宇宙作家クラブ
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No.2001 :記者会見第2部より ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月4日(金)23時34分 投稿者 柴田孔明

記者会見第2部の様子。


No.2000 :H-IIAロケット31号機打ち上げ後記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月4日(金)23時32分 投稿者 柴田孔明

 2016年11月2日15時20分00秒に、静止気象衛星「ひまわり9号」を搭載したH-IIAロケット31号機が打ち上げられ、その約100分後に打ち上げ後記者会見が行われました。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・記者会見(第1部)登壇者
文部科学副大臣 水落 敏栄
国土交通省 大臣官房 技術総括審議官 坂下 広朗
宇宙航空研究開発機構 理事長 奥村 直樹
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 副ドメイン長 阿部 直彦
・側面列席者
気象庁 観測部長 隈 健一
文部科学省 審議官(研究開発局担当) 白間 竜一郎


・打ち上げ結果報告・阿部
 三菱重工業株式会社および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから平成28年11月2日15時20分00秒(日本標準時)に、静止気象衛星「ひまわり9号」(Himawari-9)を搭載したH-IIAロケット31号機を予定通り打ち上げました。
 ロケットは計画通り飛行し、打ち上げ後約27分51秒に「ひまわり9号」を正常に分離した事を確認しました。
 ロケット打ち上げ時の天候は晴れ、北東の風(6.1m/s)、気温21.3度Cでした。
 ひまわり9号が軌道上での初期機能確認を無事終了し、所期の目的を成功裏に完遂されることを心より願っております。
 本日の打ち上げ成功でH-IIAは通算31機中30機の成功、成功率は96.8%になりました。H-IIBとあわせると通算36機中35機の成功、成功率97.2%です。またH-IIA、H-IIB30機の連続の打ち上げ成功になりました。
 今回は、前回2月17日の打ち上げから8ヶ月半空けての打ち上げとなりましたが、無事打ち上げることが出来、大変安堵しています。このあと短いインターバルでの打ち上げが続きます。引き続き皆様に安定的な打ち上げを提供できるよう、さらに心を引き締め、細心の注意と最大限の努力を傾注して参ります。
 今回の打ち上げに際し、多くの方々にご協力ご支援をいただきました。あらためて関係者の皆様に心よりお礼を申し上げるとともに、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

・打ち上げ結果報告・奥村理事
 ただいま三菱重工殿からH-IIA31号機、ひまわり9号の打ち上げ成功に係るご報告がありましたけれど、今回の打ち上げにあたり私どもJAXAは安全管理業務を担ってございますが、その業務を達成したことを私からご報告申し上げます。
 いつものことですが、今回の打ち上げにおいても、地元の皆様及び関係機関のご支援とご協力をもとに成し得たと理解しており、あらためて厚く御礼申し上げたいと思います。
 今回の打ち上げ成功でただいま阿部様からご報告ありました通り、H-IIA・H-IIBあわせて30機連続打ち上げということで、一歩一歩ではございますが、こうした地道な努力で日本の宇宙技術を確実に、より高度なものにしていけるのではないかと。そういう意味では今回の打ち上げ成功もたいへん意義のあったものではないかという風に考えてございます。
 振り返ってみますと、ひまわりにつきましては初号機こそ外国(※アメリカ)での打ち上げでしたが、2号機以降ですね、この種子島から打ち上げて、私どもの社会生活を続ける上で不可欠な情報を提供してくれる衛星になっております。今後とも私どもJAXAも社会インフラになるような衛星の利用方法を考えて行き、宇宙開発利用を技術で支える中核的な実施機関役割を定義されていますが、その役割を果たして行く所存であります。あらためまして、この度の打ち上げに関してご協力いだきました皆様に感謝申し上げるとともに、今後とも引き続き私どもの活動にご理解ご支援を賜りますようお願い申し上げて私のご報告とさせていただきます。ありがとうございました。

