の下旬でございますので、打ち上げの直前とお考えいただければと思います。

南日本放送・その段階では問題は無かったということか。
川上・はい。

南日本放送・損傷が判明したとき、具体的にどういう作業をしていたのか。
田村・配管を接続し確認して、ガスを流した初期の段階です。

NHK・窒素ガスを供給するのは、機体移動後の打ち上げ何時間前か。
田村・この作業は22時頃ですので、約12時間前。

NHK・送り始めてすぐに起こったのか。
田村・はい。

NHK・どのように判ったのか。
田村・最初は支援機械棟の圧力が上がらないのが判りました。調べたところ、ガスの流れる音がした。どこから音が出ているか調べたら配管に穴があいていた、という経緯です。

NHK・このまま漏れ出た状態が続くとどういうリスクがあって打ち上げ中止に至ったのか。
田村・フェアリング空調部とSRB空調にガスが流れませんので、必要な部分を加温する機能が効きませんので、低温化して打ち上げができないという状況に至った。

NHK・作動しないということか。
田村・例えばフェアリングの分離部の温度が低くなって、所定の必用な温度が確保できないので、打ち上げをあきらめざるを得ない状況になったと思います。

NHK・原因調査はこれからとのことだが、機体移動のときに強い風が吹いて海水が飛散したとか、何か外的な要因が考えられる点はあるか。
田村・これから詳細の調査はしていきますけども、機体移動のときに風が強かったとか、そういったことが原因となる可能性は小さいと思っています。

NHK・設備の中で何かトラブルがあったという想定か。
田村・設備の配管の何らかの損傷と考えています。

NHK・次の打ち上げ日は、逆算していつ以降というのはあるか。
田村・今日が1月28日ですけども、1月中の打ち上げは難しいと考えています。

NHK・これはH-IIBと共通のものか。
田村・はい

NHK・H3ロケットへの影響はどうか。
川上・これをそのまま使う予定でおります。今回の原因を調査した上で必用な処置をしたいと考えております。影響の無いように致します。

読売新聞・22時に供給できない事象を確認したとのことだが、損傷を確認した時間はいつか。
田村・はっきりとは言い切れない。22時と23時15分の間になります。

南日本新聞・高圧ガス供給設備と支援機械棟、そして配管は地上に剥き出しなのか。
川上・全て剥き出しではございません。建物の中にあるものもございます。

南日本新聞・配管は外か。
川上・そうです。外気に触れる状態です。

南日本新聞・30年という歴史の中があり、塩害は考えられないか。配管の取り替えに時間はどれくらいかかるか。
川上・立地上、塩害による腐食は深刻な問題でございます。今回の件がそれに起因するかは調査してからだと思っています。配管を取り替える必用があるかと思います。その作業規模は現時点で見積もられていない。

南日本新聞・空調に繋がる部分の表現はパイプかチューブか。
川上・配管と最後はフレキシブルホース。
田村・配管と思っていただいて結構です。一部フレキシブルホースを使っているところもある。フェアリングアダプタ空調は2段に供給するので、マストの上にいって、最後はフレキシブルホースで機体に入っていく。

南日本新聞・支援機械棟から第1射点に配管が行っているが、同じ棟から第2射点の方にも配管が行っているのか。
川上・支援機械棟からLP1に向かったりLP2に向かったり、それぞれ敷設してあります。

時事通信・点検ですが窒素を実際に流して圧力を見てということで、目視とか肉厚を調べることはしていないのか。
田村・今回の12月の点検は送風試験でございまして、流量と温度がきちんと出ていることの確認でございますので、外観点検等は実施しておりません。

時事通信・異常はなかったのか。
田村・異常はございませんでした。

読売新聞・配管の損傷と表現されていたが、見た目で腐食しているようだが、腐食しているという理解で良いか。
川上・見た目で腐食が見られるのは事実でございます。原因となったかどうかは調査をした上で判断したいと思っています。

読売新聞・今回のトラブル損傷を受けて他にも調べていると思うが、高圧ガス供給設備から支援機械棟など、全ての配管をチェックしたという理解で良いか。
田村・当該箇所も含めて、チェックや調査はまだこれからでございます。

