宇宙作家クラブ
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宇宙作家クラブSAC有志緊急アピール

11月15日H-IIロケット8号機打ち上げ失敗に向けた緊急アピール

11月16日 宇宙作家クラブ有志

 宇宙開発に興味を持つ著作者の任意団体である宇宙作家クラブ (SAC、顧問:小松左京、http://www.sacj.org/)の有志は、 今回の事故に引き続く宇宙開発プログラムの停滞を憂慮し、 以下のアピールを公表します。

 今回の打ち上げ失敗は、日本の宇宙開発史上最大の事故です。 そのことを虚心坦懐に認めなくてはなりません。

 しかし忘れてならないのは、宇宙開発が、 今も地上の事業とは比べものにならないリスクを背負い、 人類のフロンティアへ向けての長期的先行投資として行われているという事実です。
  ロケットという輸送機械はぎりぎりまでの軽量化設計を施さなければ ミッションを達成できません。 そのためロケットの打ち上げが成功する確率は、 決して100%であり得ません。2回続けての失敗も十分にあり得ます。 我々はそのことを常に覚悟しつつ 宇宙開発へ営々と投資してきたことを思い出す必要があります。 失敗を恐れていてはフロンティアに出ていくことはできません。 事故はいつか必ず起こるものなのです。

 必要なことは海に消えたロケットと衛星の開発コストのみを取り上げ、 責任者を責めたてることで事故を風化させることではないでしょう。 事故を認め、広くデータを公開の上で分析して、 繰り返さぬための対策を講じ、さらに先へと進むことです。 今回の失敗の調査過程と結果を技術的に正確な認識を持って、冷静かつ継続的、 なによりもわかりやすく報道する事はきわめて重要だと考えます。

 スペースシャトルが飛び、多くの通信・放送衛星、気象衛星、 地球観測衛星などが実用に供され、 国際宇宙ステーションの組立が始まっている今の宇宙開発の状況は、 今世紀初頭のゴダード、フォン・ブラウンなどから始まる、 無数の失敗と絶望と、 勇気と機転と努力の上に成立していることを忘れてはいけません。 また、1975年のN-Iロケット1号機から、 昨年のH-IIロケット5号機が失敗するまでの成功率100%という 輝かしい数字の裏には、ロケット設計からネジ1本の製造に至るまで、 ロケットに関わるすべての人々の想像以上の労苦が存在したことを 想起するべきでしょう。

 我々は政府、財政当局および科学技術庁を初めとした監督官庁に、 これをもって宇宙開発予算削減や、諸計画の中止、 縮小に向かわぬことを望むものです。
 また、税金を支払う日本国民の皆さんに、 以下の事実の認識をお願いしたいと思います。 技術は継続してこそ鍛えられ、磨き上げられます。 失敗の絶望と涙の向こうにこそ、次の世代のための新天地があるのです。

 今回の打ち上げ失敗も、今後私たちが未来へつながるよう行動すれば、 日本の自主技術開発進展のための糧となり、 決して税金の無駄遣いではなくなります。 人は失敗から学んでいく存在なのですから。

以下署名

小松左京(作家・SAC顧問)

あさりよしとお(漫画家)
青井邦夫(イラストレーター)
安達裕章(編集者)
新木伸(作家)
石渡治(漫画家、会員外から特別参加)
江藤巌(宇宙開発評論家)
大喜戸千文(編集者)
大野典宏(翻訳家)
小川一水(作家)
神代創(作家)
こいでたく(漫画家・イラストレーター)
小林伸光(イラストレーター)
笹本祐一(作家)
柴野拓美(翻訳家)
須田浩之(翻訳・科学考証)
都築由浩(作家)
長谷川正治(イラストレーター)
林譲治(作家)
速水螺旋人(漫画家)
福江純(天文学者,大阪教育大学助教授)
藤島康介(漫画家)
堀晃(作家)
中西秀彦(著述業)
撫荒武吉(イラストレーター)
野尻抱介(作家)
野田昌宏(翻訳家)
松浦晋也(記者・ノンフィクションライター)
三島和彦(ライター)
宮武一貴(デザイナー・イラストレーター)
御米椎(漫画家)
森山和道(ライター・ディレクター)
横山信義(作家)
米村孝一郎(漫画家)
るりあ046(イラストレーター)

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宇宙作家クラブ(Space Authors Club of Japan):
1999年3月末設立の任意団体。 宇宙と宇宙開発に興味を持つ著作者(作家、漫画家、 イラストレーター編集者など)の集まり。 関連知識の吸収と会員各自の著作への反映を目的に、 現在東京と大阪で定期的にミーティングを開いている。
ホームページ:http://www.sacj.org/

 連絡先:基本的に電子メールでお願いします。 SAC事務(松浦 smatsu@sacj.org)、 また会員の笹本祐一(sasamoto@sacj.org) が種子島プレスセンターに取材しておりました。 11/6昼現在、帰京中です。

 本アピールは 署名した各人の自由意志によるものです。 本アピールの起案は事務が行い、 専用メーリングリストで会員からの意見を集約の上、 上記の形となりました。

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