・登壇者より・水落副大臣
 松野文部科学大臣の談話にもございますように、今回の打ち上げ成功によりH-IIAロケットとして25機連続、H-IIBロケットとイプシロンロケットをあわせた基幹ロケットとしては31機連続で成功したことは、我が国が有するロケット技術の、着実な発展と信頼性の向上を示すものと考えております。
 打ち上げに際し、ご尽力ご支援をいただきました関係者の方々にこの場をお借りしまして厚く御礼申し上げる次第であります。また今後もひまわり9号が順調に飛行を続けることを期待しております。
 文部科学省におきましては平成26年度よりH-IIA/Bロケットの後継として、国際競争力をさらに高める新型の基幹ロケットとしてH3ロケットの開発を行っており、今年度末には新規開発を行うエンジン燃焼試験を開始し、2020年に初号機を打ち上げる予定であります。今後ともH3ロケットの開発を着実に推進するなど、我が国の宇宙開発利用に関する技術の高度化等をしっかり進めて参りたいと思っております。
 この度のひまわり9号の打ち上げ成功にご尽力いただきました関係者の皆様に重ねて感謝を申し上げまして私の挨拶といたします。ありがとうございました。

・登壇者より・坂下審議官
 ひまわり9号はロケットから無事分離をされまして、現在静止軌道に向けて順調に飛行中でございます。打ち上げに関係されました多くの皆様の、これまでのご努力に心から御礼を申し上げます。また、本日打ち上げの成功を目の当たりにすることができて大変感激いたしました。
 今回打ち上げましたひまわり9号は、既に運用中のひまわり8号と共に、先代のひまわり6号7号の後継機として世界最先端の機能を持つ新世代の静止気象衛星となっております。既に運用中のひまわり8号では、台風進路の予想精度が10%改善するといったような成果が既に出てまいっておるところであります。今回の打ち上げの成功で2機体制が整いまして、新世代の気象衛星による万全な観測体制が確立することになるということであります。ひまわり8号9号の高い観測性能を十分に活用して、国民の皆さんの安全安心によりいっそうの貢献をしていきたいと考えております。また、ひまわり8号9号は我が国だけではなくてアジア太平洋地域の防災や減災、あるいは地球環境の監視にも大いに役立つものでございます。従いまして国際的な貢献にも努めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。

・質疑応答
NHK・成功率が上がったが、国際的な受注について所感をお聞きしたい。
阿部・1機ずつしか成功率に貢献していけない、一歩一歩ということがあるが、成功を続けていくということは、日本のロケットの信頼性がまたひとつ世界に認められて、その分我々にとっては追い風になると認識しています。

鹿児島テレビ・短いインターバルで打ち上げが続くとのことだが、意気込みをお聞きしたい。
阿部・私どもは打ち上げを生業としているので、インターバル如何にかかわらず確実に1機1機打ち上げていくのがミッションだと思っている。ただ、やはり長いこと空くと、クルー・メンバー含めて作業の山・谷が出てきますので、できれば年間を通して平滑的であるのがありがたい。

共同通信・H3ロケットの開発への意気込みをお聞きしたい。
奥村・2020年の初号機打ち上げを目指して、H3を関係企業の皆様とご一緒に進めているところでございます。特に今年度末頃にはエンジンテストのフェーズに入る。いわば山場にあたる。今回、これから続く打ち上げも含めて全て成功して、H3の開発に勢いをつけたい。


・記者会見(第2部)登壇者
気象庁 気象衛星課 課長 宮本 仁美
宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門鹿児島宇宙センター長 打上安全監理責任者 藤田 猛
三菱重工業株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 打上執行責任者 二村 幸基

・衛星の状況について・宮本課長
 衛星ですが、打ち上げ1時間12分54秒後の16時32分54秒に南アフリカの追跡管制局で衛星からの電波を正常に受信したことが確認されています。現在、衛星は順調に飛行中であります。
 17時28分に太陽電池パネルの展開を確認されました。これによりバッテリから発電になっています。

・質疑応答
読売新聞・2機体制実現の意義と期待するところをお聞きしたい。
宮本・9号は打ち上がったばかりでこれから待機運用に向けて準備をしていくところだが、2機体制が確立したということで、皆様の暮らしの安心安全にとって必要不可欠な気象衛星、観測がより盤石になると期待をしています。