読売新聞・判っている損傷箇所はこの一個所だけか。
田村・はい

読売新聞・損傷しているのは外壁との接続部だと思うが、配管の構造上ここが特に弱いということはあり得るのか。
川上・これから調査をいたしますが、配管としては同じものが壁を貫通しているので、強度的に弱いとは今のところ思っていません。

読売新聞・整備して30年とのことだが、耐用年数はどれくらいか。
西平・設備の耐用年数は15年です。ただし適切に保全して維持して使う事としておりますので、これまで健全な状態で使っておりました。何故今回の不具合が起こったかについては、今後の原因究明の中ではっきりさせていきたいと思います。
(※宇宙航空研究開発機構 射場技術開発ユニット 技術領域主幹 西平 慎太郎)

鹿児島テレビ・高圧ガス供給設備と支援機械棟の距離はだいぶあるが何メートルか。これを全部チェックしたらどれくらいの時間がかかるか。
田村・距離は200から300メートルです。点検にかかる時間は、どういった点検をすべきかまだ検討中でございますのでお答えできない。

朝日新聞・12月点検で特に異常が無かったとのことだが、直径5センチというのは結構大きい穴だが現場的にどう思われるか。ちょっと考えられないような事なのか。
川上・そう思います。いつこうなったかわかっていないので、調査したいと思っています。

朝日新聞・打ち上げが直前で中止になったが、そのことについての受け止めをお伺いしたい。
田村・中止になりまして、我々を信頼し期待を寄せていただいたCSICE様の期待にこたえることが出来なかったことは非常に残念に思っています。それからロケットの製造等、それから運用に関わるパートナー社等の方々、全ての方々に対して期待に添えなかったことは、やはり本当に残念に思っています。やはりきちっと原因を究明して対策を講じて次の打ち上げをきちんと成功させることに全力を尽くしていきたいと考えます。
川上・基本的には田村さんのおっしゃった通りの思いでございます。これまでMHIさんと一緒に連携して打ち上げをやってまいりました。ご期待もあった中、こうなった事については残念に思っております。設備の維持管理はJAXAがしておりますので、原因をしっかり究明して対策をとりたいと思います。

NVS・高圧ガス供給設備ですが、どれくらいの圧力のガスを供給しているのか。
川上・常用圧力という言い方で1.13MPaです。

NVS・支援機械棟で実際使う圧力まで落として供給するのか。
川上・はいそうです。

NVS・実際使う供給圧はいくらか。
川上・0.8MPa程度まで落として使います。

NHK・1月中に打ち上げが設定できないことで、内閣衛星情報センターから今後の衛星の運用への影響について何か入ってきているか。
田村・私どもの方には入っておりませんし、答える立場にございません。

NHK・前回も発射台火災の射場トラブルで延期になったが、今回またオンタイムの打ち上げが叶わなかったことへの受け止め。どのように事象を捉えているか。
田村・オンタイムの打ち上げを2回連続で達成できないことについては、打ち上げ事業者として残念に思っています。ですが、やはり原因を究明して対策をきちんと実行して次を成功させることに全力を注ぎたいと考えています。

読売新聞・空調はフェアリングとSRBの温度を上げるためとのことだが、温度が下がったままだとどういった事象が起きてしまうのか。
田村・フェアリングアダプタ空調の場合、この部分はフェアリングと2段機体が結合している部分でございます。分離する機構が機体を一周しております。その分離機構というのは温度が低くなるのを避けるということでガスを供給しておりますので、ある閾値があります。閾値より下がりますと打ち上げ制限にかかりますので、打ち上げができない。もし低いまま打ち上げた場合には、フェアリングがきちんと分離できないことに繋がるかと思います。

読売新聞・見つかった穴は1個所か。
田村・はい

産経新聞・最後点検は12月の何日か。
田村・12月23日です。(※当初回答分から訂正された日付です)

産経新聞・このときは何もなくて、今回直径5センチの穴が開いたが、1ヶ月くらいで穴が開くものか。点検が不十分だった可能性があるのではないか。
川上・点検は圧力をかけて漏洩が無いことを確認するものです。その限りにおいて異常は無かったということです。

産経新聞・この点検の管理はJAXAで良いか。
田村・5月はJAXAの責任での点検です。12月の点検は三菱重工の責任です。

産経新聞・施設の管理という点ではどちらになるか。
川上・所有者であるJAXAが管理しています。

産経新聞・30年経過ということで、施設の老朽化も背景にあると言えるのか。
川上・原因を追及する中でその可能性も考えたいと思っています。

産経新聞・30年間も新しくしないで置いておいた理由はどういったところにあるか。耐用年数が15年とのことだが建て直していないのはどういった理由なのか。
川上・定期的な点検に加えて、打ち上げ毎の点検を実施しておりまして、その間異常な状態になっていないということです。

産経新聞・予算的なこともあったのか。
川上。限られた予算の中で対策を打つということがございますので、これ以外にも手を打つ必要があるという状況があったということです。

産経新聞・近年、改良や変更があった場所ではないということか。その影響は無かったということか。
川上・ここ数年H-IIA/H-IIBの打ち上げにしか使っておりませんので変更等は無いと思っています。原因究明の中で確認したいと思っています。

南日本新聞・最初のリリースでは「機体に窒素ガス空調を供給する設備配管に過大な外部漏洩が発生」とあったが、今回は「窒素ガスが供給できない」に変わっているが何故か。またどれくらいを供給しようとしていたのか。また今回は全く供給できなかったということか。
田村・リリースの文が少し違う点につきましては、事象を正確に捉えた上で何が打ち上げを中止した原因かときちんと我々の中で整理した結果、こちらの方が正確と考えました。このリリース文の方がより正確であるということで変更させていただきました。流量は確認します。圧力が立ちませんので、ほぼ供給できていなかったという状態です。

(※当初のリリース文:「種子島宇宙センターから情報収集衛星光学7号機を搭載したH-IIAロケット41号機(H-IIA・F41)の打上げを2020年1月28日10時34分(日本標準時) に予定し、作業を進めておりましたが、機体に窒素ガス空調を供給する設備配管に過大な外部漏洩が発生していることが判明したため、28日の打上げを中止することといたしました。具体的な状況は改めてお知らせします。」)

南日本新聞・この窒素の圧力で5センチの穴が開くのか。今後の調査の流れ、研究機関等。
田村・穴が開いたメカニズムについては今後の調査の中で明確にしていくことになるかと思います。我々の研究所などにも知恵を借りながらやっていこうかと思います。

南日本新聞・今回のような事象については、目安としてはどれくらいか。
田村・現時点では目安というのはなかなか難しいということで、1月中は難しいという回答になっています。

NHK・配管損傷個所の詳細調査はいつ頃から始めることができるか。
田村・今日明日中にはスタートします。

NHK・今行う予定の作業は具体的にとのようなものか。
田村・まず外観点検を行いますが、穴が開いていますので、その場所の断面調査などを行うことになろうかと思います。

NHK・断面調査とはどういった作業か。
田村・電子顕微鏡で組織を確認したり、そういう調査でございます。

NHK・調査にはどれくらいの時間がかかるか。
田村・調査にかかる時間については、まだ調査の項目自体を精査しているところなので、現時点ではお答えできない。

読売新聞・損傷が見つかった配管は交換が必要になるのか。
川上・そうなるかと思っています。

読売新聞・交換は損傷部分だけでなく配管をまるごと全部交換になるのか。
川上・これから検討になりますけども、短い範囲での交換が可能か、あるいはある単位での交換になるか、これから検討します。

読売新聞・配管は特注なのか。予備品はあるか。発注して作ってもらうのか。
川上・そっくり入れ替えられるものは現状あるという事ではございません。

読売新聞・発注して作ってからになるか。
川上・そうなるが、配管は一般に流通しているものですので、調査等も並行して進めているところです。

読売新聞・損傷箇所以外も調べるとすると、もし配管全部を調べる場合はどれくらいが考えられるか。
川上・原因究明を進めつつということで、ここに特異性等が見つかれば、そういった所にポイント絞って点検することになると思います。現時点で調査の規模についてはお答え出来かねます。