産経新聞・8号と9号は新世代の衛星でハイスペックだが、既に運用している8号の最先端の機能が現業の気象業務に活用できているのか、あるいはさらに活用の余地があるのか。
宮本・大幅に機能強化した衛星で、世界で初めて使うという事で、我々もわくわくしながらデータが降りてくるのを待っていた。現在、衛星のデータを十分に活用させていただいている。台風の進路予想や、海面水温の精度が非常に向上。新しい技術であり、これからさらにもっと活用すべくいろいろと技術開発。気象庁だけでなく他の研究機関・大学と協力しながら、よりデータを有効に使えるように技術開発を進めてまいりたい。

日本経済新聞・30機連続成功について、これまでの考えや今後の意気込みをお聞きしたい。
二村・H-IIAとH-IIBあわせて連続30機成功だが、我々としてはH-IIA6号機でいちど失敗しておりまして、そこから這い上がって7号機以降今日まで実績を積み重ねることができた。30機連続で成功したということそのものは、世界に対して我々のロケットの信頼度を大きくアピールできることだ。引き続き今年度を含め打ち上げが多数詰まっている。我々としては引き続き確実な成功を勝ち取って、でさらに大きくアピールしていきたいと思っている。

朝日新聞・失敗を糧にとの話だが、この間に新たな知見が積み重なって今に至っているのか。今後、より安全性が高まっていくのか。
二村・ロケットの場合は何度も試験飛行ができない。打ち上げの度ごとにフライト中のデータを蓄積しております。我々の知見になかった事象とかそういったものが発生していないか評価して、場合によっては設計にフィードバックをかけ信頼度を高める、といった活動を毎号機行って今日に至っている。H-IIA/Bは設計を大きく変えられないので、今まで培ってきたものを次のロケットの開発に引き続き生かしていきたい。

日刊工業新聞・ひまわり8号9号が世界で注目されているという事で、特にどういった技術が期待されているか。
宮本・大きく3つ精度が向上している。水平分解能が向上し、ひまわり7号の倍になっている。観測の回数が増えて、全球の観測が7号の1時間から10分毎にできるようになった。観測のバンド数が5から16になった。運用中の気象衛星では最先端。

テレビ愛知・連続成功で世界に対して信頼度をアピールとあるが、世界のライバルから見て驚異と感じさせる結果となったと考えて良いか。
二村・なかなか回答しづらい。日本のロケットは残念ながらプライス的に世界と互してはいない。H-IIA/Bの最も大きな特徴はオンタイム打ち上げをアピールしている。オンタイム打ち上げとは、ロケット本体や設備の異常で打ち上げを延期しないという意味で、気象は天変地異でやむを得ないが、それ以外の要因で打ち上げを延ばさないという意味で、お客様がご希望になられるジャストなタイミングで軌道に衛星を運ぶことができている点が引き続きアピールできる。

産経新聞・これから短いインターバルでの打ち上げが続くが、射場の品質管理や打ち上げ後のメンテナンスが立て続けで立て込む。課題と意気込みをお聞きしたい。
藤田・今後打ち上げが続く。また新しいH3の要となるエンジンの燃焼試験が種子島宇宙センターの燃焼施設で今年度末にも行われることになる。スケジュールとしては厳しいし、設備の老朽化も進んでいるので、きちんと直しながらやっていく。私どもとしましては、開発試験がふたたび種子島で始められるということで、非常ににぎやかになる。現場の技術者としては、非常にやりがいがある。ありがたい役割を担うことになる。

産経新聞・H3が華やかだが、現状のH-IIAも立て込むが。
藤田・もちろん打ち上げと平行して燃焼試験もやれるように着実にしっかり準備を進めて行く。

NVS・パドル展開で山場を過ぎたが、まだ静止軌道化まで4日ある。このあと山場は何か。
宮本・太陽電池パネルが開いたということで、動力が確保されたので非常に安心している。そのあと静止軌道に向けて徐々に軌道を上げていく。所定の時間エンジンが燃焼することは確信はしているが、本当に燃焼してくれればいいなと思っている。そのあと運用開始までは軌道上で機能確認・試験をやりますので、それぞれ確実にこなした上で、待機運用に持って行きたい。