NVS・圧力はいったん立ったのが抜けたのか、それとも最初から抜けたのか。
田村・いったん圧力は立っています。

不明・温度が下がりすぎないためのガスだが、温度を一定に保つために供給しているという理解で良いか。
田村・はい。

産経新聞・いったん圧力が立ったということだが、今回水素ガスを流したときに穴が開いた可能性があるという解釈ができるのか。
田村・そういう解釈ができると思います。

産経新聞・断定はできないのか。
田村・断定までは難しいと思います。調査の中で明確にしていきたいと思います。

NHK・確認だが30年前に整備され、耐用年数が15年ということで、15年過ぎているということで良いか。
川上・数字上そういうことになります。

NHK・点検等をしているので過ぎていても問題無いという認識で良いか。
川上・そういう理解でございます。

NVS・新たな打ち上げ日の発表は通例だと2日前だが、タイミングなど。
田村・何日前とは特に決まってございません。明確になったところでお知らせします。

NVS・最短で前日ということもあるのか。
田村・前日というのは現実的に無いと思います。

NVS・最短で2日くらいということか。
田村・そのような感じになるかもしれません。

不明・築30年というのは支援機械棟と、そこに繋がる配管、高圧ガス供給設備なのか。
川上・大きくはそうでございますが、バルブ等についてはもう少し短いサイクルで交換しています。ですのでこの施設全てが30年という訳ではありません。

同・高圧ガス供給設備に異常は無いか。
川上・今回正常に働いております。

以上です。


No.2332 :H-IIAロケット41号機打ち上げ中止
投稿日 2020年1月28日(火)00時13分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット41号機の2020年1月28日の打ち上げは中止となりました。

機体に窒素ガス空調を供給する設備配管に過大な外部漏洩が発生していることが判明したとのことです。

No.2331 :H-IIAロケット41号機の機体移動 ●添付画像ファイル
投稿日 2020年1月27日(月)19時55分 投稿者 柴田孔明

2020年1月27日20時30分頃からH-IIAロケット41号機の機体移動が行われました。


No.2330 :第1回判断(H-IIA F41)
投稿日 2020年1月27日(月)14時35分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット41号機の第1回Go/NoGo判断会議の結果は、「Go」です。機体移動作業開始可と判断されました。

No.2329 :H-IIAロケット41号機打ち上げ前ブリーフィング
投稿日 2020年1月26日(日)17時55分 投稿者 柴田孔明

 H-IIAロケット41号機/情報収集衛星光学7号機の打ち上げ前ブリーフィングが、種子島宇宙センターの記者会見室にて、2020年1月25日14時より行われました。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
内閣官房 内閣情報調査室 内閣衛星情報センター 企画課長 翁長 久
宇宙航空研究開発機構 射場技術開発ユニット 技術領域主幹 西平 慎太郎
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 MILSET長 鈴木 啓司

・H-IIAロケット41号機のコンフィギュレーションについて(資料より)
 ・H2A202
 ・コア機体+固体ロケットブースタ(SRB−A)2本
 ・直径4mシングルロンチ用フェアリング(4S)

・H-IIAロケット41号機打ち上げ延期について(翁長)
 令和2年1月27日に予定しておりました、H-IIAロケット41号機による情報収集衛星光学7号機の打上げについては、打上げ当日の天候悪化が予想されるされるため、打上げの延期とともに新たな打上げ日が決定されましたのでお知らせします。

 打上げ日:令和2年1月28日(火)
 打上げ時間帯:10時34分〜10時39分(日本標準時)
 打上げ予備期間:令和2年1月29日(水)〜令和2年2月29日(土)
 打上げ場所:国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 種子島宇宙センター 大型ロケット発射場

 (※翌26日に10時34分打ち上げと発表されています)

・打ち上げ準備状況(鈴木)

 1月23日:Y−3作業
  ・1/2推進系・電気系・機構系点検作業

 1月24日:Y−2作業
  ・火工品結線
  ・2段ガスジェット推進薬充填

 1月25日:Y−1作業(予定)
  ・電波系統点検
  ・推進系最終クローズアウト
  ・機体アーミング
  ・機構系/アンビリカル離脱系最終準備
  ・射点/貯蔵所系設備準備