共同通信・御社のマーケットの立ち位置と目指すところはどんなところか。
二村・マーケットとしては、もちろん我々は世界を視野に入れている。残念ながらシェアとしてはまだ小さい。いかにシェアを伸ばしていくかが課題。大きなライバルとしてはアリアンスペースや、SpaceXといったところがある。目標というか、いかに食い込んでいくかが今我々が与えられているポジションではないかと思っている。H-IIA/Bはオンタイム打ち上げ、希望の時期に確実に打ち上げるという点をアピールしている。開発しているH3を市場に投入することで、その以外の面でも他国のロケットに互していけると考えているので、さらに世界市場に打って出たいと思っている。

NVS・ひまわり9号の投入緯度も140.7度になるのか。運用の交代時に経度の切り替えはあるか。
宮本・正確にはひまわり8号が140.65度、同9号が140.75度で静止化する。経度の切り替えは無し。

NVS・アメリカが同じ機能のゴーズRを打ち上げるが一言。
宮本・ゴーズRが11月中に打ち上げると聞いている。気象観測は1つの衛星だけでやる訳ではなくて、複数の衛星で全球を均等に観測することが必要だと思っている。そういった意味で、ひまわりと同等の能力を持つ衛星が上がって地球全体を観測するということで、非常に大きく期待している。

産経新聞・今回の打ち上げについてどのように評価するか。
二村・今回のフライトに関しましても、ほぼノミナル。シーケンスだけでなく航路もノミナルだった。衛星分離も計画と2、3秒ずれた程度。これまでとほぼ同等の結果を得ている。

以上です。


No.1999 :H-IIAロケット31号機の打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月2日(水)18時31分 投稿者 柴田孔明

2016年11月2日15時20分00秒(JST)に、静止気象衛星「ひまわり9号」(Himawari-9)を搭載したH-IIAロケット31号機(H-IIA F31)が打ち上げられました。


No.1998 :準備状況
投稿日 2016年11月2日(水)06時53分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット31号機の第1回と第2回GO/NOGO判断会議の結果はGOです。
※第1回は機体移動可、第2回はターミナルカウントダウン作業開始可です。

No.1997 :機体移動 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月2日(水)04時36分 投稿者 柴田孔明

2016年11月2日の午前1時29分から午前1時55分にかけてH-IIAロケット31号機の機体移動が行われました。


No.1996 :打ち上げ時刻決定
投稿日 2016年10月31日(月)14時16分 投稿者 柴田孔明

11月2日に予定されているH-IIAロケット31号機/「ひまわり9号」の打ち上げ時刻は15時20分に決定しました。
なお、同日の打ち上げ時間帯は15時20分00秒〜18時18分00秒(JST)となっています。

No.1995 :H-IIAロケット31号機・ひまわり9号打ち上げ前プレスブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月30日(日)23時03分 投稿者 柴田孔明

 2016年10月30日14時より、種子島宇宙センターにてH-IIAロケット31号機/ひまわり9号の打ち上げ前プレスブリーフィングが行われました。
 なお当初打ち上げ予定日だった11月1日は天候の悪化が予想されているため、翌11月2日に延期になりました。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
気象庁 観測部 気象衛星課 運用準備班長 佐々木 幸男
宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 鹿児島宇宙センター射場技術開発ユニット長 長田 弘幸
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 MILSET長 平嶋 秀俊
(※MILSET:Mitsubishi Launch Site Service Team :三菱打上サービス射場チーム)

・打ち上げ延期について
 打ち上げ当日の発射準備作業時に天候の悪化が予想されるため、打ち上げを11月2日に延期します。

・打ち上げ準備状況
 6月3日:飛島工場を出荷後、射場作業を開始。
 〜8月29日:機能点検。機体の各機器が正常に作動することを確認。
 8月29日〜10月10日:機体休止保管。H-IIB 6号機射場整備作業を実施。
 10月11日〜10月14日:作業再開に伴う点検。各機器の機能が維持されていることを確認。
 10月15日:カウントダウンリハーサル。関係要員に対し、打ち上げ当日の対応手順を周知徹底するために、打ち上げ時の作業を模擬。
 10月16日〜10月24日:ひまわり9号とロケット機体の結合作業。
 10月24日:ロケット機体の最終的な機能点検。
 10月28日〜:発射整備作業を実施中。

・H-IIAロケット31号機について
 202型、4S型フェアリング

・打ち上げ予定日時等
 機体移動予定日時:2016年11月2日午前1時30分
 打ち上げ予定日:2016年11月2日
 打ち上げ時間帯:15時20分00秒〜18時18分00秒(JST)※後日、詳細時刻を決定。
 打ち上げ予備期間:2016年11月3日〜2016年12月31日
 打ち上げ予備期間中の打ち上げ時刻は15時20分00秒〜18時40分00秒の間で別途設定する予定。

・ひまわり9号について
 軌道上展開後の大きさ:全長約8m
 燃料を含めた打ち上げ時質量:約3,500 kg
 衛星本体のみの質量:約1,300 kg
 静止軌道初期の発生電力:約2.6 kW
 衛星本体の設計寿命:15年以上
 観測機能:8年以上(運用7年+平行観測1年)
 静止化予定日:11月11日頃(11月2日打ち上げの場合)
 ※観測機能に関しては「ひまわり8号」と同一。

・質疑応答
NHK・打ち上げ延期だが所感をお聞きしたい。
平嶋・風が強く、雷が来る予定がありいろいろ考えた。検討の結果、11月2日なら憂いが無い。確実に打たなければならないという気持ちをこめて延期した。心を入れ替え、ひとつひとつ丁寧に、平常心を保ってやっていきたい。
佐々木・個人的見解だが、確実安全に打ち上げられることが第一条件。その方針で行ってもらいたい。
長田・今年度初めての打ち上げを、確実に打ち上げたいと準備を万全にしていたが、天候には勝てない。2日は天気が良くなる。少ないチャンスだが、確実に打ち上げたいと思っている。

鹿児島テレビ・ひまわり8号と9号は同型だが、2機体勢になることのメリットは何か。
佐々木・万が一トラブルが発生しても観測の欠測が無く、利用者の方に配信が継続できる。2機であっても観測は1機のみなので、2機でも画像の精度は変わらない。

NHK・2日は確実とのことだが、不確定要素はあるのか。
平嶋・2日は天候が良い。100%とは言えないが制約条件はかなう。引き続き注視していきたい。

NHK・1日未明の発雷と強風は、発射時点ではなく作業時点での天候悪化による延期となるのか。
平嶋・機体を射座に据え付ける屋外作業があり、発雷があると待避しなければならない。作業安全にも支障があるため延期とした。

NVS・12月9日に予定されているH-IIBロケット6号機の打ち上げに影響はあるか。
平嶋・H-IIB6号機の打ち上げに対する影響はJAXAと検討していきたい。
長田・現時点では影響は無いが、今後状況が変われば再設定もあり得る。

南日本放送・打ち上げの細かい時間はいつ決定し発表するのか。
平嶋・本日は時間帯の発表だが、明日打ち上げ時間の発表を行う。

テレビ愛知・強風とは制限風速以上の風という意味か。また発雷のリスクは何か。
平嶋・風について、突風は2倍の風速になる可能性があり、人に対して問題になる可能性がある。落雷の懸念があるため雷警戒報をセンター内で設けていて、それが発令すると作業が中断し人は待避しなければならないため、そこは避けようと考えている。

以上です。


No.1994 :H-IIAロケット31号機の打ち上げ延期
投稿日 2016年10月30日(日)15時02分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット31号機/ひまわり9号の打ち上げが2016年11月1日に予定されていましたが、同日は悪天候が予想されるため、翌日の11月2日に延期になりました。打ち上げ可能時間帯は同じです。