 1月27日〜28日:Y−0作業(予定) 
  ・機体移動
  ・射点設備系最終準備
  ・ターミナル・カウントダウン

 ・H-IIAロケット41号機打ち上げ主要制約条件
 ※ロケット系:風
  ・機体移動時は制限風速以下であること。 制限風速22.4m/s(最大瞬間風速)
  ・発射時は制限風速以下であること。 制限風速22.5m/s(最大瞬間風速)
 ※ロケット系:雨
  ・機体移動時の降雨は15mm/h以下であること。
  ・機体移動開始後は降氷が無いこと。
  ・発射時の降雨は8mm/h以下であること。
 ※ロケット系:雲
  ・積乱雲の中を飛行経路が通過しないこと。
 ※ロケット系:雷
  ・発射前および飛行中において、機体が空中放電(雷)を受けないこと。
   (ただし、発射時の詳細な気象観測による)
   ・射点を中心として半径10km以内に雷雲のないこと。
   ・飛行経路から20km以内に発雷が検知された場合には、しばらく発射を行わないこと。
   ・飛行経路が雷雲や積乱雲等(※)の近辺を通過する場合には発射を行わないこと。
    (※)氷結層を含み、鉛直の厚さが1.8km以上の雲を含む。
      ただし、雲のレーダ反射強度が規定値以下の場合は打ち上げ可能。
 ※ロケット系:高層風
  ・各投棄物の落下点が落下予想区域内にあること。
  ・エンジン舵角が制限値未満であること。
  ・飛行中の機体が受ける荷重が設計荷重を超えないこと。
 ※飛行安全系・射場系:風
  ・発射時において制限風速以下であること。制限風速23m/s(最大瞬間風速)
 ※飛行安全系・射場系:高層風
  ・射点近傍で破壊した場合に、落下片等による警戒区域外への影響がないこと。
 ※飛行安全系・射場系:各設備
  ・各設備が正常に動作し、データ取得および飛行安全管制に支障がないこと。
 ※飛行安全系・射場系:打上げ時間帯
  ・打ち上げたロケット及びロケットからの分離物が、軌道上の有人宇宙物体と衝突しないように配慮した時間帯であること。
 ※射場安全系・警備系:陸上警戒
  ・総員退避区域の無人化確認が図れること。警戒区域内の安全が確保されていること。
 ※射場安全系・警備系:海上警戒
  ・設定区域の海上警戒、監視が可能なこと。警戒区域内の安全が確保されていること。

・天候について

 当初予定していた27日の朝10時から12時の間の気象ですが、天気は雨が予想されていまして、雷と大雨の可能性がある予報になっています。従いまして打ち上げに適さないという判断を致しまして、1月27日の打ち上げは見送る判断を致しました。
 1月28日の同じ朝10時から12時の間が打ち上げ時間帯となりますが、この時間帯に関しましてはロケット打ち上げの制約となるような気象情報は予想されていないということで、1月28日の打ち上げに向けて作業を進めることを決定しています。
 ただし気象情報はあくまで予報でございますので、このあとの予報自体の変化も予想されますので、このあと28日の打ち上げに向けては慎重に天候判断を実施したいと思います。


・射点での火災事象を受けた対策について(西平)

 ・H-IIBロケット8号機射点での火災事象。
  ・事象:2019年9月11日3時5分、カウントダウン作業中にH-IIB用移動発射台(ML3)開口部(III-IV軸)で火災が発生。
  ・原因:1段エンジン下部の排出口から滴下している酸素が、ML3開口部の耐熱材に吹きかかり続けることで発生した静電気が着火源となり断熱材が燃焼したこと。
  ・対策:耐熱材の帯電防止、及び、断熱材の延焼防止としてアルミシートを施工する対策を施し、打ち上げを行った。

 ・H-IIAロケット41号機での対策
  ・H-IIA用移動発射台(ML1)には、ML3と同様の断熱材と耐熱材を施工しているが、射点での火災が発生したことを受け断熱材と耐熱材を撤去する。
  ・断熱材の撤去により、噴煙偏向板(非構造部材)が低温環境に晒されるため、噴煙偏向板の上面に遮蔽板(低温でも脆くならないステンレス板)を設置して保護し、ML構造部材が液体酸素による影響を受けることを回避する。
 ※遮蔽板サイズ:縦 約0.3m × 横 約1.6m


・質疑応答
共同通信社・今回の衛星の開発費と打ち上げ費の詳細と、光学7号機の6号機からの改良点は何か。
翁長・衛星関連と致しましては約343億円、ロケット関連で約110億円で、合計で約453億円になってございます。性能向上について詳細については差し控えさせていただきますが、これまでの衛星の開発、世界の情勢を踏まえて我々の方では、衛星を開発しているJAXAさんと一緒になって、性能向上について随時追及しております。7号機についても、それなりの改良をしたと思っています。