※打ち上げ時間帯15時20分〜18時18分(JST)

No.1993 :ISS向けバッテリ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月25日(火)00時15分 投稿者 柴田孔明

暴露パレット内のバッテリの様子


No.1992 :KITEのエンドマス ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月25日(火)00時13分 投稿者 柴田孔明

KITE(HTV搭載導電性テザー)のエンドマス部分
黒っぽいボールのようなものがリフレクタ。
下の小さいレンズがエンドマス放出直後の運動を記録するカメラ。

HTV6の太陽電池パネル側の真ん中付近に設置。


No.1991 :薄膜太陽電池 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月25日(火)00時07分 投稿者 柴田孔明

SFINKS(宇宙用薄膜太陽電池フィルムアレイシートモジュール実証)
(※右側のもの。地上用のカバーあり)


No.1990 :暴露パレット側 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月25日(火)00時03分 投稿者 柴田孔明

こうのとり6号機の暴露パレット側


No.1989 :こうのとり6号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月24日(月)23時59分 投稿者 柴田孔明

こうのとり6号機の太陽電池パネル側。


No.1988 :概況説明 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月24日(月)23時57分 投稿者 柴田孔明

HTV6の概況説明の様子。


No.1987 :宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)の報道公開
投稿日 2016年10月24日(月)23時55分 投稿者 柴田孔明

 2016年10月19日、種子島宇宙センターにて宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)の報道公開が行われました。「こうのとり」6号機は2016年12月9日の日本時間22時26分頃に種子島宇宙センターからH-IIBロケット6号機で打ち上げ予定です。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者(種子島宇宙センター)
有人宇宙技術部門 HTV技術センター長 植松 洋彦
・登壇者(東京事務所プレゼンテーションルーム)
研究開発部門 KITEチーム長 井上 浩一

・概要説明(配布資料より抜粋)
 国際宇宙ステーション(ISS)での活動に無くてはならない物資補給。
 「こうのとり」は現在、世界最大の補給能力を持つ。
 9号機までの打ち上げ・運用を予定している。

 スケジュール等
  打ち上げ予定日時:2016年12月9日22時26分頃(ISSの最新の軌道により決定する)
  打ち上げ予備期間:同年12月10日〜12月31日
  ISS直下に到着予定:12月13日21頃
  ISSによる把持予定日:12月13日(予定日に打ち上げられた場合)
  ※軌道投入から大気圏再突入までの期間:約3ヶ月(※SFINKSの軌道実証期間より)
  ※離脱翌日から7日間、HTV搭載導電性テザー実証実験(KITE)を行う。

  打ち上げ時質量:16.4トン
  全長:約10メートル
  最大直径:4.4メートル

「こうのとり」6号機の輸送物資より
 ・ISSバッテリ
 老朽化したISSのニッケル水素バッテリを、日本のGSユアサ製リチウムイオン電池セルを使用したバッテリに置き換える。バッテリの組み立ては米ボーイング社。今回の輸送では6個。HTV9号機までに計24個を輸送予定。「こうのとり」の暴露パレットを一部改良し、ISSバッテリ輸送に対応。備品込みのバッテリ(1個約200キログラム×6、アダプタプレート×6、旧バッテリ仮置き場)が重いため、暴露パレットに乗せられる最大質量を従来の1.5トンから1.9トンへ増加。
 (※アダプタプレート:ISSのバッテリ削減に伴い、空いたスロットに設置して電気・通信的な結合を行う)
 ・二酸化炭素除去装置軌道上交換ユニット(CDRA Bed)
 現在ISSに交換用が無いため、NASAからレイトアクセス(速達サービス)での輸送を依頼されている。打ち上げの約1週間前に2台搭載予定。大きく特殊な形状のため、搭載方法を工夫している。重量54キログラム。
 ・種子島の水道水。飲料水用600リットル。宇宙飛行士3人の4ヶ月分に相当。
 ・CubeSat7放出機構の増強(6Uから12U)+7機のCubeSat対応。
 ・4K船外カメラ。
 ・宇宙放射線のリアルタイムモニタ装置。
 ・沸騰二相流体ループ装置(TPF:Two Phase Flow)
 (※気体と液体の混ざった熱交換装置。従来型より効率が良い)

「こうのとり」6号機による実験
・KITE: HTV搭載導電性テザーの実証実験。
 (※Kounotori Integrated Tether Experiment:カイト)
 大型デブリ除去に関する技術要素(導電性テザー)の軌道上実証。
  →次のステップで低コストデブリ除去の実証を行うための設計値獲得を目指す。
 ・デブリ除去に有効な小型軽量の要素技術
・軌道上でのベアテザー伸展(700メートル)・電子収集、電界放出型電子源による電子放出。
 (※電流と磁場との干渉で発生するローレンツ力を推力[減速力]として利用)
・HTVスラスタによるテザーの振動抑制制御。
 (※700メートル離れ軌道が若干異なっているためコリオリの力が働き、テザー全体が振り子のように振動する。それを抑制する必要がある)
 ・実験シーケンス
  1.HTVから反地球方向にエンドマス(20 kg)を放出、テザーを伸展(700 m)
  2.HTVのISSドッキング用ランデブセンサを利用してエンドマスの運動を計測。
  3.HTV側に搭載した電子源からの電子放出によりテザーに電流を流し、導電性テザー(EDT)実用化に必要な技術を実証。
  4.EDT実証実験後、テザーを根元から切り離してからHTVは大気圏再突入。テザーは数ヶ月かけて再突入する。

・SFINKS: 宇宙用薄膜太陽電池フィルムアレイシートモジュール実証システム
 (※Solar Cell Film Array Sheet for Next Generation on Kounotori Six)
 現在、実用可能な宇宙用太陽電池の中で、世界一の変換効率と軽さを実現した。
  1.軽い(従来型2.2g → 薄膜0.33g)※太陽電池1枚(約27平方センチメートルあたり)
  2.高変換率(従来型29.5% → 薄膜32%)
  3.柔軟性がある、パネル板に貼らなくてよい。
 HTV6の推進モジュールに1つ設置。
 シートの電流(Isc)、電圧(Voc)出力を測ることで、打ち上げの衝撃環境に耐えるか、宇宙の放射線や紫外線に耐えるかを実証する。

・射場整備作業中に発生した漏洩事象について
 7月20日に全機結合形態でのヘリウムを用いた気密性検査において、推進モジュール内部の燃料配管で微量な漏洩を確認した。
 機体の結合を解除して推進モジュール内部の調査を行い、8月10日に燃料配管の機械継手の溶接箇所から漏洩していることを確認した。
 溶接部を含む機械継手を交換し、機体の再結合作業を進め、9月11日に全機再結合を完了した。
 (※推進モジュール側面のスラスタ付近で漏洩)


・質疑応答

NHK・配管トラブルで少し遅れての打ち上げだが、お気持ちや打ち上げに向けての決意などをお聞きしたい。
植松・配管の漏洩は極めて重大な不適合だったと考えている。これだけ大きなトラブル発生はおそらく初めて。打ち上げ前の検証計画・試験計画等で問題を捉えられたのは、ある意味不幸中の幸いだった。逆に今後に十分に生かしていかなければならない。この6号機に関しては、これだけ大きなインパクトがあったので、今後の作業を十分に気をつけて、確実にこのミッションを成功させたいと決意を新たにしている。

ライター林・大きなインパクトの意味。シグナスに載せた物はあるか。大西さんの把持ができなくなったことなど。
植松・宇宙ステーションの補給計画に大きな影響は出なかったが、準備作業が非常に長くなった。アメリカの補給機が遅れ、また我々も遅れて輻輳してしまった。打ち上げのスケジューリングに非常に苦労した。補給計画自体にはある程度余裕があった。

ライター林・量産の難しさや課題についてお聞きしたい。
植松・初号機から携わっているが、開発に携わってきたエンジニア達が世代交代している。新しい技術者に、我々が学んだことをうまく伝えられるかが大きなチャレンジ。ベテラン勢は慣れの問題がある。連続成功で問題を見抜く目が曇っていないかという自己反省の戦い。今後も続くのでうまく世代交代し、成功を繋げていかなければならいない。