毎日新聞・光学7号機について、一昨年の光学6号機に替わるものなのか。
翁長・今回打ち上げようとしている7号機は、光学5号機の後継機として位置付けているものです。

毎日新聞・5号機と入れ替えるのか。
翁長・入れ替えというよりも後継機と位置付けています。衛星の一般的な設計寿命は5年でございますので、5年経つといつ壊れてもおかしくないという状況になりますので、我々と致しましては随時、設計寿命が来る前には後継になるものを打ち上げて対応している。

毎日新聞・5号機はいつ打ち上げられたのか。
翁長・平成27年3月下旬に打ち上げています。
(※2015年3月26日 H-IIAロケット28号機)

毎日新聞・光学7号機はどういったことができるのか。
翁長・光学衛星でございますので、安全保障ですとか災害対策で、宇宙から画像を撮像するといった機能がございます。

毎日新聞・高性能カメラを搭載したということか。
翁長・カメラではなく光学センサです。

毎日新聞・重さはどれくらいあるのか。
翁長・重さ等につきましては差し控えさせていただきます。

南日本新聞・5号機はいつ運用を終えるのか。光学7号機は5、6号機からどれだけ解像度が上がったのか。
翁長・運用を終える時期につきましては、宇宙空間に衛星がおりますので、様々な厳しい環境の中にございます。設計寿命5年という設計をしておりますけども、寿命が来ても壊れない場合は当然無駄にはしないで、そのまま運用を続けます。解像度等については差し控えさせていただきますが、色々な面で随時性能の向上は努めています。

南日本新聞・解像度は5号機と同じレベルか。
翁長・解像度についてはご容赦願います。

NVS・天候だが、準備段階のぎりぎりまで天気が悪い。次は何時頃に判断するのか。再延期もあり得るのか
鈴木・1月27日夜の準備作業の直前まで天気が悪い予報になっています。天気の回復が遅れることがないかという辺りを注意して、このあと判断していく予定です。従いまして状況によっては28日の打ち上げを見送らざるを得ないケースも可能性としてはあると考えております。判断の時期は明日の11時から判断会議をすることとしていまして、そのあともなるべく最新の予報で判断をしてまいりますので、随時行っていく予定です。

NHK・天候で27日に打ち上げができない理由が雨と雷だが、制約条件を超える予想なのか。
鈴木・はい。端的に申し上げますと氷結層を含む雲の厚さが規定値を超えるということでございます。制約条件に「氷結層を含み、鉛直の厚さが1.8km以上の雲を含む」とありますが、この規定に対して9kmを超えるような雲の発生が現時点で予想されているのが決定的な理由で、打ち上げ延期の判断をしております。

NHK・今の予報だと機体移動には影響が無いのか。
鈴木・はい。ぎりぎりの予報ですが、支障はないと判断しています。

NHK・機体移動の時間はいつか。
鈴木・27日の夜ですが、天候の状況によっては遅らせたり、あるいは逆に前倒しをしたりということも、このあと判断していきたいと思います。

NHK・28日の打ち上げで心配されるのは氷結層か。
鈴木・28日の打ち上げ時刻帯に関しては、今のところ氷結層の予想はゼロキロメートルということで、発生は予想されていないが、今後の予報の推移は引き続き慎重に見てまいります。

NHK・打ち上げ時刻はこれ以上狭まらないのか。
鈴木・時間帯は本日発表した通りです。

NHK・(打ち上げ日が)ずれていくと時刻も変わるのか。
鈴木・変わらないです。

NHK・このまま打ち上げられる場合、明日には何か情報が発表されるのか。
鈴木・本日の時点では打ち上げ日と打ち上げ時間帯を発表したということで、この打ち上げ時間帯の中のどこを狙って打ち上げるかということについては明日に正式発表することになっています。これは毎号機で同じで、3日前までに打ち上げ日を発表して、2日前までに打ち上げ時刻を発表するということになっています。

読売新聞・光学7号機はカメラでなく光学センサを搭載して地上を撮像するという理解で良いか。
翁長・その通りでございます。カメラという呼び方は我々はしていません。

読売新聞・それは光学7号機からではなく以前からそうなのか。
翁長・カメラと言われればカメラかもしれません。デジタルカメラにつきましても光学センサがついていて、一体となったものをカメラと呼んでいる。カメラのようなものだが、我々はそうは呼んでいない。