産経新聞・配管の漏洩は組み立てた後にわかったが、もう少し早く検出できなかったか。再発防止についてお聞きしたい。
植松・我々も自問自答している。早い段階で見つけることが出来なかったか、どこかに改善すべきところは無いか。いくつか要因が識別されている。ひとつは検査基準が不適切だったので見直している。品質保証体制の改善点がいくつか見出されているので改善が必要。成功が続いたことによる慣れも背景にある。私自身深く反省して、そういったところが他に無いか見直しをかけている最中。今月中に何らかの是正対策としてまとめたい。

産経新聞・漏洩の原因は何か。コストはどうなっているか。
植松・配管部、異種金属の溶接が不良。線状指示の判断の誤りがあった。コストは工場に起因する不適合。コストの負担は協議中。トータルコストの算出はまだ。

朝日新聞・リチウムイオンバッテリ搭載のために工夫した点について詳しく。
植松・暴露パレットは5号機までは1.5トンまでの設計・構造だった。今回のバッテリは1.9トンのため、構造的な強化が必要だった。また、帰り道に廃棄するニッケル水素電池を9台載せる必要がある。
麻生(カーゴインテグレーション)・リチウムイオンバッテリは従来のものより小さくなったが、付属のものを含めて重さがあって、暴露パレットの設計重量をオーバーしたもの。

朝日新聞・機構部分を強化したということか。
麻生・暴露パレットを重いものに耐えられるように補強した。もう一つの工夫は、宇宙飛行士の船外活動が効率よくなるようにした。搭載物をコの字型に配置して移動距離を最小にした。

ニッポン放送・現行バッテリはどこ製でいつから使われているか。今回のリチウムバッテリの想定寿命はどれくらいか。
麻生・ニッケル水素電池の製造元は不明。今回交換するバッテリは当初からある約10年前のもの。2世代目のものは7年くらい。設計寿命はNASAとボーイングの契約で不明。ただし使い方にもよる。長く使う操作や、わざと放電して充電などの操作を行っている。今回は切羽詰まったものではなく、余裕を持った交換。10年前のものから徐々に交換。

日刊工業新聞・薄膜太陽電池とは、どういった実証実験か。
植松・こういった形で薄膜太陽電池を宇宙空間で使用するのは初めて。打ち上げの環境に耐えられるか、宇宙空間に暴露された状態で電圧・電流が得られるかが最低限のミッションと考えている。

日刊工業新聞・このまま宇宙空間にさらすのか。どういった実験なのか。
今泉(研究開発部門)・全く新しく開発した太陽電池で、実用サイズで宇宙空間に持って行くのは初めてで、ちゃんと働いて出力するか。ぺらぺらのものが打ち上げの振動に耐えられるか。この二つを今回の実験で確認する。

共同通信社・バッテリの輸送はこうのとりだけなのか。それは重さ、大きさのためか。
植松・船外機器を輸送ができるのは「こうのとり」とドラゴン宇宙船のみ。ドラゴンは容量が限られる。「こうのとり」の暴露パレットによる輸送は、ロボットアームで船外活動をサポートできるが、ドラゴン宇宙船は宇宙飛行士が船外活動で直接移設しなければならいない。技術的にはドラゴンでも運べるが、効率等を考えると「こうのとり」で運ぶしかない。

・二酸化炭素除去装置はなぜレイトアクセスなのか。
植松・宇宙ステーションの二酸化炭素除去装置のフィルタは定期的に交換が必要。今、宇宙ステーションに交換できるものが無い。NASAは準備が出来たらなるべく早期に上げたい。通常搭載には間に合わなかったが、レイトアクセスでなるべく早く宇宙ステーションに持って行きたいとのことで、JAXAとNASAで調整を継続してきた。大型で特殊な形状のため通常の方法では載せられないため、どういった搭載ができるか検討し、「こうのとり」の搭載機構を一部変更することで対応した。

以上です。