NHK・発射台火災の件で、断熱材と耐熱材はもう無くて良いのか。またなぜアルミでの保護ではないのか。
西平・根本的な対策として断熱材無くすことにしました。なぜ断熱材が無くてもいいかというと、断熱材を設置していた目的は、MLの構造部材の低温化を防ぐために断熱機能を持たせていました。対策後ですが、断熱の機能は無くしていますが、直接液体酸素がふりかかることが無ければML構造部材は保護できるということで、ステンレスの遮蔽板を設けております。この遮蔽板は低温環境で脆くなったりしない材質でございますので、直接ML構造部材に液体酸素がふりかかることは無いということで低温化を防げるということでございます。アルミテープで施工して臨まないかということについては、8号機のときにその対策で事前に試験で確認して燃焼しないことも確認して打ち上げに臨んでおりますが、より抜本的な対策と致しまして、高濃度酸素環境下で燃えてしまうものがあること自体が火災の要因になり得る可能性が排除できていない。そもそも火災に至る要因を完全に排除するということで、無くす対策をとって、より安全な対策としています。

NHK・断熱材と耐熱材の役割をステンレス板で補えるということか。
西平・そう理解していただいて結構です。

NHK・H-IIBでも最終的にこうするのか。
西平・H-IIBの対策は難しいと考えています。距離が近いことと、守るべき断熱の範囲が広い。一番大事なことは8号機で起こったような火災を起こしてはいけないということでございますので、対策の基本的な考え方として断熱材を取り除く方向で考えています。その下にあるML構造部材をどういった形で守るのかについては、具体的な方策はまだ検討中の状況でございます。

NHK・発射台の改修費用や修繕費用はJAXAの負担になるのか。
西平・まだ協議中の部分がございますが、断熱材を施工していたこととか、耐熱材に静電気が発生して燃焼に至ったことについては、設計上の配慮不足に起因するものがあったと確認してございますので、JAXAが対処するべきものと考えています。その方向ですが、詳細は協議中です。

NHK・これまで情報収集衛星にかけられた国費は、ホームページ上の予算を足していくと1兆4300億円になる。その点を確認したい。
翁長・最新の数値といいますか令和元年の補正予算案もございますので、令和2年度の予算案も含めますと1兆5085億円になります。ただし令和2年度の政府予算案と令和元年度の補正予算はまだ案の段階で国会で審議されておりませんので、その点についても含めての数値とご理解ください。

NHK・衛星の投入軌道や時刻が非公開で、このブリーフィングなども撮影不可のこところがあるが、その理由を教えていただきたい。
翁長・情報収集衛星の場合は安全保障と災害を大きな2つの目的にしておりますけども、安全保障という観点で申し上げると、我々の情報収集衛星の性能が判ってしまうと安全保障上好ましくない。その点から非公表とさせていただいております。

不明・今回の7号機が打ち上がれば光学衛星として3機態勢となる。レーダーも含めて6機体制という考えで良いか。2013年頃から続く4機態勢をしばらく続けるのか、それとも6機態勢なのか。
翁長・そこは非常に難しい。基本的には光学衛星2機、レーダー衛星2機の4機態勢で、我々は安全保障と防災の分野に貢献していると自負しておりますけども、そういった観点で申し上げると4機態勢というのは変わっておりません。一方で実質的にどれだけの衛星を運用しているかとなると、おかげさまでレーダー衛星が長生きしてくれていまして、寿命を超えても運用をまだ頑張っておりますので、そういう意味では光学7号機が打ち上がっていくと、合計6機と増えていくのは実態としてはあるという回答となると思います。

不明・基本的には5号機は使えるまで使うのか、7号機の方に活躍してもらうのか。
翁長・その点はお答えを差し控えさせていただきますが、寿命が尽きても衛星が運用できる限りは我々は運用を続けます。

以上です。

No.2328 :H-IIAロケット41号機の打ち上げ時刻について
投稿日 2020年1月26日(日)14時06分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット41号機の打ち上げ予定時刻ですが、2020年1月28日10時34分(JST)となりました。